歴史小説が好きな爺のHP,

平将門

平安時代中期の武将である。
正しくは平將門であるが、漢字制限（当用漢字、常用漢字、教育漢字）
により平将門とかく。通称は相馬小次郎。

桓武天皇の子孫で、平氏の姓を授けられた、高望王の孫。
鎮守府将軍平良将（平良將）（たいらのよしまさ）の子。
下総国、常陸国に広がった平氏一族の抗争に端を発し、
関東諸国の国庁を襲ったことから朝廷から討伐される。
神田明神に祀られる。武士の発生を示すとの評価もある。

生い立ちと平一族の争い
父良将は下総国佐倉（千葉県佐倉市付近）が領地と伝えられるが、
根拠となる史料は無い。将門は地方より京都へ出て藤原北家の
氏長者であった藤原忠平と主従関係を結ぶが、父良将が急死したために
領国へ戻る。長子相続制度の確立していない当時、良将の遺領は伯父の
平国香（平國香）や叔父の平良兼に独断で分割されていた。

『将門記』などによれば、平氏一族の親族争いは、常陸国（茨城県）
前国司の源護の娘、或いは良兼の娘を巡る争いとも伝えられている。
935年2月に将門は源護の子・扶に常陸国真壁郡野本（茨城県筑西市）
で襲撃されるが、これを撃退した将門は大串・取手（下妻市）から護の
本拠である真壁郡へ進み、護の一族を討ち、さらに護の援軍として
駆けつけた伯父の国香も殺害する。

一族の平良正は軍勢を集め、鬼怒川沿いの新治郷川曲（八千代町）
に陣を構えて将門と対峙するが、将門は良正の軍も撃破する。
反将門軍は平良兼を盟主に、国香の嫡子の平貞盛などの兵を加えて
将門と戦うが、将門の奇襲を受けて下野国（栃木県）の国衙に保護を求める。将門は下野国国府を包囲し、一部の包囲は解いて良兼を逃亡させ、
国衙と交渉して自らの正当性を認めさせる。

同年、将門に対して朝廷から平一族の私闘についての釈明を求める
召喚命令が出て、将門は平安京に赴いて検非違使庁で尋問を受けるが、
937年4月に帰国を赦される。帰国後も将門は良兼を初め一族のほとんどと
対立し、良兼は将門の父良将や高望王など父祖の肖像を掲げて将門の
常羽御厩を攻めた。

これにより多くの軍馬を喪失すると将門は退却し、さらに妻子も
捕らえられた。将門は朝廷に対して自らの正当性を訴えるという
行動に出るが、朝廷は平良兼、平貞盛、源護らに対して将門追討令を出す。将門は良兼らの兵を筑波山に駆逐し、それから3年の間に良兼は病死し、
将門の威勢と名声は関東一円に鳴り響いた。

平将門の乱
この頃、朝廷への租税を滞納していた事により追捕令が出ていた常陸国の
藤原玄明が将門に庇護を求めると、将門は玄明を匿い、939年、
常陸国国衙（茨城県石岡市）へ赴いて追捕撤回を求めるが、
ここで将門軍は突如攻撃を受ける。将門は止む無く反撃して
常陸介藤原維幾を捕らえ国衙を陥落させ、結果的に朝廷に対して反旗を
翻すことになってしまう。

将門の側近となっていた桓武天皇の子孫と言われる興世王の進言に従い、
同年12月に下野、上野の国府を落とし、関東一円を手中に収めて、
「新皇」を称して岩井（茨城県坂東市）に政庁を置いた。

これに危機感を抱いた朝廷は全国の民に将門の首をとった者は
貴族とする旨の通達を出した。その59日後、940年に仇敵国香の息子、
平貞盛と藤原秀郷との会戦中に、流れ矢に当たって没したとされる。
その首は京都へ運ばれさらし首となる。この将門の首に関連して、
各地に首塚伝承が出来上がった。

最も著名なのは、後述の東京・大手町の首塚である。
将門の乱は、ほぼ同時期に西国・瀬戸内海地方で藤原純友が起こした
乱と共に「承平天慶の乱」と呼ばれる。

尚、千葉県成田市の成田山新勝寺は、将門を調伏するために朝廷によって
建てられた寺院である。このため、将門とその家来の子孫は千年以上たった今でも成田山新勝寺へは参詣しないという。

また、神田神社（神田明神）の氏子も、成田山新勝寺へ詣でると、
産土神である平将門命の加護を受ける事が出来なくなるとの言い伝えにより、参詣しない者が多い。

将門の名誉回復は、江戸幕府三代将軍、徳川家光の時代に、
烏丸光広が将門伝説の顛末を聞き、朝廷に赦免を申請したことで、
朝敵の汚名を返上するに至った。とはいえ、歴史上において将門は
朝廷に弓をひいたには変わりなく明治から終戦前までは、天皇にそむき、
新皇と名乗った逆賊として扱われた。

戦後は反天皇制の時代的機運から、朝廷の理不尽な支配に敢然と立ち向かい、新たな時代を切り開いた英雄として扱われることが多くなった。
さらに現在ではそのような見方も沈静化し、より学術的な面からの研究が
期待されている。

一方では江戸時代、徳川幕府によって江戸の街を守る霊威たるべく
神田明神の祭神の一柱として祀られた。神田明神は、幕府によって
江戸城の鬼門にあたる現在地に遷座されたと言われ、幕府の尊崇を受けた。

これは、徳川氏が朝廷に反逆した将門を将軍居城の鬼門に据える
ことにより、幕政に朝廷を関与させない決意の現われだという。
神田明神の「かんだ」は、討伐され首を切られた将門の胴体、つまり
「からだ」が変化したものという説もある。

東京都千代田区大手町にある将門の首塚は、移転などの企画があると事故があったりして、威力を感じる人もいる。東京の霊的守護をテーマに盛り込んだ荒俣宏の小説『帝都物語』で採り上げられるなどして広く知れ渡ると、「東京の守護神」として多くのオカルトファンの注目を集めるようになった。

ジャンル別一覧