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青銀狼の一匹劇場
第24話 蒼き守光
玉乗り6兄弟の物語
第二十四話 蒼き守光
まさかこんな形で蘇ろうとは。これで戦うのは三度目。相手は無属性であり弱点となる技が無い。どうやって戦っていくのか。
「そなた達のその汚れなき心、この私が無の能力で浄化せん。」
ウォール「訳の分からないことを、ファイアシュート!!」
ウォールがファイアシュートを放つ。
「ふっ、愚かな・・・。」
しかし、そう簡単に技を当てることはできない。無の双頭竜は反射の盾を張った。魔法を打ち消しウォールのファイアシュートを跳ね返す。だが、ものすごい勢いで跳ね返ってきた。
ウォール「うわぁあっ!!」
地面まで削り取られ吹き飛ばされてしまう。
レッシュ「ウォール!!大丈夫ですか!」
ウォール「あぁ・・・大丈夫だ。対になる技が返ってこなかったから助かったが、これまで戦った以上に威力が増している・・・。」
今まで分裂した状態で戦ってきた時とははるかに違う。やはり融合したということで能力も増したのだろう。
レッシュ(これまで以上の殺気を感じるです・・・むやみに技を放つのもいけない・・・考えるです。)
思考するレッシュ。魔法を放てばシールドが、打撃を仕掛ければカウンターのどっちかが返ってくる。
エルム「ウォール、レッシュ、私は貴方達を援護するわ。もし傷ついたとき私の回復技で治すから。」
レッシュ「わかったです!」
ウォール「頼んだぞエルム!」
これで一つの作戦ができた。ウォールとレッシュは攻に、エルムは守に。何かあったらすぐにエルムの回復技で回復できるように体勢をとった。
レッシュ「そうだ!ウォール!」
ウォール「何だレッシュ。」
また何か作戦でも浮かんだのか。
レッシュ「ウォール、あのドラゴンにファイアブレスを放つです。」
レッシュがファイアブレスを放つように言った。
ウォール「しかし、シールドを張られたらまた跳ね返されてしまうぞ!」
確かにウォールの言うとおりだ。下手に魔法技を放てばすぐにシールドで跳ね返されてしまう。
レッシュ「あれを使ってみるです。まだできるかどうかは分からないですけど・・・。」
ウォール「あれって・・・?よくわからないけど、レッシュがそこまで言うなら。行くぜ!ファイアブレス!!」
ウォールがファイアブレスを放つ。しかし、双頭竜は予想通りシールドを張った。
「何度やろうと同じことだ。ん・・・?」
双頭竜がレッシュが何か呪文を唱えているのに気づいた。
レッシュ「裁きの杖を攻守たる者に与えるいかづちの神よ、シールドで守る者に裁きを与えん。ジャッジメント!!」
レッシュのジャッジメント!
ウォール「なるほど!そういうことか!」
いかづちの球体が無のドラゴンに向かって飛んでいく。だが、ここで予想もつかないことが起こってしまう。
「少しは考えたようだが、その様な攻撃では我を倒すことはできぬ。」
すると、ファイアブレスを打ち消すと、レッシュが放ったいかづちの球体めがけて飛ばす。無のドラゴンは見事にジャッジメントを打ち消すことに成功した。魔法技を二度も打ち消すなんて。
レッシュ「そ、そんな・・・僕のジャッジメントが効かないなんて・・・。」
ウォール「どうすればいいんだ・・・。」
一つの作戦が失敗に終わってしまった。次にどうするか考えなければいけない。
「では今度はこちらからも仕掛けさせてもらうぞ。天空を切り裂く蒼の刃よ、罪なる者を無の能力で浄化せん。エアロストライク!!」
青白い球体がウォールとレッシュに飛んでくる。狭い範囲の風景が歪んで見える。
ウォール「魔法技か。シールド!」
レッシュ「負けないです!」
強力なブレスが飛んでくるのをみてウォールとレッシュはそれぞれシールドを張る。電撃が走る音がする。エアロストライクを受け止めて打ち消そうとするが、威力が強すぎて跳ね返すことができない。
バリーン!シールドが砕けてしまった。
ウォール・レッシュ「うわぁあっ!!」
壊された衝撃で2匹は吹っ飛ばされてしまった。
ウォール「くっ・・・何が何だか知らないが、ここで負けるわけには・・・うあっ!」
ウォールが立ち上がろうとした直後倒れてしまった。
エルム「ウォール!・・・あぁ、酷い怪我・・・今治してあげるから動かないでよ。」
ウォールの足を見てみると、擦り傷があり酷く腫れあがっていた。すぐにエルムが応急処置を施す。
『いいかエルム。もし傷ついた場合、あまり焦ってはだめだ。落ち着いて行動して、傷口を抑えるように優しく包み込むんだ。』
『分かったわ。』
エルム(焦っちゃだめ・・・落ち着いていかないとせっかくのバランスが崩れてしまうわ。ルクが教えてくれた通りに。)
エルムの過去が蘇る。過去に良い回復技を教わった時に。
ウォール「それよりレッシュだ・・・レッシュ!」
エルム「あまり動かないでウォール。」
自分は足を怪我しただけ。ウォールがレッシュを呼ぶとその声に反応して、レッシュが起き上がった。
レッシュ「うぅ・・・大丈夫です・・・まだ負けないです。」
「身の程知らずな者よ、お前たちに勝目は無い。大地と共に眠るがよい。」
と、レッシュに向かって突進していく。
レッシュ「来るなら来いです!・・・え・・・?」
レッシュは身構える。ボディパニッシャーで攻撃を仕掛けてくる。いや違う、途中で分身が現れた。シャドーファントムだ。
ガスッ!!
