2005年08月20日
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カテゴリ: … FIPと戦うっ!
続きから書かなくては。
長くなります。

文中には「チビスケ」「ハル」とごちゃごちゃかも。本名が「ハル」です。たった一人の子です。

チビスケに16日の夕方、起こったこと。
「粗相」うんちを二階でしてしまったのです。
粗相はFIPの末期に起こる神経症状。でもそうとは限らない。
動かず筋肉の落ちたチビにはトイレまでたどり着けなかったのかもしれない。
そう思い直し、トイレに連れていくと、大量のオシッコがでました。
ヤマブキ色のオシッコです。


時間がない・・
夜の7時くらいでした。
エイズと白血病を併発した猫ちゃんが劇的に元気な姿になった、あの姿を思い出し漢方のお世話になろうと電話しました。
親切に対応してくださって、その夜のうちに発送してみると言ってくださいました。
チビスケはトイレにいけないとかわいそうなので、一緒に一階で過ごします。

翌17日の朝。
元気のないチビに強制給餌を始めました。
a/d缶を30cc ミルクを15cc 他にお薬とか飲み込んでもらいました。
9時にはお薬が到着。横浜の方を向いて「ありがとうございます」と頭を下げたのを覚えてます。
早速薬を調合。2時間はお薬を寝かす。と書いてあったので、昼過ぎには飲ませられます。

17日、昼。

まずいのでしょう。
飲み込めず、口に溜め「がんばって飲もうよ、ねっ」という声に反応し、しばらくするとコクっと飲む。
これを繰り返し5cc飲みました。

苦い後味を消すためにも食事です。
a/d缶を口へ持っていくと、飲み込んでくれます。

長引く給餌で疲れてしまったかと諦めました。
ミルクならと給餌を始めましたが15cc でいっぱいいっぱいでした。
唾液が溢れて上手く飲み込めなくなってるのかもしれない。

病院は、午後は休診で16時まで開きません。
漢方のお薬が効けばその頃には少し元気になるかも。
16時まで、16時になったら皮下補液で水を入れてもらおう。そしたらきっと元気になる。

14時くらいに、チビスケは粗相をしました。
うんちがポロっと落ちていました。
私は、これがただの筋力低下ではないと思うしかなかったです。
スッキリしないチビはトイレに篭ります。
クリックでアップ画像開きます クリックでアップ画像開きます

何度トイレから出しても
戻ってしまうチビスケ
すぐ力を失い頭を落としうずくまります


17日、午後4時過ぎ。
力ないチビを、洗濯ネットごと病院へ。
普通に「頼んであったDフラクションだけど」と話し出した先生をさえぎり
「そういう状態じゃないの。すぐ診て欲しいの。今日とか明日とかがとても大事だと思うから」
ハルを一目見た先生の顔色が変わってくのがわかりました。
かつて黄疸と高熱が出たときを思い出します。
検温結果、39.6度。
黄疸も薄く、高熱でもない。でもヨダレが出て飲み込むことが出来ず、首を自分で支えきれない。
それがハルの状態でした。

「いい事を言えない。この状態はとても危険。水分も多く補液するとショックを起こすとおもう。
ステロイドを打つことで一時的に解熱し痛みが引き元気を取り戻す可能性がある。
その後は、点滴で24時間栄養を入れるか、おうちで様子を見るか。 どうしたいですか?」
「入院はさせません。連れて帰ります」と即答しました。
ステロイドの効果については、
「一時的に熱が引く可能性がある。その場合本人は少し楽になると思う。今までより多い量を入れることになる。
あるいは、打っても全く効果がないかもしれない。」とのこと。

私はステロイドを注射してもらい、連れ帰るという決断をしました。
一時的にでも調子がよくなったら、漢方のお薬を飲み、少しは回復方向に傾くかもしれない。一縷の望みを毒であり薬であるステロイドに託しました。

先生にこれから起こりうる事をたずねました。
「ステロイドが全く効かず苦しがり、場合によっては痙攣を起こす。
その場合は、痙攣を止める薬を打ちましょう。本人は楽になります。
ステロイドが効いた場合、一時的に元気が戻るかもしれない。食べたいものを食べさせてあげてください。
明日の午後にはステロイドが切れるから、その時もう一度打ってみよう。乗り切れる可能性はゼロじゃない」

今日をなんとか乗り切ってやる!そう思って病院をでました。
見上げると、空は、青く高く澄んでました。

玄関のドアを開けるとき、
引っ張られるように空を見上げました。そこには澄んだ青が見えました。
大嫌いなキャリーケースの中で横たわるハルを確認して、家に入りました。
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夕方、家に戻ったチビスケ。
苦しい息を繰り返すばかりです。
王子様ネコは時折やってきて、オデコをペロと舐めて去ります。
私は、ひたすら「がんばろ、元気になろー」とスリスリさすってました。


