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2006年11月13日

百貨店の比較・２００６年度版

カテゴリ：同業比較

百貨店の比較です。

「日経流通・サービス業界地図」に載っている日本百貨店協会の
データによれば、業界全体の売上高は９１年の約９．７兆円を
ピークに縮小が続いており０５年は約７．８兆円となっています。
小売業界の中でも最も衰退の激しい業界と言えます。

百貨店１.PNG

取り上げた上場企業は１６社。合計売上高は５．６兆円で市場規模
の７２％。ミレニアムのそごう・西武百貨店合わせて９５百億円で
これもあわせると６．５兆円、８３％となります。

１６社合計売上高増減率は３期間でほぼ横ばい。これに対し経常

ですが、業界全体の体質が強化され、収益力が高まっていることが
わかります。

増収率・増益率の比較です。

百貨店２.PNG

売上が伸びている会社はなし。（伊勢丹は合併によるもの）それに
対して経常利益は１６社中１１社が２桁増収と業界全体が好調と
なっています。一般に言われているように、土地、株の上昇による
資産効果が表れているのでしょうか？

何社かの短信を見てみましたが、どこも紳士服の伸びが大きいです。
前期はやはりクールビズ効果が表れているのでしょうか？

経常利益率の比較です。

百貨店３.PNG

業界平均の利益率は２．５％ですが、毎期平均値が改善されてきて

良くなったんだなと思います。

丸井の高利益率は消費者金融業での営業利益１９７億円が利益に貢献
していることが要因で、これを除いた営業利益率は５％程度となります。
それでも利益率トップですけど。若者ファッションに特化して
成功しているようです。

阪急百貨店 。梅田店の改装により今期は減収となりますが、
３期間４％台を維持しており、業界の中でも実質一番の勝ち組と言えそう。
グループ会社との相乗効果により関西では絶対的なブランド力を保ち
続けていると思います。

３位～５位までで業界平均以上かつ３％以上の利益率であり、現時点での
勝ち組でしょう。 伊勢丹、大丸、高島屋 とも毎期急激に利益率を改善
させてきており、経営体質の強化が数字に表れています。

粗利率・販管費率の比較です。

百貨店４.PNG

経常利益率上位５社中大丸を除く４社は粗利率も高くしかも毎期改善。

また販管費率は前期は１６社中１２社で低下。これ前期のは売上好調に
よる相対的な比率低下によるものと考えられます。

キャッシュフローの比較です。

百貨店５.PNG

業界平均値はほぼ毎期１００億円の営業ＣＦに対し投資ＣＦは２０～
３０億円とキャッシュが貯まる構造。近年は新規出店がほとんどなく、
閉店も多いからでしょう。投資ＣＦがプラスの会社も多く見られます。

在庫回転期間の比較です。

百貨店６.PNG

場貸し業と言われるだけあって、在庫をほとんど持ってませんね。
会社による特徴がほとんど見られないです。

ＰＥＲの比較です。

百貨店７.PNG

平均ＰＥＲ２５．２倍ですが、異常値？の山陽、松屋を除くと２１倍。
これだけ見ると妥当かなとなりますが、衰退業界であることを考えると
割高ですね。

特に勝ち組の 阪急、高島屋、伊勢丹 、それに老舗の三越などが２５倍前後
と相当に高い評価を与えられています。今後の消費回復による利益拡大
を期待されているのでしょうか、他の小売業から見ても違和感のあるＰＥＲ
ですよね。

ＲＯＡはトップでも大丸の４．５％、 阪急、丸井、伊勢丹 なども３％台
でありあまり効率の良いビジネスとは言えないです。

またＰＢＲ１倍割れは意外に少なく、 ながの東急、大和、丸栄 の３社のみ
です。自己資本比率がどこも低いことが要因ですね。

この業界は少なくともＰＥＲでは買えそうにないですね。

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