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青銀狼の一匹劇場
第23話 無
玉乗り6兄弟の物語
第二十三話 無
もうだめだ。諦めかけていたその時だった。何か気配を感じた。後ろを振り向くと、さっき罠にかかっていたところを助けてあげた、幼竜のドラゴンがシールドを張り守ってくれていた。
「お、お前!助けに来てくれたのか!」
びっくりして言うと、幼竜のドラゴンはこちらを見て輝く瞳で見つめた。でも苦しそうだ。相当威力が強い魔法技を放ったとみてウォールに指示を出した。
「ウォール!お前も手伝うんだ!」
ウォール「分かったよご主人!」
ウォールがシールドを張り手伝う。
レッシュ「僕も負けないです!」
更にレッシュも加わりシールドを張る。衝撃を吸収しエアロストライクを跳ね返した。
「グァアアアア!!」
大きな鳴き声が響き渡る。相手が怯んだ隙をみてウォールとレッシュが強力な技を放つ。
ウォール・レッシュ「魔法覚醒!サンダーテンペスト!!」
灼熱の火炎と電撃が直撃する。ドーン!!大きな爆発音がした。煙が立ちこめるが、少しずつ消えていくと片方の翼と腕を持ったドラゴンは倒れていた。すると、そのドラゴンからだろうか、誰かの声がする。
「死してなお、対であろうとする者よ。その愛はすべての時間を越えた。まだ生きては返さぬ。必ず我らが息の根を止めてみせよう。」
と、光の粒子となって消え去っていった。
ウォール「何なんだいったい・・・。」
レッシュ「必ず我らが息の根を止めてみせようって・・・。」
本当に倒したのだろうか。最後に言ったことが気になる。
「グルルル。」
助けてもらった幼竜のドラゴンが唸り声をあげ始めた。すると無数の光の粒子が現れ幼竜のドラゴンを覆い、眩い光を放った。そのドラゴンは幼竜から成竜に進化した。
「成竜に進化した・・・。」
さっきの戦いで経験値を積んで進化したのだろう。成竜に進化したドラゴンは何かしぐさをとった。
「何て言っているのだろう。」
エルム「ついて来てって言ってるみたい。」
解釈したエルムに言われた通り、リュシフル達はついて行く。と、そこにあったものは。
エルム「あ!あったわ!あれが氷雪草よ。」
なんとそこには氷雪草があった。早速エルムは氷雪草を摘んでアクティの下に持っていく。
エルム「少し苦いけど我慢してね。」
氷雪草をアクティに与える。
アクティ「(もぐもぐ)けほっけほっ!・・・うぅ・・・苦いよ~。」
それを見ていたリュシフルがボトルに入った水を渡す。ごくごくと水を飲むアクティ。よほど苦味が利いた草なのだろう。
アクティ「けぽっ・・・少しは楽になったみたい。」
アクリュ「良かった無事に氷雪草が見つかって。」
レッシュ「あの炎成竜ドラゴンのおかげです!」
ウォールが倒されそうになるところを助けてもらったし、アクティを救うための氷雪草も見つけてもらった。何かお礼をしなければと思った。リュシフルが近づいてお礼の言葉をかけるが、炎のドラゴンは首を横に振った。
エルム「ううん、お礼を言うのはこっちの方。あの時助けてもらっていなければ、殺されていたかもしれない。助けてくれてありがとう。て言っているわ。」
またエルムが解釈してあげる。たまたまリュシフルの兄弟達が戦っているのを見かけて助けないといけないと身体が動いたのだろう。それに、さっき助けてもらったお礼もしたかったと思った。炎のドラゴンはまたついて来てくれと動作をとった。それを見てリュシフル達はついて行く。
ウォール「今度は何があるんだ?」
「う~ん、俺にもちょっと分からないなぁ。アクティ歩けるか?」
アクティ「まだちょっと・・・。」
苦笑いしてリュシフルに言う。またむやみに歩かせて、疲労を溜めると降り返してくるかもしれない。
「よいしょ。さぁ行こう!」
またアクティを背負って炎成竜の後ろをついて行く。
ウォール「なぁレッシュ。」
レッシュ「なんですか?ウォール。」
歩きながらウォールがレッシュに話しかける。
ウォール「さっき倒したドラゴン、やはりまだ生きているんじゃないかって思ってるんだけど、レッシュはどう思う?」
レッシュ「やっぱりウォールも気になるですか。僕も同じ気持ちです。何かこの先に殺気立つものが待ち構えているんじゃないかって。でも、あまり気にするのもよくないです。」
ウォール「それもそうだな。後さ・・・。」
何か言いたそうだ。ちょっと言葉が詰まってしまった。
ウォール「俺とレッシュのあの技、今度名前を決めようぜ。」
ちょっと笑いながら言った。この時レッシュはウォールが初めて笑ったところを見た。
レッシュ「(ウォールが笑った・・・。初めて見たです。)はい!かっこいい名前にするです!」
そして、約二時間して。北西部の森を抜けることができた。と、目の前の少し遠くに暗黒にそびえ立つ城が建っていた。あれがデスドレイク城、あそこにアクシスが居る。
「ついにここまで来たか・・・あそこにアクシスが・・・。わざわざここまで案内してくれてありがとう。」
リュシフルが炎成竜にお礼を言う。それを聞いて炎成竜もうなずいた。
アクリュ「あ、誰かこっちに来るよ。」
