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青銀狼の一匹劇場
第37話 氷竜神とペンダント
玉乗り6兄弟の物語
第三十七話 氷竜神とペンダント
「と、なるとここにペンダントがあるかもしれない…ってことかなぁ。」
アクリュが首を傾げて言った。今自分たちが居る場所は海から少し離れた祠の内部。ひょっとしたらここにペンダントが眠っている可能性が高い。先に船を降りた船員も言っていたことだし違いないだろう。
「その可能性は高いです。確かご主人が持っていたペンダントは『天空のペンダント』だから、ここにあるペンダントは水のペンダント。」
「きっとこの祠に、世界を元に戻す鍵があるのかもしれないわ。」
みんな活気づいてきた。まずは水のペンダントを見つけなければ。
「ん…?…何かくるです。」
と、レッシュが殺気を感じ取った。身体に冷たい風が吹き込んできたのがわかった。それだけではない。ドラゴンが居る気配もする。と、その時だった。暗闇の中から無数の氷塊が飛んできた。
「危ないです!シールドです!」
レッシュの言われた通りみんなは反射の盾を張った。間一髪…何とか氷塊を防ぐことに成功した。と、暗闇の中から一頭のドラゴンが現れた。
「な…何なのこのドラゴン!全身氷でできているように見えるわ。」
驚いたエルムが言った。そのドラゴンは確かに氷属性のドラゴン。大きさからして成竜だろうか。その身体は水色に透き通った氷の色をしていた。低い唸り声をあげている。兄弟達を追い払おうとしているのか。それとも…。
「綺麗な色だけど、油断はできないよ。」
アクリュはダガーを出し身構える態勢をとった。他の幸運種達も身構える。
「グルルル。グォアアア!!」
氷のドラゴンの雄叫びが響く。と、鋭くとがった氷の塊が現れる。それを身に纏うと幸運種たちめがけて体当たりをする。ハードインパクトだ。いきなり強技で仕掛けてくるとは。
ガシャ~ン!氷のドラゴンは地面にぶつかった。
「うわぁああ!」
「レッシュ!うぅ、僕の技を喰らえ!」
激突した衝撃でレッシュが弾き跳ばされてしまった。それを見ていたアクリュがダガーを数本投げる。カキン!カキン!何とダガーが全く通用しなかった。全て弾かれダガーは地面に落ちた。
「そ、そんな。僕の攻撃が効かないなんて…。」
自分の攻撃が効かないことに驚きを隠せなかった。アクリュに焦りの色が見え始めてきた。と、氷のドラゴンがアクシスの方を睨みつけている。
「(ビクッ!)ぼ、僕を食べてもあんまりおいしくないぉ。」
一歩、また一歩とアクシスは後退していく。
「グォアアア!!」
「うわぁああ!」
氷のドラゴンの咆哮に驚いたアクシス。思わず尻餅をついてしまった。それを見て隙ができたところに体当たりをしようとすると、鋭くとがった氷の塊がまた現れた。またハードインパクトだ。アクシスが危ない!
「ホーリーブレス!」
すると、エルムが横からホーリーブレスを放ち、氷のドラゴンに命中した。閃光で目が眩みターゲットが外れ誰も居ない地面に激突した。
「バカー!少しは攻撃ぐらいしなさいよ!」
エルムがアクシスを叱った。
「だ、だって今のは技を放てる状態じゃなかったよぉ…。」
でも、睨まれる前に少し攻撃ができたかもしれない。
「もう…ほら、立ってよ。次の攻撃が飛んでくるわ。」
相手が怯んでいるうちに体勢を立て直さないと。アクシスは立ち上がる。
「いい?あのドラゴンが起き上がったら、私のホーリーブレスとお兄ちゃんのダークブレスで攻撃するのよ。そうすれば、また目が見えなくなって打撃技が打てなくなるわ。」
エルムは再び相手を眩みさせる作戦に出ようとした。今度はアクシスの技も加えて能力を合わせようということだ。
「で、でもうまくいくかどうか…。」
「自信を持ってよ!必ず成功するから。お兄ちゃんならできるわよ。」
「う、うん。わかったよ。(そうだった。もっと自信を持たなくちゃ。)」
このときアクシスに闘志が芽生えた。さっき何をしていたんだ。僕はこんなはずじゃない。本当の僕を見せてやるんだから。
と、氷のドラゴンが立ち上がろうとした。
「今よ!ホーリーブレス!」
「ダークブレス!」
光のブレスと闇のブレスが同時に飛んでいく。だが、相手はそうおろそかではなかった。こっちを赤い瞳で睨みつけるとシールドを張った。
「危ない!魔法が跳ね返ってくる!」
と、魔法を打ち消そうとした瞬間だった。
バリーン!なんと相手のシールドが壊れ、アクシスとエルムの技が直撃した。
「グォアアア!!」
すると、氷のドラゴンの身体が砕け、冷たい粒子となって消えていった。
「や、やったぁ!」
アクシスは思わず喜んだ。自分で初めて相手を撃退した感覚が分かったのかもしれない。しかし、何故シールドが壊れたのだろうか。
「ふぅ、何とかギリギリ間に合ったです。もう一度試す機会が来るかと、予想して待っていたけど、見事に当たったです。」
「あそこでレッシュがジャッジメントをしなければ、大変なことになっていたわ。」
そう、シールドが壊れた理由。それはレッシュが運良く放ったジャッジメントだった。
シールドが破壊されていなかったら、どんな魔法になって跳ね返ってくるか分からなかった。
「ん?…みんな、こっちに来てみて!」
