power☆rainbow

宝物


水泳、習字、バレエ、ソロバン、塾・・・ 
さまざまな習い事をしてきた。

その中で唯一私が続けてこれたもの。

それは、ピアノだ。


幼稚園の頃から高1の今でもまだ続けている。
ピアノが大好き。
音楽が大好き。
そういう気持ちは確かにある。
しかし、それだけではない。

いつも好きになる人は、スポーツマン。
たまに不良もいたけど、大体背高くてかっこいい。

一目ぼれしまくりで、
芸能人もそういう人が好き。
それは、今でも変わらないが、
一つの出会いが私を変えてくれたのだ。

ー中二の12月。ー
水曜の放課後、ピアノ教室へ通う。

(忙しくてあんまり練習してないから、先生に怒られそう)

「こ、こんにちは」
(あ、あれ?先生がいない。どうしたんだろう??)
でもピアノの前には、人がいる。
よく見ると男性だった。

さくら「あ、あの~。」

大「こ、こんにちは。もしかして青木さんですか?」

さくら「あ~、はい。青木 さくらです。」

大「実は、小林先生のだんなさんが入院してしまって看病で  忙しくて、
ピアノ教えられないので代わりに教えさせて  いただくことになった元木 大って言います。
  よろしくお願いします。」

さくら「えっ!本当ですか。こちらこそよろしくお願いします。」


それから数ヶ月さくらは、大先生にほめられたくて一生懸命練習した。

大「青木さん、ずいぶん上達しましたね。
  よく頑張りました。残念ながら今日でお別れです。」

さくら「ありがとうございます。大先生のおかげです。
    では、お元気で。」


大先生に何も言えぬまま、さくらはさよならをした。

私がピアノの前に座り、思い出すのは大先生のこと。
大先生がどこへ行ったのか私は知らない。
ただピアノの前に座ると思い出し、
幸せになれる。
だから今でも大先生と私を出会わせてくれた
ピアノは、一番大切な宝物なんだ。



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