優美の南米旅日記

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2007.12.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
朝8時15分、予定通りバスはハルディンアメリカというバス停で止まった。

ブエノスアイレスから北へ、夜行バスで約10時間のところだ。

バスを降りると、眉間に皺の入った頑固そうな小柄の日本人男性がいた。

ichitaro.jpg
photo:my family in Buenos Aires

「市太郎さんですか?」と私は聞いてみた。

「ああ、はいはい」と言いながら、特に笑顔を見せるわけでもない。

「初めまして」と言いながら、私達は握手を交わした。

市太郎さんは、私の母の従兄弟で、15才の時、親と共にアルゼンチンに来た。

私は5日前に初めて電話で話し、今回二泊三日で彼の家にお世話になることになった。



「そうかもね」と、まあくん。

車に乗り込むと間もなく、「あそこは僕の弟の家で、その隣が倉庫、そしてこっちが僕の経営するショッピングセンターで、その上が僕の家。この辺は、全部うちの土地ですよ」と、市太郎さんが矢継ぎ早に説明する。

ichitaro town.jpg

街のメイン通りに面してる敷地は、ざっと見ても1000坪くらいはありそうだ。

「この家は、何度も何度も建て増して造ったんですよ」と、市太郎さんは言いながら戸をくぐり階段を上っていった。

確かに、やたらとあちこちに戸があり、豪華な造りというよりも、使ってなさそうなスペースが相当ある。

「はい、この部屋使ってね。。一休みしたら、母の家へ行きましょう。食事の用意してくれてるから。。」と市太郎さんは言いながら、バス・トイレ付きのホテルのような部屋を与えてくれた。

「その前に、コーヒーでも飲む?」

「あ、お願いします」

そして私は戸を閉め荷物を置くなり、「疲れた~」といいながらベットへ仰向けになり「父方の親戚(前回のアルゼンチン滞在で知り合った)とは、雰囲気が全然違うなあ~」と言った。

「あっちは、奥さんがイタリア系でカルチャーがミックスしてるけど、こっちはどう見たって、奥さんは日本人以外考えられないでしょう」

「でもアルゼンチンに小さい頃から住んでいながら、あんなに日本人のままでいるってのも、珍しくない?」



「確かにね。。。。。」

暫くして、ミルクと砂糖がたっぷり入ったコーヒーをダイニングルームでいただいた。

「お子さんはいるんですか?」と私は、友達になれるかなと期待しながら言った。

「ああ、そのうち会わせますよ。3人いて、一人は今北海道に研修に行ってるんですよ。みんな、そこそこの日本語は話せます」

「あ、私達もある程度のスペイン語は話せますから…..」と、私が言い終わる前に


「ブラジル系の日系2世でね。。ある日知り合ったブラジル人の男性がいて、ものすごく僕たちに親切だったんですよ。。で、僕はポルトガル語なんてぜんぜん分からないから、奥さんの言うとおりにしていたら、マンションまるごと騙されて持ってかれました。。数億やられましたよ」といいながら、平静を保ちながらコーヒーを飲み干した。

「親切そうに近づいてくる人は、絶対に信用しちゃ駄目だよ」と、私達に言い聞かせるとともに、自分にも言っているようだ。

「で、奥さんはそれでも、あの人はいい人だって信用してきかないから、下手したらこっちにある財産も生命も危ないと思って、やむなく離婚したんですよ」と、会ったばかりの私達に、隠すようでもなく説明した。

