青銀狼の一匹劇場

青銀狼の一匹劇場

第20話 消えない傷『前』



玉乗り6兄弟の物語

第二十話 消えない傷『前』

イルートの街に来て三日目の昼を迎えていた。アクティとアクリュは何時になったら戻ってくるのか。リュシフルは2日間サリカの店で寝泊りすることができた。空は薄雲がかかっていて、太陽は少しまぶしい程度。
「はぁ、何処にいったんだろう・・・。野生のドラゴンに食べられていたりしていないだろうか・・・。」
1人外にでて空を眺めながらアクティとアクリュのことを思いつめていた。唯一兄弟の中でも育てるのが大変な幸運種でもある。
「大丈夫ですよ。きっと無事で居ますよ。」
店からサリカが出てきた。
「サリカさん。」
「その幸運種さんたちがどんなドラゴンか私には分りませんが、きっと無事で戻ってきますよ。」
リュシフルに励ましの言葉をかけてあげた。
「ありがとうございます。」
再び空を見上げるリュシフル。少しの隙間から青空が見えた。それと赤色とオレンジ色に光る物体も。赤色とオレンジ色?もしかして。
「ん?・・・隕石か?・・・にしては勢いがないし、形も変だよな。」
確かにスピードに勢いもないし形が変だ。徐々にその物体はこちらに近づいてくる。そして熱風が巻き起こり、熱い空気が流れ込み、誰かが降りてきた。この者、炎最強種だ。
「ふぅ、確かこの街でよかったよな。」
「僕に聞かれても・・・あれ?・・・あ!ご主人だ!」
「本当だ!ご主人~!」
と、背中に2匹の幸運種、アクティとアクリュが乗っていた。よかった、2匹とも無事だったんだ。
「アクティ、アクリュ!よかった、無事だったんだね!」
2匹の幸運種が降りてきてリュシフルの懐に抱きつく。
アクティ「ごめんご主人・・・心配かけて。」
アクリュ「このまま終わっちゃうと思ったけど・・・うぅ。」
思わず涙が零れる。
「おいおい、泣くなよ。無事で戻ってきてよかったよ。ところでこの炎最強種は?・・・ってお前!バローゼ!」
「あぁ?何か用か。・・・って、リュシフルじゃねぇか!何で貴様がここにいやがる!」
突然のことに二人は驚いた。過去からの知り合いなのか。
「もしかしてバローゼ・・・お前がさらったのか・・・?」
恐る恐るちょっと疑うようにリュシフルが聞く。
バローゼ「んなわけねぇだろうが!ったく、まさかこのチビどもがお前のご主人だったとはな。」
「悪かったな、こんなご主人でよ。(あ、そうだ。久しぶりに会ったんだし、頼んでみるか。)バローゼ、俺を背中に乗せろ。」
リュシフルが言う。バローゼの背中に乗って何をしようというのか。
バローゼ「あぁ?何で乗せなきゃいけねぇんだよ。」
「いいから俺を背に乗せろ。」
「ちっ、わかったよ。」
面倒くさそうに、バローゼは屈んでリュシフルを背中に乗せる。これから何処かへ行くのでしょうか。
「ちょっとそこら辺を飛んできます。申し訳ないのですが、兄弟達をよろしくお願いします。」
「わかりました。行ってらっしゃいませ。」
アクティ・アクリュ「行ってらっしゃ~い!」
そしてバローゼとリュシフルは上空へ飛び立っていった。


「にしても久しぶりの再会だなバローゼ。あれから2年は経ったか、お前も変わったみたいだな。」
バローゼ「そんなに覚えていねぇよ。だが、あれだけは忘れられなかったがな・・・。」

『え?ファンドル火山に?』
『あぁ、そこに俺ぐらい強いドラゴンが居るって聞いてな。しかも炎最強種だ。』
リュシフルとルクは強いドラゴンと戦うため、ファンドル火山へ散策しようと話し合っていた。
『テイマーは居るの?』
『いや、野性のドラゴンだが、聞いた話によると少しは口を聴けるらしい。名は爆炎竜のバローゼとかいったはずだ。』
爆炎竜のバローゼ。リュシフルは聞いただけで鳥肌が立った。いかにも強そうな名前だし、しかも炎最強種。打撃には抜群の能力を誇っているに違いない。
『それでそこに行って腕試しをする・・・か・・・。』
『どうしたんだ?もしかして怖いのか?』
ルクがからかうように言った。
『べ、別にそんなわけじゃないよ。さぁ、修練を積もう。』

