目からウロコ

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帯セミナー@西陣

★★ 西陣織りのお話 ★★



01年11月19日(月)日記より

今日は月曜日で着付け教室の日。しかし今日は「帯セミナー」の日。
いつもの着付け講議ではなく、
帯の工房へ見学に行った。京都のとある織元さんにおじゃまして、
そこで働いてらっしゃる職人さんが講師になって
帯のあれこれを教示してくださった。

****受け売り知識自慢****

帯には3大産地があり、桐生(群馬県)、博多(福岡県)、
そして京都の西陣である。
桐生では明治以降いち早く量産性のある工法(機)を取り入れたので、
安価で手に入る消費者に嬉しい帯の産地らしい。
博多は鎌倉時代からの歴史があり、
江戸時代には黒田藩が博多の名産品として江戸に献上していた。
縦糸で柄出しした縦縞模様は有名な柄で『博多献上』といい、
現在では博多織の代名詞となっているとのこと。
そして今日伺った西陣というのは最も歴史が古い。
この西陣というのは3大産地の中では唯一特定の地名を指さない。
「西陣」というのは約500軒の織元の総称で、
その名前の由来は応仁の乱に遡る。

****受け売り知識自慢、終わり****


それにしても今日ホントにびっくりしたのは、
帯は出来上がるまでに50もの工程があり、
その工程ひとつひとつにそれぞれの職人さんがいらっしゃるとのこと。
お蚕から糸になり、染められ、絵柄がデザインされ、
デザイン通りに織られるように機がセットされ、
糸が機にかけられ、織られ...
帯になるまでにはたくさんの人の手にかかっているのだなぁと
感動してしまった。高いはずである。
そのひとつひとつの工程に職人の技が生きている。
しかし工程の中には、コンピュータができることもあるとのこと。
例をあげると、
デザインを図面化して機にセットして織らせるということもできるそうだ。
そうすることでいくつかの工程を省くことができ、
帯の価格も下がり、しかも割ときれいに失敗なく織ることができるらしい。

しかし、人の手を通ることでできる微妙な風合いは
コンピュータにはどうにも出せないそうだ。
人間のすることなので、線が微妙に曲がってたり、
円形がちょっぴり歪んでたりすることもある。
それを手に取った時に
「ここがまっすぐやったらなぁ」とか
「なんか曲がってへん?」と思うことがあるらしい。
コンピュータならそういうところを完全に思う通りのものを仕上げてくる。
しかし見てるうちに、
そういう手作りであるがゆえの不具合も、
ちょっとした風合いになり、
帯に愛着が湧いてきて、その方が飽きがこないとのこと。
...まるで人間のようだと思った。
友達にしても彼氏にしても、
「なんでこんなヤツと付き合ってんねんやろ」と
時々しみじみ思うこともあるが、それはきっとお互い様で、
そういうお互いの不具合を許し合ってそばにいるのだ。
そしてそうやって許しあえるのは、
その人のほんとの良さを知ってるからということになる。
ワタシも人間として歪んで曲がって腹黒いという若干の不具合があるけど、
みんな愛想よく付き合ってくれるのは幸せなことだ。

お昼は3段重ねの豪華弁当だった。
帯の話を聞きながらもあちこちで
『ぐるるる...』『きゅるるるる....』
といった空腹信号が聞こえていたので、
ホント待ちに待ったお弁当タイムだった。
ゴハンのお重と、天ぷらのお重と、煮物・お刺身のお重の3段重ね...
赤だしのお味噌汁付き。とってもおいしかった。

午後はいろんな帯を触らせてもらった。
それはとっても良い機会だったと思う。
ここまでじっくり見ていたら、
デパートだったら絶対売り子がそばにやってきて、
さりげに身辺調査され、
合格だったらローンの話まで持ち込まれてしまうだろう。
ワタシなどは働いてて独身で、まったく絶好のカモといったところだろう。

そうやって今日は帯にまつわる一日を過ごした。
いやはや、今日も目からウロコ。





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