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プーさん大好きな忘れん坊の母日記
小説NO.3 「愛の形」
愛の形 ~ St. Valentine~
「お兄さん、遊ばない?」
振り向くと、そこにはセーラー服の少女が立っていた。
「3万でいいよ。」
立ち止まった俺の腕に親し気に腕を絡ませてくる。
「ちょっと待てよ。俺はまだ何も言ってないぞ。」
初めての経験に俺は戸惑いを隠せなかった。
「いいじゃない。それとも私のこと嫌い?」
そう言うと彼女は俺の顔を覗き込む。
「そうじゃないけど・・・君、高校生だろ?」
「そんなこと、どうでもいいじゃない。ね、行こう。」
彼女は、強引に俺の腕を引っ張って行く。
「ちょっと・・・君・・・」
そう言いながらまんざらでもない俺は、
彼女に引っ張られるままについて行った。
「ここにしよう。」
着いたところは、白い建物だった。
「友だちが、このホテルは素敵だって言ってたの。」
喫茶店にでも入るかのように彼女はホテルに入っていった。
(なんか危ない子だなあ。でも、まあいいか。)
こんなチャンスはめったにないぞと思い、俺は彼女につきあうことにした。
「わあ、本当に素敵。お城みたい。」
部屋に入った彼女は、子供のようにはしゃいだ。
(可愛いなあ)
ベッドで跳ねる度に揺れる胸、
セーラー服の短い上着からはちらちらと白い肌が見える。
俺の理性はだんだん薄れて行った。
「本当にいいのか?」
俺の声に、はしゃいでいた彼女が急に静かになった。
ベッドの上にぺたんと座りじっと俺の方を見ている。
「来て。」
両手をのばした彼女を俺は静かに抱きしめキスをした。
彼女は、小刻みに全身を震わせている。
「どうしたの?」
「なんでもない。早く抱いて。」
彼女は目を閉じて自分からベッドに横たわった。
そのとき彼女のスカートのポケットから何かが落ちた。
*** 私立南女子中学校 1年 高見沢 杏 ***
生徒手帳だった。
「ちゅ、中学生?」
「返して!」
彼女はあわてて俺の手から手帳をとった。
「君、中学生だったの?」
「いいじゃない。中学生だって援助交際してる子たくさんいるもん。」
(何いってんだよ、おまえがよくても俺は犯罪者になるつもりはないんだよ!)
俺は、内心びびった。
「いつもこんなことしてるのか?」
彼女は黙ってしまった。
なんとなく『わけあり』のような気がした。
「どうしてこんなことするんだ?」
うつむいた彼女の顔を覗き込むと彼女は泣いていた。
「お兄さん・・・・」
そういうと彼女は俺の胸に飛び込んでわーわー泣き出してしまった。
俺は、どうしようもなくそのまま彼女に胸を貸すしかなかった。
30分も泣いていただろうか。
彼女は、よくやく落ち着きを取り戻し、
ぽつりぽつりと話し始めた。
その話は、どこにでもあるような話だった。
彼女の家庭は、今崩壊しつつあるらしい。
毎日くり返される両親の言争い。
彼女の事なんか少しも考えてくれないと言う。
彼女は一人っ子で相談する人もなく、
もうどうにでもなれと思って、今日街に出たらしい。
「でも、どうして俺に声をかけたの?」
素朴な疑問だった。
俺は、いい男でもないし金持ちにも見えない。
「わからない。なんとなく・・・なんとなくこの人だって感じたの。」
彼女の答えは、そのまま俺にもつながった。
彼女の事をなんとなく放っておけない気がした。
「ねえ。お兄さんの事教えて。私のことだけばれてるのって不公平だよ。」
そう言えば、そうだ。
「俺の名前は、橘 勇次。22才のサラリーマン。」
「へえ。社会人のお兄さんだったんだあ。それじゃあ中学生はまずいよね。」
彼女はやっと笑ってくれた。
「よかったら、これから俺が相談相手になるよ。」
俺は、携帯の電話番号を教えた。
「ありがとう。私本当はこんなことしたの初めてだったの。
Hの経験もなかったから・・・恐かった。」
