●○● Cohaku`s room ●○●

●○● Cohaku`s room ●○●

 美人華






     【美人華】





長い青髪の青年がそこに座っている。
その青年の後ろには
見たことのない大きな大きな薔薇が咲いていた。

美人華

もうどれくらいの時間が過ぎたのだろう。
青年の友がここを出て行ってから、それくらいの時間が過ぎていったのだろう。
「・・・・。」
(クロス・ミカエル・・・ドウカ私ヲ燃ヤシテイッテ下サイ。)
大きな薔薇が黙りこくっている青年に言った。
クロス・ミカエルと呼ばれた青髪の青年は俯いていた顔を正面に戻して言った。
「何故そんなことを言うんだ、美人華。」
青年は優しく背中側の大きな薔薇に言った。
美人華と呼ばれた大きな薔薇は、青年とは対照的な暗い声で言う。
(アナタノ友ハ、戻ッテハ来ナイカモシレマセン・・・。)
「・・・・。」
(ソレニ、モウ間ニ合ワナイ。私ガアナタノ魂ヲ吸イ尽クシテシマイマス。)

美人華、それは世にも珍しい人の魂に咲く花。
根をはった人間の魂の大きさに比例してその花も大きくなる。
そしていつか・・・
その者の魂を吸い尽くしてしまう。
魂を失った人間はまさに生きるシカバネ。
美人華、それは世にも珍しい人の魂を食らう花。

(アナタノ魂ハモウ残リ少ナイ。ドウカ私ヲ焼イテ下サイ。青イ炎デナラ私ヲ焼クコトガ出来ル。アナタニナラ容易ナコトダ。)
美人華は淡々と話した。
青年は正面を向きながら話を聞いていた。しかし、話を聞いているうちに表情は暗くなった。
「確かに僕にとって君を燃やすことは容易い。でも、燃やしたら君は死んでしまう。」
青年も淡々と話した。
美人華はこの青年の言葉に驚き慌てて言い返す。
(何ヲ言ッテイルノデスカ!所詮私ハ花、人ノ命トハ比べ物ニナラナイ。)
「僕の命も君の命も同等のものだよ。」
美人華の言葉に青年は即答した。
そして青年は上を向き美人華を見ながら話した。
「それに”僕”の魂は尽きても、もう1つの”聖獣”の魂はそう簡単には尽きないさ。
 君を燃やして走ったって外で捕まる可能性の方が大きい。
 結局どちらの道も可能性は50:50。
 だったら僕の好きな方にかけていいでしょう。」

「友を・・・彼を信じたい。」


















 * * * * * 

アナログ絵「美人華と咲かれた人」から出来た短編。
主役はクロス・ミカエル。
管理人のオリジナルキャラです。
そしてもう1人は美人華。
西遊記で出てきた名をちょっといじって登場させました。
いかがでしたか。
まぁ、早い話「メロス」みたいなものですね。
友達の身代わりになっているクロス氏。
そしてあまりにもクロスが友を信じているので耐え切れなくなり
意思を持った美人華。
結末はどうなったのか・・・管理人が一番知りたいです。((笑


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: