星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

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2022.02.02
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カテゴリ: 日本への帰省
​ 原田マハ著「常設展示室」は6篇からなる短編集で、各篇毎に1枚の絵とその絵が展示されている美術館が登場し、その絵に纏わる人間模様が描かれています。絵画好きにはどの美術館のどの絵が登場するのかとワクワクする一冊です。

 各篇のタイトルに「絵」のヒントも隠されていて第4篇のタイトルは「薔薇色の人生 La vie en
rose」で美術館は「上野にある美術館」とだけあります。

 上野にある「国立西洋美術館」は帰省時にも一度行きました。私には思い出深い美術館で検索してみると確かにゴッホの「薔薇」を所蔵していますが、残念ながら私はこの絵をこの美術館で見た記憶がありません。


1889年 国立西洋美術館「松方コレクション」

「川崎造船所」の社長であった実業家「 松方幸次郎(1865-1950)」は仕事の傍ら、 1916年に商用で訪れたロンドンで初めて美術品を購入し、その後フランスでも印象派の絵画を中心に購入を続け 「国立西洋美術館の松方コレクション」の基礎となる絵画の数は1万1千点に及んだそうです(うち8千点の浮世絵は皇室に献上)」そして鬼集した時期はわずか1910年から20年の10年間ほどというのにも驚かされます。




「アルルの寝室」 ゴッホ 1889年 オルセー美術館蔵(見学ガイドから)

 パリの「ロダン美術館」に保管していたゴッホの「アルルの寝室」とルノワールの「アルジェリア風の パリ の女 性」 を含む400点の絵画等は第二次世界大戦終了後に「敵国の財産」としてフランス政府に接収され、戦後処理のため1951年(前年に松方幸次郎氏は亡くなっています)に開催された「サンフランシスコ講和会議」で吉田茂首相が返還を求めたという経緯を読んで、返還を巡る戦いのスケールの大きさに驚きました。

 結局ゴッホとルノワールの2点はフランス政府から返還について強い反対があり、また保管料との相殺のようなもので
結局日本に返還されたのは絵画196点を含む370点のみだったそうです。

 フランス政府は返還に当たって美術館を建設しそこで展示することを条件としたそうで、松方幸次郎氏本人が亡くなってから9年後の1959年に「国立西洋美術館」がオープンしています。
初めて「国立西洋美術館」に行った時、ロダンの「考える人」が前庭に置かれていて「何故ここに?」と思いましたが、このような経緯があったのかと納得し、こう いう歴史を踏まえて是非再度訪れたい美術館です。










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最終更新日  2022.05.06 16:51:51
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