レッシュ「うわぁあああ!!」
「レッシュ!!」
ウォール・エルム「レッシュ!!」
相手の動きを見切ることができず、まともに喰らってしまった。
レッシュ「うぐぅ・・・まだ・・・終わるわけには・・・・・・。」
エルム「レッシュ!・・・大丈夫、気絶してるだけよ。今すぐ治さないと。」
どうやら気絶しただけのようだ。だが、無のドラゴンは次の攻撃に移ろうとしている。
「そろそろ終止符を討つときが来たようだ。そなたたちの行く道はこれまでだ。無の力で葬ってやろう。」
またさっきと同じ青白い光を溜め込む。間違いなくエアロストライクを放とうとしている。すると、ウォール達の前に、戦いを見ていた炎成竜が入ってシールドを張る。それを見ていたリュシフルもたまらず中に入って兄弟達を守る。
「自ら命を捨てにきたか。愚かな、では共に消え去るがよい。エアロストライク!!」
無のドラゴンから強力なブレスが放たれた。シールドを直撃し、炎成竜も必死で耐えるが、わずかものの数秒でシールドがミシミシと音をたて始めた。このまま砕けて倒されてしまうのか。そう思っていたときだった。
「うわっ!何だ・・・?突然光りだしたぞ!」
リュシフルが首にかけていた青いペンダントが光りだした。その光の影響か、壊れかけていたシールドが威力を増して立てなおした。
「この光・・・まさかあのテイマーは!」
反射の盾が魔法を打ち消しエアロストライクを跳ね返す。
「ぐぁあっ!!・・・あれは・・・天空のペンダント・・・。」
しかし、ダメージはそれほど大きくはなかった。相手が怯んだ隙をみて炎成竜が次の攻撃を仕掛けようとした。
「待て!」
リュシフルが炎成竜を止める。どうして止めたのか、せっかくのチャンスだったのに。
ウォール「どうして攻撃を止めさせたんだよ。」
「もうあの双頭竜は攻撃してこない。既に身構える体勢をとっている。」
どうやらさっきの眩い青い光を見てか、攻撃に移るのを止めたのだろう。でも何故リュシフルが持っていたペンダントが光ったのだろうか。無のドラゴンが此方に近づいてくる。
「どうやら私たちは間違っていたようだ。無礼なことをしてすまなかった・・・。」
「あ、いやその・・・別にいいよ。何かちょっとよくわからないけど・・・。」
「そなた、名は何と申すのだ、」
無のドラゴンがリュシフルに名を尋ねる。その質問にリュシフルは応える。
「あぁ、俺の名はリュシフル。小さいときからドラゴンが大好きで育てるのが俺の役目なんだ。まだまだ未熟だけど、今は修行の身。」
「リュシフルか。さっきの戦いでは本当にすまないことをしてしまい申し訳ない。しかし、どうやらそなたは世界を救うことを任されたようだ。」
世界を救うこと。いったいどういうことなのか。今度は逆にリュシフルが無のドラゴンに質問する。
「ちょっと待って、世界を救うってどういうことなの?」
「今この世界は何者かの手によって滅ぼされようとしている。詳しいことはよく分からぬが・・・だが、そなたが持っているその天空のペンダント、そのペンダントを持つものとパートナーであるドラゴンが世界を救うとされているのだ。しかし、今何故ペンダントが・・・。」
「天空のペンダント・・・世界を救う・・・よく分からないよ。でも、どうして君はここに現れたの?」
次に何故自分達の前に現れたのか問う。だが・・・。
「すまぬがそのことは私自身覚えておらぬのだ・・・。ただ、記憶にあると言えば時の振り子を持つものと名乗っていた者が私の前に現れたぐらいだ。おそらくその者が私を蘇らせ戦えと指示を送ったのだろう。しかし、そなたのおかげで目を覚ますことができた。感謝しておるぞ。」
時の振り子を持つもの・・・この者が双頭竜を蘇らせた。やはりジュノンカオスデスが蘇ったことで、何かのバランスが崩れてしまったのか。謎が深まるばかりだ。
「リュシフルよ、いつかまた会おうではないか。そなた達はあの城に用があってここに来たのだろ。私はここで失礼する。」
「うん、それじゃ。」
何か言い忘れているような、そんな気がした。無のドラゴンは上空へと羽ばたいていった。
レッシュ「うぅん・・・あれ・・・?僕どうしていたですか・・・?」
気絶していたレッシュが目を覚ます。
エルム「レッシュ!よかったわきがついて。」
アクティ「うぅん・・・ここは・・・?僕確か馬の背中に乗ってて・・・。」
アクリュ「もしかして知らないうちに眠ってたのかなぁ。」
催眠術で眠っていたアクティとアクリュも目を覚ました。皆命に別状は無いみたいだ。体力を消耗しながらも城を目指す。
「そうだ、お前もついて行かないか?」
リュシフルが炎成竜に聞く。仲間が増えればもっと楽しくなり、力強くなる。けれど、炎成竜は首を横に振って断わるしぐさをとった。
エルム「ご主人、この炎成竜、自分の住処である森に残らなくちゃいけないみたい。」
エルムが解釈する。やはりこの森で何か守るべきものがあるのかもしれない。
「そうか・・・それなら仕方ないよな。じゃ、またいつか会おうな。」
炎成竜はうなずき森の中へ帰っていった。また会えるといいですね。
さぁ、決戦の地はすぐそこに。リュシフル達はデスドレイク城へ向かう。
第24話「蒼き守光」おわり
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