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@寺子屋食神
第八章 資料1 『諸君』平成十六年一月号・二三七頁 一九五一年証言
マ元帥:その通りです。……日本原産の動植物は、蚕をのぞいては殆どないも同然です。綿がない。羊毛もない。石油の産出がない。錫がない。ゴムがない。ほかにもないものばかりでした。そのすべてが、アジアの海域に存在していたのです。
もしこれらの原料の供給を断ち切られたら、一千万人から一千二百万人の失業者が日本で発生するだろうことを彼らは恐れました。彼らが戦争に駆り立てられた動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことでした。
(注)このマ元帥の発言英文は以下
『東京裁判・弁護側資料第八巻』・一三九頁
『東京裁判・弁護側資料第八巻』・一三九頁
(2)『諸君』平成十五年十二月号 一九五一年五月三日・証言翻訳録
(3)『東京裁判・弁護側資料第八巻』一三七頁など。
(4)例えば「朝日新聞」はこの重要なマッカーサー証言の出た五月三日の議会証言は完全に無視しています。翌四日と五日については報じているのです。私のこの記述は「朝日新聞」によくある『縮刷版』改鼠も警戒しています。『弁護側資料第八巻』一三六頁あたりもこの間を警戒しています。
(5)「富田メモは徳川元侍従長の記者会見録では」
貴誌愛読者の一人の田夫です。七月二十日の『日経新聞』が「スクープ」した「富田メモ」には驚き呆れました。
昭和天皇のお言葉だと言うのですが、私にはとてもそのように読むことはできません。その理由を書きます。そして私のような田夫には解明し難い諸点について貴誌の知力とお力により真実を確定していただきたく、以下にお願いも数点申し上げます。
(一)「昨年は高松甍去間もないときで心も重かった」
これは天皇陛下の措辞ではありますまい。言うまでもないことですが、甍去とは三位以上の人の死を言う言葉です。つまりこれは臣下の語彙です。
昭和天皇が自分の弟宮の死を「甍去」とは表現されることは在り得ぬことです。これは臣下の者が高松宮の御逝去を「甍去」と表現したものです。
(二)「松平の子の今の宮司は……松平は平和に強い考があったと思うのに……親の心」
これは徳川義寛侍従長の言葉ではないでしょうか。徳川宗家の当主にして相応の年配者が連枝の「松平の……親の心……子」と発言したものとみるのが自然ではないでしょうか。徳川侍従長は六十三年四月十に退職されています。そして「元侍従長」として四月二十八日に記者会見が開かれています。富田宮内庁長官も同席しています。今回出現して話題となっているメモは、この時のものと考えるのが自然です。この発言は四月二十八日「pressの会見」とあるではないですか。この日に重ねて昭和天皇の記者会見が行われたのでしょうか。これは田夫の身にして確定し難いことです。お願いの(1)といたします。四月二十五日には天皇誕生日を前にした恒例の記者会見が行われています。そして誕生日の二十九日にも行われています。これは記録に残っています。そして重ねて前日にも会見が行われたのでしょうか。田夫には難事です。お願い(2)とさせて下さい。
(三)以下は富田長官が自分の言葉を記したものですが、長官という言葉は陛下の措辞ではありますまい。富田長官は自分のことを、長官と発音した徳川元侍従長の言葉をそのまま書いたと解するのが事理平明な読解です。つまり、富田長官のもとに今年の陛下はお元気そうだなという記者の印象が寄せられていたのでしょう。それに陛下が「去年は吐潟したが」と触れられたのを徳川侍従長が紹介したというのが事の理と解されます。陛下の言葉を記す富田長官が、自分のことをわざわざ「長官」とは表記しないと理解して、私はこのことを申しています。つまり、世を覆っている「天皇のお言葉」説は、昭和天皇が富田氏を「長官」と呼ばれ、聞いた富田氏が自分のことを長官と書いたとする頭痛がしそうな程度の悪い冗談にほかならないのです。天皇陛下が宮内庁長官を「長官」と呼ばれても、呼ばれた臣下は「富田」と書くのが常識です。それを、長官は自分を長官と書いたというのです。これは日本では悪い冗談でしかありません。