翌日。リュシフルとルクはファンドル火山へ向かうことに。30分ぐらいして、目的地に到着した。辺りを見回すと、緑は勿論のこと一つも見られない灼熱の地。地面から蒸気が出ているところもある。
『さて、俺が戦うドラゴンは何処に居るのやら。』
地上に降りるルク。すると早速ルクの下に赤色に染まるドラゴンがやって来る。こいつが爆炎竜のバローゼか。
『久しぶりの餌じゃねぇか。しかもテイマーと一緒に俺のなわばりに入ってくるとはな。』
『お前がバローゼだな。俺の名はルク。見ての通り光最強種だ。今日はお前と腕試しをするためにここに来た。リュシフル、ちょっと降りていてくれ。』
ルクの言われたとおりリュシフルはルクの背中から降りる。
『腕試しをしにきたぁ?貴様、ここに来た本当の理由が分ってんのか?』
腕試しをしに来た。小さな針が刺さったかのようにバローゼはムッとした。
『あぁ、ここに来た本当の理由か。さっぱり分らねぇな。』
挑発する言葉で投げ返す。いきなり相手のペースを崩す作戦にでたのか。だが、既に戦闘は始まっていた。後にこの言葉が命取りになろうとは思ってもいなかった。
バシッ!一瞬何かが弾けるような音がした。ふっとルクの方に目を向けると、バローゼと組み合いになっていた。
(くっ・・・思ったより凄い力だな。)
腕を掴まれただけで感じた。この炎最強種の力、岩でも軽々砕いてしまうぐらいの力はある。打撃力も相当の能力を持っているはずだ。
『先に忠告しておく。死にたくなければ潔くここから立ち去れ。』
『何か言ったか?俺には全然聞こえなかったがな。』
更に追い討ちをかけるように挑発した。でも、ルクにはこんな強いドラゴンと戦えることを光栄に思っているから、あえて反発する言葉をぶつけたのだろう。
『どうやら死にてぇらしいな。口で言っても分らねぇドラゴンと出会ったのは初めてだぜ。』
バローゼは握っていたルクの腕を焼き焦がそうとした。しかし、上手くルクが振り払い距離をおいた。
『ふっ、そうこなくてはな!』
光が身に纏いバローゼに突進していく。神旋風だ。
ドスッ!鈍い音がするが、バローゼは身構えていて神旋風は全く効かなかった。
『てめぇの能力はそんなものか?物足りねぇんだよ!』
すぐにルクを殴り飛ばし反撃をする。
『ぐぁあっ!・・・くっ・・・まだ始まったばかりだ。』
ひるんだ隙をみて今度は何やらブツブツと言い始める。
『大地を守りし荒れ狂う者よ、爆炎の力を今、我に与えよ。(すぐに終わらせてやるぜ。)ファイアテンペスト!!』
大きな火球が勢いよく飛んでくる。打撃以外に魔法でもかなりの能力を持っている。すかさず反射の盾を張るが威力が強すぎる。
『ぐぅっ・・・魔法も相当の能力を持っていたとは!・・・ぐぁあっ!』
『ルク!』
シールドが壊れ爆流派が襲いかかる。多少シールドで和らげることができた。だが、一瞬の隙を見逃さず、次の攻撃が襲いかかる。
『どうしたんだ?貴様の実力はそんなものか?俺に傷一つぐらい与えることができるのか?甘いんだよ!』
何発もののフックをいれる。ヴァンプラッシュで相手を弱らせる作戦に出た。
『ぐぁあっ!・・・うぐっ!・・・あぐぅっ!・・・。(予想していたより違っていたな・・・こんなに技をまともに喰らうとは・・・。)・・・うっ!!』
鳩尾を喰らってしまった。ルクは地面に片膝をつき片方の足で身体を支える。意識が途絶えようとした。
『ちっ、オラァ立て。』
バローゼはルクの首を掴んで無理やり立たせる。
『惨めだなぁ、戦を挑んでおいてその程度か。』
ガスッ!また殴り飛ばす。もはやルクに勝目は無いはず。と、飛ばされたルクの背後に黒いフードを着た者が立っていた。
