「神戸新聞」 23 年 1 月 9 日付 2 面の「政流考」という欄に、「その金で何が買えるか」という副題で、「防衛費 17 兆円増 欠けた視点」という一文が掲載されている。
「 4600
億円あれば、日本で盲導犬を待つ目の不自由な人全員に盲導犬が買える。 985
億円あれば、全世界の難民に 1
年分の経口補水塩を供給できる。 1999
年出版の「あの金で何が買えたか」は、作家村上龍さんが当時日本を襲った金融危機を受けて書いた絵本だ。」
当時の公的資金の注入を頭において村上さんが書いたことに触れたのち、以下の様に続く。
「 20 年以上前の本を思い出させたのは、昨年末に大した議論もなく決まった防衛費増額だ。防衛費は今後 5 年間で約 17 兆円増えるという。」
「防衛費は 27
年度以降、毎年 4
兆円程度の財源が必要になる。慶応大の井出英策教授 (
財政学 )
の試算によれば、国内の全大学の授業料を無料にし、介護費用の自己負担をなくしてもお釣りがくる額だ」。
コロナによる死者は、 1 月で 1 万人に達した。しかし、病床のひっ迫度合いは一向に改善されていない。エッセンシャルワーカーと呼ばれた医療従事者、特に介護、看護にあたる人たちの労働条件が大幅に改善されたというニュースは私の耳には届いていない。
ウィズコロナというのは、月に 1 万人もの患者が亡くなっても仕方がないという事なのか ? 「緊急事態宣言」など思いもよらないという雰囲気だ。
麻生が、「思っていたよりも反対が少ない。国民の理解が得られた」とほざいている。ウクライナ戦争、いわゆる台湾有事が報じられる中で、「生活」が忘れ去られ、「これもか ! 」と驚くほどの品目で値上げが続き、高齢者の医療費負担増が実施され、さらに、賃金は上がらない。一人当たり GDP も世界 27 位。「私の生活は満足すべき状態なのか ? 」と問う前に、「なんだか危ないから防衛費を増やすのは当然、或いは仕方がない」という人の割合が世論調査によっては 50% に達するのは、どう考えても、「生活が置き去りにされている」としか思えない。
この傾向は、容易に、「楽していい生活している公務員」という言説と結びつく。「親ガチャ」という言葉が一時流行った。嫌な言葉だ。何が嫌かといって、本丸を除外した言葉だからだ。「親ガチャ」ではない。本当は「政府ガチャ」なのだ。
現在の自・公政権になって何年たつか ? その間に、あなたの暮らし向きはよくなりましたか ? 選挙で票を投じる時に、まず考えなければならないのはこのことではないのか ?Comments