透明な瓶に手紙をつめてインターネットの海へ            by雪虫の伝説

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2007年09月28日
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カテゴリ: ちびたエンピツで




あやしき車にて、「かくなむ」と言はせたれば、女いと びなきここち すれど
「「なし」ときこゆべきにあらず。昼も御返りきこえさせつれば、
ありながらはさながら帰したてまつらむも 情なし 。
ものばかりきこえさせつれば」と思ひて、
西のつま戸に円座さし出でて入れたてまつる。





情なし ・・・現代語の情とは少し趣が異なると思います。
風情とか情趣あるいは風情・情趣を解する繊細であたたかい心・・含みの多い言葉です。



宮 は情熱の命じるままに女性のところを訪問するには早すぎる時刻にやってきました。
その反面で世の中に気がねして車までわざわざ粗末なものに替えて忍んでやってきたのです。
心の準備も出来ていない彼女・・・・・



情 なさけ を求める思い。
情 を守る思いは当時の人々の共通した心情です。
それは恋愛感情に限ってのものではありません。
男同士の友情に、女同士のおもいやりに、親と子の思いに

もちろん最も強くそして繊細に求められていたのは男女の仲での話です。
情なからじと求められ自分も願っていた女心が
本当にたくさんの哀歓を紡ぎ出していきました。


情 という言葉・・・・大変重要なキイワードです。だと思います。



心の準備も整っていない 和泉式部 の心に浮かんだものは
便なし という思いでした。
この 便なし という言葉に熱い男性の若々しい情熱を正面から受け止めた
彼女のはじらいととまどいと困惑とかすかな抵抗が読み取れます。
そして

そして情なしという言葉を持ち出して自分の喜びを正当化しようとします。
宮 を迎え入れる決心をしました。


情なからじ という言葉の呪縛に自ら捕らわれることによって
帥宮 に惹かれる自分の心を世の中に向かって正当化します。

恋愛の世界で女性が一歩譲ってしまうときに

女性にとっては小さなわずか一歩ですが
この一歩が全ての譲歩に繋がっていきます。

その一歩を 和泉式部 は譲ったのです。







帥宮は人目につかないようにとわざわざ少し粗末な車に乗ってやってきました。
お供の者がやってきて「またやって来てしまいました・・・・」なんて言うものですから
まだまだそんなおつきあいでもないし、心の準備もできていないし
どうにもこのままご案内するのも具合悪いような思いはするのですが
ついさっきお昼にもお返事差し上げたところではあるし
このままお帰ししてしまうのも情緒を解さないふるまいではあるし
ほんのちょっとだけお話し申し上げようと思って
西のつま戸のところに円座を用意させて入っていただきました。









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最終更新日  2007年09月29日 02時34分05秒


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