『ケケッ、さすがは爆炎竜のバローゼ。すごい能力を持っていますねぇ。』
『あぁ?誰だてめぇ。俺の名を知っているようだが、邪魔なんだよ。そいつは俺の獲物だ。』
黒いフードを着た人に威圧をかけるが逃げようとはしない。むしろ何か企んでいるように見える。
『威勢がいい炎最強種ですね。まぁこれも我々が望むためのことだ。』
すると懐から何かを取り出した。いや、手のひらから黒い半径型のリングが現れた。それをルクの首に取り付ける。
『な・・・なんだ・・・うがぁっ!』
『ルク!・・・ルクに何をした!』
『まぁ見ていればわかりますよ。ケケッ。』
見ていればわかる。何が起こるというのか。ルクの目が赤くなり低いうなり声をあげる。と、立ち上がってバローゼを睨みつける。
(何だ・・・さっきと一変して雰囲気が違うじゃねぇか。何をしでかしたんだ・・・。)
ルクは地面を蹴ってバローゼに突進していく。本来なら神秘な光が表れるはずなのに、邪悪な光が表れた。殴りかかるルク、ガードするがさっきより威力が増していて防ぐのに精一杯だ。一瞬隙が空いたかに見えて反撃をしようとしたが腕を掴まれた。
『グルルル。』
ルクの鋭い爪がめり込んでいく。そして・・・ザシュッ!!
『グガァアアッ!!』
腕を切り裂かれてしまった。血が大量に流れ落ちていく。
『ケケッ。さすがカオスリングの能力ですね。』
カオスリング。先ほどルクの首に着けた黒い半径型の首輪。
『か・・・カオスリングだと・・・ふざけるな。』
『ふざけてなんかいませんよ。まぁせいぜいその光最強種の餌になるがいい。最も両者が餌になることもあるでしょうけど。ケケッ。』
この者、わざと二者を殺すために仕掛けた罠なのか。
『くっ、待ちやがれ!・・・ぐぁあっ!』
黒いフードを着た人はその場から姿を消し去った。一目見てこいつはただ者ではないと分った。
目で追っているうちにルクが突進してきた。
(どうしたんだよいったい・・・。何が起こっているんだよ・・・。カオスリングって・・・!!あの時襲いかかってきたときの!確か破壊すれば我に返るはずだけど・・・今の状況からして無理だよ。)
以前に見たことがある。そう、リュシフルがルクと出会った日の時に。リュシフルは思考したが、どうしたらいいのか分らなかった。
バローゼも右腕に重傷を負っているし、まともに戦うことすらできない。
(いくら野生のドラゴンでも、これ以上傷つけるわけにはいかない。やはり・・・俺が止めるしかないのか。)
このとき思った。他に助けを求めることはできない。もう自分でいくしかないと。
『やめろルク!』
リュシフルの声に反応して睨みつける。いつも見ているルクともう別人に見えた。
『俺が分らないのか・・・?俺を忘れてしまったのか?』
元に戻ってくれ。そう言いながらリュシフルは近づいていき、距離が1メートルぐらいになったときだった。
『グルルルル、グガアアァア!!』
腕を振りかざしリュシフルを鋭い爪で切り裂こうとした。リュシフルが危ない。

第20話「消えない傷(前)」おわり

え~っと、大変申し訳ないのですが、今回はストーリーが大幅に長く
なったため、前と後にわけることにしました・・・(滅)
後の方はまた時間がかかりそうですのでしばらくお待ち下さいm(_ _;)m
気合いを書いたつもりがまぁた台本っぽくなってしまいましたね(汗)
とりあえず辛口のコメントもお待ちしております!

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: