YUUKA’S ROOM

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・私の欲しいもの


欲しいものはひとつにしなさいとママは言う。

私の欲しいものはいっぱいありすぎて分かんない。

赤いバラの造花や、真っ黒の花瓶や、

大きな灰皿やバスケットゴールや、

深緑色のマットレスや自転車や、

ピンクのベビードールやヒールの低い25の靴や…

まだまだある。これをひとつにしなさいなんて。

でもね、ママ。たくさんのものをひとつに絞るってことは、

それはすごい大きな価値のものになるの。

ひとつにしたとたんに手に入らなくなるかもしれない。

ひとつだったらなおさら。

手に入んないときは、すごく切ないものなの。

だから臆病な子供たちは、これでもかってくらいに

たくさんのものを欲しがる。ひとつ失っても次があるように。


もし、今からさき、たくさんの娯楽場が増えて、

街は大きくふたつに分かれて、

片方は大人の道、片方は子供の道になり、

遊び飽きるくらいたくさんの遊び物があったとしても、

私たちの欲しいものはなくならない。

だって、それは目に見えないんだもの。

本当は知ってるの。宝物の場所を。

でも感じることができないから、みんな頭に抱えてる。

大人も子供も。世界中が欲しがってるもの。

それは口には出せないたったひとつの願い。

とっても大きなものだから、とっても小さなものだから、

みんな触ることを怖がってる。

とっても重いものだから、とっても軽いものだから、

みんな愛することにとまどってる。

怖がってとまどって、たくさんの武器を作ってる。

ひとつにするのは怖いもの。不安になるのは嫌だから。


もし、今からさき、たくさんの娯楽場が増えても、

私の欲しいものはたくさん。数えきれないくらいにたくさん。





ソファ



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