何か見つけたのか、アクリュがみんなを呼ぶ。
「また下の方に道があるです。」
そこには更に下につながる道があった。でも、ちょっと湿った空気が漂っていた。
「ま、また降りていくの?」
「当たり前でしょ。本当にお兄ちゃんは怖がりなんだから。」
闇属性とあって、アクシスはこういうところは苦手であった。
「早く行こう。ペンダントがこの下にあるかもしれないです。」
「そうね。世界を戻せる鍵もあるかもしれないし……お兄ちゃん?」
「(ギクッ!)な、何?エルム。あはははは…。」
先に密かに外へ戻ろうとしたアクシスを、エルムは見逃さなかった。それを笑いながらごまかすアクシス。
「ほら!シャキッとする!」
「あと少しだったのに…!。」
エルムに引っ張られて、アクシスも下の道を降りていくことに。
しばらくすると、ポタッ!ポタッ!という音が聞こえてくる。水が上から落ちてきている。と、一面の大きな青い水たまりがあった。いや、それは池よりも広い湖だった。いわゆる地底湖だ。
「凄い。こんなところに湖があったなんて。」
「きれいです。クレース湖と同じくらいにきれいです!」
兄弟達は初めて見る光景に驚いていた。祠の中の湖なんて、めったに見られないものだ。更に下っていき、水面の近くまで降りてきた。
「でも、ペンダントはどこにあるんだろう。」
辺りを見回すと、ペンダントが入っていそうな宝箱とかは無さそうだ。何処にあるのだろうか。みんなが思考しているときだった。
「…な、何か居るよ…!」
水面を見ていたアクシスが気づいた。ブクブクと泡がたっている。何かが来る。兄弟達は万全の体勢で身構える。と、次の瞬間だった。バシャーン!大きな水しぶきがあがった。
「うわぁっ!な、何?」
「冷たいです!」
冷え切った水が兄弟達に降り注ぐ。すると、目の前に大きなドラゴンが現れた。その姿はまるでタツノオトシゴみたいな身体をしたドラゴン。氷亜種濃だ。
「我はゴルド・シャトール。この湖を守りし氷竜神。そなた達には我の氷竜が世話になったようだな。」
ゴルド・シャトール。ここの湖の主のドラゴン。
「世話になったって…さっきのドラゴン、あなたが操っていたの?」
世話になった。その言葉を聞いてエルムが問いただした。
「さよう、あの氷竜は我が作り出したスピリット。この湖にある『海溝のペンダント』を守るために送り出したのだ。我の胸部にある宝珠でそなた達も見ていたぞ。少し試していたがな。そなた達もペンダントを求めに来たのだろ?。違うか?」
ゴルドは常に、下からでも監視をしていた。そんな幸運種たちに、自分たちが求めているものがペンダントではないかと尋ねた。
「そうだよ。僕たちは世界を戻すためにペンダントを探しに来たんだ。」
「そして、ネルヴァを倒すためにもです。」
ペンダントをもらいに来た理由を、アクリュとレッシュが話した。
「ネルヴァを倒すため…そう…あのドラゴンが目覚めたせいで、ペンダントを悪用する者が現れたのか。大地を支え、水面は穏やかに、空は健やかに。そして、一頭の竜が現るときが、またくるのか…。」
あの無のドラゴンのせいで、世界は崩壊されようとしている。一刻も早くそのドラゴンを倒さなければいけないのだ。
「何か知っているの?、その一頭の竜はどんなドラゴンなの?」
一部を気にしていたエルムが言った。
「聞かぬほうが身のためだ…。」
ゴルドはあまり喋りたくないような口調で言った。
「えぇ~知りたいよ。話してよ。」
気になっているのはエルムだけではなかった。他の兄弟達もその竜が気になっていた。
「すまぬがその話だけは謹んでくれ。我でもこのことは話したくはないのだ…。もし、知りたければここから北東にあるフェア・フォレスの森に行くとよい。そこに竜の妖精がいて、その妖精に尋ねるといい。ただし、運が良ければの話だ。」
過去に何かあったのだろうか・・・。ゴルドはその一頭の竜については語らなかった。しかし、その竜を知る妖精がここから北東にあるフェア・フォレスの森に居るらしい。
「ということは、めったに会うことができないってこと?」
「そういうことになる。フェア・フォレスの守護神でもあるからな。しかし、そなた達は何か運命を背負っているようだな。だが…テイマーがいなければ、ここにあるペンダントは渡すことはできぬのだ。ドラゴンだけに持たせることはかえって危険になってしまうからな。」
「そんなぁ…やっぱりご主人が居ないといけないのか…。」
幸運種たちはがっかりした。今の状況からしたら自分たちがペンダントを持ち歩いていると、いつ悪い奴に狙われてもおかしくはなかった。それにしても、自分たちのご主人は何処にいるのだろうか・・・。
「その危機がいま、ここにあるとしたらどうだろうな。」
すると、背後から誰かの声がした。
「ルミナード!貴様なぜここに!」
暗いところから現れたのは、雷最強種のルミナードだった。エルムとアクリュはこのドラゴンにはしっかりと見覚えがあった。このドラゴン、ここに眠るペンダントを奪いに来たようだ。確かネルヴァの手下だったはず。奪われてしまっては悪用するに違いない。
第37話「氷竜神とペンダント」おわり
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