電話を手にとり、ダンナさんに早く帰ってきて欲しいと告げました。
ダンナさんにはこの状態は信じがたいものだったかもしれないです。
全てが急速に悪化していました。

ハルのことはダンナさんに任せて夕飯を作りました。
明日には強制給餌もあるし、私は倒れるわけにはいかないし、ハルががんばってるんだから私もがんばるぞと。
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夜10時前のハルです。
夕方から見開いたままの瞳。
見えているのかいないのか。ゴミが入って目を閉じません。
瞼が固まったかのよう。
急速に失われていく視力。
暗い世界に怖がり不安いっぱいに見開いている目だったと思います。


この後、ハルの瞳が反応しないこと、光にも動くものにも。
それに気づき、
「不安だったね、ごめんね。そばにいるよ怖くないよ」
顔をくっつけ声を掛けると、瞼は少し閉じました。
夕方から、口が気持ち悪いだろうと、時々めんぼうをぬらして口元に入れます。飲みはしないけど少しはスッキリするかもと。
流れてしまった唾液も拭いて何度も寝返りをさせました。

17日、深夜
夜中の1時前くらいから、添い寝したままウトウトしてしまいました。
リアルな夢の中で、目の前のハルはベッドでムクっと起き上がり、私に力強くオデコを押し付けて「ニャーン」と言いました。
あぁ、よかった。全部おわったんだ。元気でたんだー。

ふと、気づいた目の前には、口を開けあえぐような浅い息を繰り返すハルがいました。
クソーっ、夢か。あぁ寝ちゃった><
鈍い頭をめぐらせました。出来ること出来ること・・・あ!そうだ。
夕方補液してもらったんだ。オシッコさせなきゃ尿毒症になる!
トイレのフードをはずし、体中の力が抜けたハルを連れて行きました。
トイレに力なく横たわる私のハル。お腹をさすってみてもオシッコは出ません。
呼吸は激しく、苦しく、切なく。この苦しみは終わりがないのか・・
オシッコ諦め、その体を腕に抱き上げて
「大好きだよハル。まだいかないで。もう少しがんばったら元気になるよ、ねっ」
話しかけ続けたけど・・
腕の中で力いっぱい反り返り、激しく呼吸し口を大きく開け、
悶絶?絶叫?そんな表情になりました。

ここからは少しボケてますが私のしたことは覚えてはいます。

「ハル、大好きなハル。ねえ聞いて。」
「楽にしていいよ。いっぱいがんばった。ハルが楽になれるようにしていいよ。ね」

そんなことを言ったと思います。涙も特に流れませんでした。
目の前であえぐような息だったハルは、言葉の後、すーっと口を閉じ静かになりました。
死んだの?!と思うような静かさでした。
でも、胸は呼吸をし、鼻からも呼吸音が聞こえました。
表情は穏やかになり、見開いた見えない目は優しくなりました。
ちゃんと生きてる。ホッとしました。
オデコをスリスリすると、嬉しげに目を細めます。

「ねえ、ハル。約束して。
ハルはこれから綺麗な橋のたもとに行くの。
そこはとても楽しいところ。
そこで待っていて。
私を待っていて。

知らないひとが来ても付いてってはダメ。
必ず私は行く。いい子で待ってて。
もしも、待ちきれなかったら、
ハルは寂しがりだし、甘えん坊だし、待ちきれなかったら私を呼んで。
すぐに行くから。呼びに来て。

ね?約束。守れるよね。
私は必ず行って、ハルを見つける。
信じて待ってて。
いい子だねー」

ハルを腕に抱いてスリスリして、目を細めるその顔に顔を寄せて、ずーっと言い聞かせました。
ハルは5分くらい?時間をかけて、呼吸がゆっくりとして、少しずつ胸の上下の揺れが小さくなって、見えないくらい小さくなって消えるように呼吸を止めました。

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生きているように穏やかな寝顔です。

寝顔ではないけど、
私はこの時まだハルがそこに居ることで
眠ってるように感じてました。

心配していただいた方々には
この顔を見せられることをすごく嬉しく思います。
私を信じて息を止めたと思います。


ハルと私は悔しかった。
ただただ、こんな結末は悔しかった。
悔しくて悔しくて、ほんとに悔しくて・・

この子の戦いはFIPの圧勝で終わりました。
でも私には、少しだけ最後にほんの少し、光が見えた気がします。
道はあると信じたい。

動画があります。
これは17日の記録です。

苦しい姿ですので、ご覧になるのは辛いものだと思います。
無理に見せたくはないので、
ご覧にならない方がいいかもしれないです。
見る見ないの判断は訪れた方にお任せします。


もしも、大切な子にFIPの疑いがあるのなら、
こんな姿にならないよう急いで欲しい。
そういう焦りや、行動の原動力にして欲しい。

私にとっては、この苦しい姿は
愛しくて、可愛くて、健気で、恋しくて、
この苦しみは私の与えてしまった苦しみです。
重たく意味深いものです。


病気の過去ログ→ コチラ
by ゆきもなか


-補足-
ハルがお空に帰った時刻は、2005年8月18日午前2時過ぎくらいでした。





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Last updated  2005年08月22日 18時08分31秒
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