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人の頭くらいの大きな石が浮き、それよりも重いのじゃないかと思える太っちょポッポのトットさんが浮き、片手で逆立ちをしてバランスを取るマルークの足先をグルグル回っていた。
余りにもデブで、ハトのくせに飛ぶことのできないトットさんは、久しぶりの浮遊感に酔いしれていた。
トットさんは調子に乗り、クロールしたり、片足を組んで寝転んだり、蝶々のようにひらひら舞うふりをして修行の手伝いを満喫していた。
レースバトとしてスターになったトットさんにはもったいない相棒のジョンピーは、更にその周りを飛び回っていた。
レオは・・・・
( ここでマスPはしまったという苦い顔をした )
ヨーダは杖を胸の前に立て、両腕を乗せ、数十年ぶりの弟子の上達ぶりを見守っていた。
その時、沼の方からズブズブトいう濁った音が聞こえた。
マルークが操縦して来た戦闘機が沼の底に沈む音だった。
それに気づいたマルークは集中力を失い、その途端その場に倒れ込み、岩もトットさんも真っ逆さまに地面に落ちた。
「痛てててて。」
腰をさすりながらトットさんはマルークに文句を言った。
「こらー!マルーク!しっかりしないかああああああ!」
トットさんは『あ』を6個も付けて怒った。
だがマルークは慌てて沼に駆け寄り、沈んだ戦闘機が残す、湖底からの泡を見つめてうずくまった。
「これじゃあ、もう戻れなくなる。」
その時、ヨーダが後ろから歩み寄り静かに言った。
「お前には強いフォースがあるではないか。持ち上げて見よ。」
マルークは肩越しにヨーダに振り向き、首を振りながらうめいた。
「石やトットさんを持ち上げるのとはわけが違う。あまりにも大きすぎる。」
ヨーダはそれを聞き、厳しく言った。
「お前は大きさで判断するのか?わしを大きさで判断するのか?フォースはお前に、木に、その石にもある。そして、お前と戦闘機の間にもフォースは存在するのだ。大きさなど関係ない。」
しばらくうなだれていたマルークだが、やがてよろよろ立ち上がり言った。
「やってみます。」
「やるか、やらぬかじゃ。試しなどいらん。」
すかさずヨーダは諫めた。
マルークは戦闘機の沈んだ沼に振り向き、目をつむり、片手を差し出し意識を集中した。
鏡のようだった水面がわずかに波打ち、やがて泡が湧き立ち、ついに戦闘機の舳先が水面にのぞかせた。
ヨーダの顔に、短期間のうちに片鱗を見せ始めた新しい弟子への期待の表情が浮かんだ。
だがそこまでだった。
戦闘機は再び沼の底深く姿を消して行った。
マルークはうなだれて、タオルを首に掛けて引き返してつぶやいた。
「駄目だ。大きすぎる。不可能を期待しているんだ。」
そう言って彼はしゃがみ込んだ。
ヨーダはしばらく彼を見つめていたが、厳かに沼に振り返ると、目をつむり、片手を挙げて念じた。
すると沈んだ戦闘機が再び湖面に現れ、そのまま水面を裂いて胴体を現し、雫を垂らしながら湖面を離れ、岸へと漂い、音もたてずに静かに地面に降り立った。
やんやとはしゃぐトットさんや、ジョンピーたちの歓声を聴き、マルークはうずくまってジャングルの奥から歩み出して来て驚いた。
彼は戦闘機をぐるっと歩きまわりヨーダのもとに来ると興奮して言った。
「信じられない。」
ヨーダはまっすぐマルークの視線を捉えて言った。
「さよう、だから失敗したのじゃ。」
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