(四)「余り閣僚も知らず、そうですが、が多い」(欄外)
富田長官は陛下のことを「余り閣僚も知らず、そうですがが多い」と批評しているというのでしょうか。悪い冗談です。「天皇のお言葉」説は私には冗談にしか聞こえないのです。このくだりは次に書きます。
(五)「嫌だと言ったのは奥野国土相の靖国発言、中国への言及にひっかけて言ったつもりである……中曽根の靖国参拝もあったか……藤尾(文相)の発言
奥野は藤尾と違うと思うが、バランスの感覚のことと思う。単純な復古ではないとも」
順番に振り返ってみましょう。
四月二十二日、奥野国土庁長官が「みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会」で参拝・「公人か私人か」と問われて、もういいかげんにしたらどうか、部小平に日本国民が振り回されているのは残念」と発言。五月十三に辞任。この会見の日(二十八日)も野党が騒ぎ、騒ぎが大きくなっていたのです。
「前にあったね」というのは、三年前の昭和六十年八月十五日に中曽根総理が靖国神社に公式参拝し、中国から批判され翌年から中止したことでしょう。
翌昭和六十一年九月・藤尾文相が韓国併合は「韓国にも責任がある」と述べて、中曽根総理から罷免されました。
さて、これらの経過を踏まえて昭和陛下が、中曽根・奥野・藤尾・靖国神社宮司たちをこのように悪く批評されるとは、悪い冗談としか私には思えないのです。贔屓の力士はと問われて、贔屓の力士はいるが名は言えないと答えられるのが常だった陛下が、かくもすすどい月旦(人物評)をされるとは、信じるほうが無理だと私は断言したくなります。
「単純な復古ではないとも」というのは、富田長官自身の書き込みでしょう。陛下が「単純な復古」などと言われるわけがありません。
そして欄外の注記らしき「余り閣僚も知らずそうですが、が多い」というのは、閣僚たちはこのような経過を知らないという意味と解するほかないものです。
(六)「私は或る時にA級が合記され、その上、松岡、白取までもが………だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」
大騒ぎの箇所です。昭和天皇は「A級が合記され」てから靖国神社参拝をしていないと述懐されたというのです。述べてきたように富田メモは徳川元侍従長の発言録です。何時の発言かというと、昭和六十三年四月二十八日・記者会見のものです。元侍従長と書くのは四月十二日に退職し、昭和天皇の誕生日の前日に在任中の思い出などを求められて自由閥達にトークしたものです。おそらくオフレコだったと思われます。
昭和天皇の記者会見は五日前の二十三日と誕生日当日・二十九日に行われています。元侍従長がこうした日程の中で専ら昭和天皇の代言人であるような会見をするとは、在り得ぬものです。これは元侍従長の回顧録です。それ以上でも以下でもありません。
大騒ぎは、反日劣情日本人の秘めた悪意に発しています。各々方、用心めされよ。
(※)つまり、これは「歴史的な」大誤報である。
富田メモは徳川侍従長の記者会見のもので昭和天皇の言葉を記したものではない。
日時:昭和六十三年四月二十八日
メモの作成者:富田宮内庁長官
付帯事項・・・徳川侍従長の退職(同年四月十二日)を受けての記者会見
昭和天皇の会見は四月二十五日と四月二十九日である。
昭和天皇はこの日には記者会見を行ってはいない。
(注)これは私がある出版社に投害したものです。社の皆さんの調査の結果は私の結論と同じでした。社の同意を得て資料として採録します。
(6)日韓併合については、マッカーサーは「伊藤博文暗殺」原因説について再調査を命じています。伊藤博文の体内にはフランス騎兵隊の弾丸が二発残されていました。日露戦争の五年後のことであり、「犯人」については日露間の政治的決着の世評が消えません。マッカーサーはなぜか再調査を中止しています。直ちに真相を知ったからでしょう。
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