アクリュが前方を指す。と、馬だろうか、いや、それにしても下半身に足が4本あり、上半身に両腕。まるでケンタウルスみたいだ。しかし、上半身は黒いフードで覆いかぶさっており、姿が分かりにくい状態だった。
「グルルルル。」
炎成竜のドラゴンが低い唸り声をあげ警戒する。
「お、おいどうしたんだ?」
ちょっと戸惑うリュシフル。徐々にこちらに近づいてくる。すると・・・。
「貴方がリュシフル・・・ですね。」
いきなり自分の名前を言われた。リュシフルは過去を思い出した。黒いフードで思い出し、ルクにカオスリングを取り付けたのと何か関係があるのではと。でも、雰囲気が違っていた。
「はい、そうですが・・・どうして俺の名を?」
「これは失礼。私の名はイプシロン。こう見えても私はドラゴン、貴方のことは前から存じています。ある事情があってこの黒装束を見に纏っているが気にしないでほしい。」
この者、ケンタウルスのように見えて実はドラゴンだった。よく見ると背中に二枚の翼が生えていた。にしても何か闇を漂わせるような雰囲気だ。
ウォール(何か怪しいな・・・。)
レッシュ(強い殺気を感じるです・・・何か石になってしまいそうな・・・。)
エルム(ドラゴンって言っていたけど、属性からして闇かしら・・・。)
兄弟のうちウォールとエルム、そしてレッシュは殺気を感じ取っていた。
アクティ「よいしょ。」
アクティがリュシフルの背から降りると黒装束を纏ったドラゴンに近づいていく。それにアクリュも続いていと、黒装束を纏ったドラゴンの背中に乗った。
「あ!こらお前ら、いきなり失礼じゃないか。早く降りるんだ。」
アクティ・アクリュ「は~い。」
どうもまだこの双子の兄弟には緊張感が足りない。リュシフルの言われたとおり、アクティとアクリュ降りる。
「すみません、いきなり失礼なことをしてしまって・・・。」
「いえ、気になさらず。元気がいい幸運種だ。ところで貴方達はあの城に用があるのですよね。」
イプシロンは旅のことを尋ねた。
「そうです。あの城に・・・。」
アクティ「あそこにアクシス兄さんがいるんだ!」
アクリュ「兄さんをさらった黒いドラゴンも倒しに来たんだ!」
リュシフルが話そうとしたとたん、アクティとアクリュが割って話した。やはりアクシスをさらったこと、ルクを殺したことはしっかり覚えていて意識していた。無論、このことは他の幸運種達も同じ気持ちである。
「それでここに来たわけですか。そちらの炎成竜は。」
次にイプシロンは炎成竜のことを尋ねた。まだ低い唸り声をあげている。と、フードの中から赤い瞳が見えた。ギロリと炎成竜を睨みつけると、炎のドラゴンは後ずさりをした。さっきまで警戒していた姿が怖がっている。
「こっちは森の入り口で罠にかかっていたところを俺が助けたんだ。」
「そうですか。(罠を外した・・・か。まぁいいでしょう。そこらを探せば幼竜はいくらでも食べられる。)私もあの城に用がありましてね、これから行くところなのですよ。」
イプシロンもデスドレイク城に用があるみたいだが、何か怪しげな感じがする。
「しかし、貴方達と一緒に行くことは不可能でしょう。」
イプシロンが話した後だった。と、兄弟達の上空で眩い光が現れた。それは神秘の光と、邪悪な光が混ざっていた。
レッシュ「何ですか!」
エルム「あれは!」
突然上空に現れた者、それはラードと出会った時の森で倒したドラゴンと、さっきここの森で倒したドラゴンがくっ付いたドラゴン。やはり本当の正体があったのだ。
ウォール「くっ・・・こんなときに現れるなんて・・・やはり本当の姿があったのか。」
首が二つありその姿は双頭竜だ。
「無属性のドラゴン・・・どうしてこんなところに・・・イプシロンさん!」
リュシフルがイプシロンを呼ぶ。しかし、既にそこにはイプシロンの姿はなかった。どこかへ行ったのか。それとも・・・。
「我は無を司るドラゴンなり。そなた達をここから先へ通すわけにはいかぬ。ここで息の根を止めてみせよう。」
もしかしてやつが召喚したのか。
「アクティ、アクリュ!」
イプシロンの側にいたアクティとアクリュを呼ぶ。だが、双子の兄弟は地面に倒れこんでいた。慌てて2匹の側に駆け寄る。
「アクティ!アクリュ!しっかりしろ!・・・。」
アクティ「うぅ~ん、別のアイスが食べたいぃ・・・。」
アクリュ「このダガー使えないよぉ・・・。」
双子の兄弟は寝言を言いながら眠っていた。起こそうとするが全く起きる気配がなかった。まさかイプシロンが何か催眠術でもかけたのか。
ウォール「何で寝ているんだよったく。」
レッシュ「今はあのドラゴンを倒すしかないです。」
第23話「無」おわり
今回初めて漢字一文字の題名を使ったわけですが、何か殺風景というか
何というか・・・f^_^;本当にこれでいいのかなぁと思っています・・・。
ホームページも開設一周年、そして20000Hitを無事に迎えることが
できました。これからもどうぞ光風の神殿をよろしくお願いしますm(_ _)m
次回はこの双頭竜の戦いのお話、果たしてデスドレイク城に入る
ことができるのか。
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