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2005/03/15
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カテゴリ: 競馬
『砂塵の向こう 宇都宮競馬に生きた人々』と題し、
下野新聞に掲載されたうつのみや競馬についてのコラム(全6回)をご紹介します。



宇都宮競馬場

デビュー3年目の若手騎手・品田真樹さん(23)は移籍が決まり、4月から九州の佐賀競馬に所属する。
2月に結婚したばかりの新妻・恵美香さん(28)を伴い新天地へ向かう。

恵美香さんとは一昨年8月、共通の知人の紹介で知り合った。
お互いが結婚を決意したのは去年11月。
それも競馬廃止が決まった後だった。

その時は、まだ移籍先も何も決まっていなかった。
「離れて寂しい思いをするよりは、一緒にいたい。」


結婚を約束した責任感・・・
必死になって移籍先を探した。
周囲の関係者に「ほかの競馬場で連絡先を知っている騎手はいませんか。」と尋ねて回った。
騎手をやめるつもりは、みじんもなかった。
「全然勝っていないし、強い馬にも巡り合っていない。まだまだ騎手としてやり足りない。」

所属厩舎の菅原末治調教師が知っている佐賀競馬の調教師の携帯電話番号を教えてもらい、即座に電話をかけた。
いわば“飛び込み”営業だった。
このときは明確な返事はもらえず、その後、何の連絡もなかった。

それから2ヵ月後の今年1月、携帯電話に調教師から連絡が入った。
九州なまりで「4月から来る気あるけん?」のひと言。
ちゅうちょなく「お願いします。」と答えていた。


九州・佐賀競馬場。
コネや縁故もない見ず知らずの土地。
「ただただ、遠いというだけ。異国みたいなもの。」と新天地の印象を語る。

早速、2月上旬に1人で佐賀を訪ねた。
競馬場職員の案内で、厩舎や夫婦で入居することになる騎手寮を下見した。

不安より期待が高まってやる気がわいてきた。

小山市内で2月末、結婚披露宴を開いた。
親族や競馬関係者、友人など約100人が集まってくれた。
同い年で良きライバルの藤江渉騎手が祝福の言葉を述べた。

藤江騎手は移籍先を探しているが、まだ決まっていない。
不安を抱えながら、祝福してくれるライバルの心中を察し、思わず涙ぐんだ。
「早く移籍先が決まってほしい・・・」
複雑な思いが残った。

新天地での仕事の厳しさは覚悟している。
騎手仲間も知らなければ、騎乗馬の確保も心配だ。
それでも気を取り直して「場所が変わっても、やることは同じ。一度は死んだ身なので、やれるところまでやるだけ。」
自分に言い聞かせ、住み慣れた職場を後にする。

県営宇都宮競馬場が14日、最終開催を終え56年の歴史に幕を閉じた。
競馬場を馬が駆け抜け、砂塵が舞う光景をもう目にすることはない。
競馬事業を支え、競走馬に人生を懸けてきた人たちは、自らの意思にかかわらず職を追われる。
調教師、騎手、厩務員・・・
宇都宮競馬に未練を残しながら、新たな人生をスタートさせる。
競馬に携わった人たちの「これから」を探った。


  平成17年3月15日付 下野新聞より





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最終更新日  2005/03/30 08:55:37 AM
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