道理であのとき震えてたはずだ。
「じゃあ、今から君の事を妹だと思って杏って呼ぶ事にする。」
「じゃあ、私はお兄さんだと思って勇次さんって呼ぶね。」
にっこり微笑んだ彼女のあどけなさは、やっぱり中学生だった。
あの日から、俺と杏は毎日のように会っていた。
杏は家にいるのがたまらないと言っては俺の家に上がり込んだ。
学校の話、友だちの話、そして時にはSEXの話も平気でしてきた。
「私、今日は生理なの~。」
などと、平気で言うのである。
まあ、13歳の女の子の言う事である。
俺は、出会ったときの杏の色気などとうに忘れていた。
休みの度に俺達はいろんな所へ出かけた。
杏は両親が長い間不仲だった事もあり
家族で外出すると言う事は殆どなかったらしい。
そのせいか、出かける場所は遊園地や動物園など子供が行きたがるような所ばかりだった。
俺は、年の離れた妹のおもりでもするようなつもりで杏をどこへでも連れて行った。
杏の笑顔は、男兄弟で育った俺には本当に可愛かった。
そうして、3年の月日が流れて行った・・・
ある日、俺が会社から帰ると杏が電気もつけないで
部屋に座っていた。
「どうしたんだ。電気もつけないで。」
そう言いながらスイッチを入れた俺の前に
涙で顔をくしゃくしゃにした杏がいた。
「勇次さん・・・・」
そう、あのときと同じように杏は俺の胸で泣いた。
俺は、杏の髪を撫でながら気のすむまでそのままでいた。
しばらくすると、杏ははっとしたように俺から離れた。
後ずさりをすると、俺の方をじっとみている。
「どうしたんだ。とにかく座って話してみろ。」
俺はいつもと様子が違う杏に少し距離をおいて座った。
杏はしばらく黙っていたが、少し強い口調で話し始めた。
「今日、お父さんが・・・」
そこまで言いかけて唇をかんだ。
「お父さんがどうしたんだ?」
「お父さんが・・・他の女の人とSEXしてた・・・」
俺は、一瞬言葉を失った。
「何だって?」
「今日は、学校が午前授業だったの。
それでいつもより早く帰ったら・・・
寝室から声がするの。
ドアが少し開いてたから何だろうって覗いたら、お父さんが・・・・」
そこまで言って彼女は俺の方をきつい眼差しで見た。
「私のために離婚しないって言って・・・何が私のためなの?
平気で家の中にお母さん以外の人を連れてきて・・・大人って汚いよ!SEXなんて汚いよ!」
杏はまた目に涙をいっぱいためて俺に訴えるように言った。
俺は、言葉を失った。
こんな形でSEXを受け入れてしまった杏に
SEXは素晴らしいものなんだと理解させる言葉が見つからなかった。
同時に杏はあのときから随分成長したんだと思った。
俺は、杏を抱きしめた。
「愛しあう者同士のSEXは、とても素敵なものなんだよ。
でも、それを理解するのは今の杏には難しいと思う。
それが分かるようになるのは、杏が本当に誰かを愛した時だ。
愛すれば自然にその人に抱かれたいと思うようになるよ。
俺は杏に、その時まで自分を大切にしてほしい。」
杏はしばらく考えていたがこっくりと頷いた。
「さあ、夕食にしようか。」
この頃になると、杏はほとんど俺の家で生活していた。
本当の兄妹のように・・・
でも、今日・・・俺は杏を異性として感じてしまった。
彼女を抱きしめた時、3年前にはなかった胸の膨らみや
丸みを帯びた身体のラインをはっきりと感じてしまったのだ。
そして、心から杏を支えてやりたい、俺だけのものにしたいと思っていた。
でも、今彼女を抱く事はとうていできなかった。
彼女の傷が癒えるまで俺はこの気持ちを深く胸の奥にしまっておこうと思った。
あれから2ヶ月がたった。
「明日は早く帰ってきてね。」
杏はいつものように俺に夕食を作りながら言った。
「え?何かあったっけ。」
心当たりのない俺は問い返した。
「ひ・み・つ。でも、楽しい事だよ。ぜ~ったい早く帰ってきてね。」
いつもの笑顔でかわされてしまった俺は、何だろうと思いながら
とりあえず早く帰る事にした。
「ただいま。」
約束通り早く帰った俺に杏はごちそうを用意して待っていた。
「じゃーん。今日は何の日でしょう。」
考え込む俺に、杏はテーブルの上のチョコレートを指差した。
「そうか。今日はバレンタインデーだ。」
「ピンポーン。そうです今日は女の子から愛の告白をする日です。」
そう言って、杏は俺にチョコレートを手渡した。
「ありがとう。義理チョコでも嬉しいよ。」
そう言った俺に杏はちょっと不機嫌な顔をした。
「違うもん・・・義理じゃないもん・・・本命だもん。」
「え?」
思いもかけない告白だった。
「だって・・・杏は俺の事兄貴だと思ってるんじゃ・・・」
「そうだったよ。あの時までは・・・でも、あれから考えたの。
そして思ったの。勇次さんにだったら抱かれたいって。
私・・・いつのまにか勇次さんを愛してたんだって。」
杏は頬をちょっと赤くして告白してくれた。
「そうだったのか。じゃあ、俺達本当は愛しあっていたんだな。」
その言葉を聞いた杏に、とびっきりの笑顔がこぼれた。
「本当?勇次さんも私の事愛してくれてたの?嬉しい!」
そう言うと俺の首に腕をまわしぶら下がるように飛びついた。
「おいおい、首が折れちゃうよ。」
そう言いながら俺は杏を抱き上げた。
そして、そのまま唇を重ねた。
あの出合いから3年、初めての愛を交わした瞬間だった。
俺は、そのまま杏をベッドに連れて行った。
「いいんだね。」
彼女はだまって目を閉じた。
杏の裸は眩しかった。
俺は、明かりの下で彼女のすべてを見つめていた。
「恥ずかしい。電気を消して。」
杏は両手を延ばし俺を求めた。
再び唇を重ねる。
今度は舌を絡ませ杏の中に入った。
そして、俺の手が彼女の胸に触れた。
「イヤ~!!!!」
突然彼女は俺を突き放した。
急いで毛布を身体に巻き付けベッドの隅で背中を向けた。
俺は、突然の事に驚いた。
「どう・・・したんだ・・・?」
杏は震えていた。
「ごめんなさい・・・私・・・自分でもわからないの。勇次さんに抱かれたいと思って・・・
でも、勇次さんの手が胸に触れた瞬間にあの時の事が頭に浮かんできたの・・・
ごめなさい・・・ごめんなさい・・・」
杏は泣きながら俺に謝った。
俺は、自分を責めた。
2ヶ月前の出来事を俺は忘れていた。
杏にとってあの時のショックがどれほど大きなものだったか
俺は彼女の気持ちを本当にわかっていなかったんだ。
「ごめんよ。俺の方が悪かったんだ。」
俺は、泣きじゃくる彼女をそっと抱いた。
「杏・・・結婚しよう。」
彼女は驚いたように俺を見た。
「今すぐじゃなくていいんだ。君がもう少し大人になって、
自然に俺を受け入れられるようになったらその時でいい。
俺のそばにずっと居て欲しいんだ。
愛しているよ・・・杏。」
そして俺は彼女の涙を唇でぬぐった。
「いいの?本当にこんな私でいいの?」
杏は何度も何度も聞き返した。
俺は、それに答えるように彼女を抱きしめキスをした。
今まで杏の歩いて来た道は決して幸せなものではなかったと思う。
俺は、今までその道で転ばないように杏を支えて来たに過ぎない。
でも、今日からは違う。
杏に転んでも怪我をしないような道を歩かせてやりたい。
いつも安心して歩いていけるような道を。
********* 愛する 杏へ ***********
大切な君だから
唇だけで十分さ
これが俺の愛の形
君のすべて欲しく無いと言えば嘘になる
だけど・・・
今のままで君の愛が感じられるなら
待つよ・・・俺は・・・
君が俺の永遠の恋人となる時を
あと2年
この2年間二人の愛を大切に育てよう
そして18才の誕生日
二人でウエディングベルを鳴らすんだ
And fly away いつの日か・・・
**************** 勇次 ******************
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