PR
カテゴリ
グウォー!!
チューバッタの恐ろしい咆哮がミレニアム・ボロコムのデッキに響き渡った。
悪漢ベーダ―の秘密のアジトへ向かう船内である。
「ハトは勝っちゃいけないと言うのか?」
トットさんは謂れのない非難に言いつのった。
トットさんとジョンピーがあり合わせで作った将棋にはまったチューバッタは5回連続で負けてこの上もなく不機嫌だった。
それを見てバンはぼそりと言った。
「気を付けた方が良いぜ。ゲームで負けて相手の腕を引っこ抜いちまいたことがあったがらなあ。」
威勢の良かったトットさんの顔は途端に青ざめ、ジョンピーに耳打ちした。
「負けてやれ。」
傍らではマルークがベン・ケイノービの指導で、浮遊するボールから発せられるビームをライトセーバーで受ける訓練を行っていた。
ビシュッ、ビシュッ
ジェダイの血を引くマルークは、ビームをライトセーバーで受けはするものの、時々失敗して激しい痛みに身をよじった。
それを見てバンはせせら笑った。
「フォースなんていう、ものは信じないね。まやかしだろう。」
ベンはそんなバンを尻目にマルークに近づき、高射ようの防眩ヘルメットかぶせて言った。
「これでやるんだ。」
「これじゃ何にも見えないよ。」
マルークの言葉にベンは澄まして言った。
「目に頼るな。心の目で感じるんだ。」
信じられないというようにマルークは首を振りながら、それでも再びボールに向けてライトセーバーを構えた。
ボールはマルークに向けて容赦なくビームを浴びせた。
そのたびに身をよじりながらも、彼は気を取り直し対峙した。
ビシュッ、ビシュッ、ビシュッ
そして最後の数発を見事ライトセーバーで跳ね返して見せた。
マルークは興奮してヘルメットを取るとベンに叫んだ。
「見えた気がしたよ!」
ベンは満足げに言った。
「君はフォースの世界に一歩踏み出したのだよ。」
その時ボロコムの警報が船内に鳴り響いた。
バンは背伸びをして立ち上がり、操縦席に向かいながら言った。
「そろそろベーダ―の我が家に到着したようだな。」
バンは操縦席に着くと眉間に皺を寄せて言った。
「どうしたんだ。赤のランプだ。ボロコムに何かあったのか?」
その時船の軋む音が聞こえた。
ジョンピーは思い起こすようにつぶやいた。
「俺たちゃ一番号がけん引ビームに引き寄せられたときの音だ。」
「そんな馬鹿な。仲たがいしているとはいえベーダ―と俺は昔密輸業で鳴らした仲だぞ。なぜそんな捕虜を取るような真似をするんだ。」
「お前さん、相当嫌われているみたいだな。」
ベンの言葉にバンはムッとした顔をして睨みつけた。