「ところで、二泊三日なんて言わないで、もっと長くいたらどうなの?」と、市太郎さんは、嬉しいことを言ってくれる。

「残念ながら、5日後にはイースター島へいく飛行機の予約がはいってるので」と、私は説明した。

「あ、そお。。。。。あ、もう時間だ。行きましょう」と、市太郎さんは、私達を促した。

車で5分くらいのところに、私のおばあちゃんの妹にあたるトメさんの家はあった。

綺麗な庭を通り家の中へ入ると、市太郎さんの妹、エイコさんとチエコさんが二人、そして、トメさん夫婦が私達を歓迎してくれた。

テーブルには、日本食のようなものがたくさん並んでいて、テレビはNHKの衛生放送が流れている。

ichitaro eiko.jpg

「今、日本からはどのくらいで来れるの?」と、83才の元気そうなトメさんが私の手を握りながら言った。

ichitaro yumi.jpg

「いやああ、長いですよ。飛行機で30時間以上かかります」と、私は言った。

あ、でもトメさんはかつて船で1ヶ月以上かけてここまで来たんだっけ。。。。。

ちなみに、彼女は移住して以来一度も日本に戻っていない。

「この家の隣にある土地見た?」と、エイコさんは、ちょっと訛りのある日本語で聞いてきた。「お兄さん(市太郎)が、また家を建ててるのよおお」と、笑いながらつづけた。

「家を建てるのが趣味だから。。。変わってるのよお」と、チエコさん。

「なあんで、家ばっかり建ててるの?市っちゃんは可哀想だよ。働いてばっかりで」と、トメさん。

数億も騙されたというのに、それでも家を建てる余裕があるとは、感心してしまう。。。

ichitaro lunch.jpg

そしてお腹いっっっぱい昼食を食べると、私達は夜行バスの疲れで1時間ほど休んだ。

その日の夜は、市太郎さんの会社の従業員の娘が16才のお祝いでホールを借り切って盛大に行うということで、私達も参加した。(ちなみに女子の16才は、日本で言う20才のお祝い)

翌朝は、パラグアイまで市太郎さんの運転でエイコさんも一緒に行き、ランチをとって帰ってきた。

そして夜は、ほぼ親戚全員が集まって、市太郎さんの家でバーベキュー。

ichitaro sun.jpg
photo: 市太郎さんの息子

仕事で忙しいはずの市太郎さんは、私達の面倒をよく見てくれる。。。。

「あんたは、仕事は何をしてるの?」と市太郎さんはビールを飲みながら、まあくんに聞いた。

「以前はアメリカの金融会社で働いていて、当時働きすぎたので一度止めました。それから世界を見ようと思って旅をしてるんです。。」

「旅はいいねえ。。。必ず人生に役にたつよ。旅は絶対にするべきだ。若ければ若いほどいい。僕もヨーロッパを旅したいなと思ってるよ」

「でも、かれこれ8年くらい旅してるんだよね」と、私が言うと、あんまりにも想像つかない年月のせいか、市太郎さんの耳にはまったく入らなかったと見え、無反応のまま「日本へはいつかえるの?」と、聞いてきた。

「来年の2月末くらいです。。。。」

「えっ?4ヶ月間??随分先の話だねえ。。。。。」と、今頃反応。。。「で、帰ったら何をするの?」

「以前働いてた金融の世界は、金から金を生み出すだけの生活だったので、もうそんな生活をするつもりはないんです。だから…..」と、まあくんが説明をする前に、市太郎さんは、「金を稼ぐのは簡単だよ」と、切り出した。

ichitaro markun.jpg

そして「パラグアイみたいな発展してないところへ行って数年辛抱したら、あっという間に稼げるよ」と、肉をほおばりながら言った。

「でもね、仕事の奴隷になったらいけないよ。絶対に、仕事の奴隷はいけない」と、市太郎さんは、まるで自分に言い聞かせるように、私達に言った。

ちなみに私達こそ、そんなものから一番遠い人生を送っているんだけどなあ…….

市太郎さんは15才の時、親と一緒にアルゼンチンに移民としてやってきて、がむしゃらに働いてきたはずだ。

貧困から抜け出そうとした多くの移民がそうであるように、とにかく仕事で成功をするのが人生の目的だったのだろう。

そして、彼は数少ない成功者という輝かしい栄光をつかんだ。

しかし人生の目的が達成されたと同時に、人生の目的が失われたのだろうか。

今、彼は人生の目的を、必要もない家を建てるということに置き換えて、働き続けているように見える。

仕事の奴隷というあり地獄から抜け出したいにもかかわらず、抜け出す術を知らないことは、十分自覚しているようだ。

ichitaro dinner.jpg


仕事をするのは、人生の目的ではなく、人生を謳歌するための手段と捉える西洋人の傾向。

それに対し、人生を謳歌するなんて不謹慎で、人生は仕事をするのが目的となっている日本人の傾向。

戦後まもなくの貧しい時期なら納得できても、世界でも指折りの豊かな国となった今でも根本的な気質は変わっていないように思われる。

市太郎さんのように住む国が変わっても、成功を手にしても、根本的な日本人という気質は、なかなか変わらないのだろう。。。。





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Last updated  2007.12.05 16:44:55
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