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山中で山賊に襲われている喜利に出会った三猫とトットさんたちが昔ばなしに話を咲かせているころデブリンバトのノンキーは困り果てていた。
「うんしょ、うんしょ、うんしょ」
いつも呑気で楽天的なデブリンバトにしては真剣な顔でノンキーは叫んでいた。
デブリンバトのストレスの発散相手となっていたタンキ―がカナイド村を飛び出してはるばる甲府界隈までやってきたのだが、ストレスを受けることで自分のストレスを発散していたため、ストレスが体にため込むことになってしまい、どんどん膨れて今や小山のような大きさまで膨れ上がってしまったのだ。
ノンキーはそのタンキ―の腹の上でピョンピョン跳ねながら、トットさんたちがデブリンバトたちを播磨の国から連れてきてくれるのをひたすら待っていた、、、、、
が・・・・・・?
「ううーん、ううーん」
タンキ―は今や爆発寸前。
もしこんなにストレスをため込んだタンキ―が耐えきれず爆発したら体中のストレスが日本中にばらまかれて、国中に騒乱が巻き起こり恐ろしい世界になってしまうかも知れないのだ。
「ううーん、ううーん」
タンキ―はうめいた。
「タンキ―、タンキ―、ダメだダメ~。」
ノンキーの必死の叫びに、タンキ―も必死に応えていたがついに我慢しきれず遂に「ゲフー・・・」。
大きなげっぷをしてしまった。ストレスのたくさん詰まったタンキ―のげっぷだ。
そのげっぷは森を抜け、空にたなびき、山を飛び越え国を横切り、ある国にやって来た。
「また来とるで。ほんま困った奴じゃに~。やっぱり噂通りの大うつけだがや。」
百姓たちは眉をひそめてその少年を横目で睨みながら野良仕事に励んでいた。
「若―っ!若―っ!一大事でござるすぐに城へお戻りくださりませー!!」
若と呼ばれるその少年は振り向いた。
尻をからあげ、巾着から取り出した干し柿をかじりながら、頭のてっぺんに突っ立ったまげの先で綿毛のようにゆらゆら毛髪が揺れている。
少年はうつけと言われて割には朗らかな顔で、清々し目をしていた。
「おお、爺。どうした?なにかあったのか?」
爺と呼ばれたその侍は、彼の後見人なのだろう。
「殿、殿、殿がお倒れになりました。」
その言葉を聞き少年の表情は一変した。
「よし分かった。すぐに戻る。」
少年は城までの二里半を走り通すためス~ッと大きく深呼吸をした。
そのとき、何かおかしな匂いの空気が体に流れ込んで来た。
少年は「うん?」と顔をしかめた。
気持ちの悪いモヤモヤが体中に湧き起こり、心の臓が鷲づかみされたような息苦しさを感じて、うかつにも涙が目に滲みそうになった。
彼は喘ぎながらうつむいた。
しばらくして彼は顔を上げた。
その時の彼の目には今までの暖かいやさしい光はなく、どこか冷酷な激しい閃光が閃いていた。
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