灰色猫のはいねの生活

灰色猫のはいねの生活

第二話


優しそうな、いかにもお母さんって感じだわ。
「あの子のお姉さんが学校帰りに私を拾ってくれたの。
あの子はもともと猫好きで、親戚のおばさんに干支を聞かれて「猫年」って答えたりしてたのよ。
あたしはすぐにこの子に代替わりしちゃたけど。」
そう言って出てきた「この子」は楕円形のちょっとぽっちゃりした愛嬌のある顔で、なかなかのイケメン。
ちょっぴりあたしのタイプかしら。
「よく可愛がってくれたよ。
俺が釣り針を引っかけた時も、泣きながら取ってくれたしね。」
釣り針に引っかかったおバカ猫はこの男なのね。
いくら顔が良くても、そんなドジはちょっとごめんだわ。
クロ男の後ろからずいっと出て来たのは三毛猫女。
3色がきれいに配色されて顔もなかなかの美猫顔。
でもこんな女が悪女って言うのよ。気が強くて目立ちがりや。
お人好しのクロ男からご飯でもなんでも貢がせてるに違いない。
他にも男がいるって、一言忠告した方がいいかしら。
「いつの間にか居着いたあたしにも、優しくしてくれたわよ。
あの子がくれた魚肉ソーセージは美味しかったわね。」
色気と食い気しかないのかしら。
「魚肉ソーセージ、よく独り占めして食べてたな。」
ぼそりとクロ男が言った。
「あら、あたしは仔猫を産んだんだから、栄養取らなきゃいけなかったのよ。」
「でもまるまんま1本独り占めすることないだろ。
そのせいであの子は姉ちゃんの分、俺にくれて怒られたんだぞ。」
「いいじゃないの。食べれたんだから。」
痴話喧嘩をはじめたクロとミケに隠れるようにしていた3匹の仔猫がその隙にひょいっと顔を覗かせた。
「僕はシロ。」
真っ白な仔猫が言った。
「僕はミドリ。」
ミドリ色…ではなく、真っ白で右目が青、左目が黄色の仔猫が言った。
青と黄色でミドリね、なるほど。
「あたしはチャッピー。」
真っ黒な仔猫が誇らしげに言う。
クロシロミケミドリのネーミングセンスからようやく脱出したらしい。
挨拶出来るのは良い猫の証。
子供はきちんと育ててるようね。
あたしは次の履歴猫のところへ行った。

何だってば!.jpg

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