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青銀狼の一匹劇場
第43話 かき氷が食べたい
玉乗り6兄弟の物語
第四十三話 かき氷が食べたい
「氷の幸運種か…確かここから北西に進めばリオートの雪原がある。そこに行けばそなたたちが捜している氷幸運種がいるかもしれない。」
幸運種たちは残りの兄弟を捜すため、アクティの居場所をマテリアに聞いていた。フェアフォレスから北西に行けばリオートの雪原があるという。雪国だけにアクティが居そうな場所でもありそうだ。もしかすると、そこにアクティが居るかもしれない。後は自分たちを信じるだけだ。
「ありがとうマテリア。さぁ、リオートの雪原に急ぎましょ。」
「あ、でもまたユフィルの背中に乗る数を調整しないといけないです。」
再び再出発。と、またユフィルに乗る数を調整しなければいけなかった。
「じゃあまたお兄ちゃんとアクリュとレッシュでジャンケンをしてくれる?」
エルムに言われた通りにまた3匹でジャンケンをする。結果は…。
「えぇ!!また僕の負け!?そんなぁ…。」
どうやらまたアクシスが負けたようだ。アクリュとレッシュはユフィルの背中に乗り、アクシスは仕方なくうつ伏せになった。
「検討を祈っているぞ。そなたたちなら奴らを止めることができるかもしれない。」
「必ずあの雷最強種を倒してくれ。」
「俺からも願っているぜ。」
マテリアに続き、ラークビルとブレイビルからも期待の言葉をいただいた。僕たちで世界を救わなければ…。
そして、幸運種たちはフェアフォレスの森を出発した。
「残りはアクティとウォールだけ…無事で居てくれるといいんだけど…。」
アクリュが独り言を言って、アクティとウォールを心配していた。
「大丈夫よ、きっと生きているわ。こうやって私たちも無事で再会することができたんだし。」
心配はいらない。必ずアクティとウォールに会える。エルムが言った。
「あ、雪です!リオートの雪原です!」
話しているうちに、目の前の先から白銀に光る雪原が見えてきた。あれがマテリアが言っていたリオートの雪原だ。フェアフォレスに居たより、気温もグッと下がり寒くなってきた。しばらくして、周りが全て白銀の世界になったときだった。
「クシュンッ!…!」
ユフィルがくしゃみをした時だった。
「へ?…あ!あわわわわ!うわぁぁああ!」
ついユフィルはアクシスの尻尾を放してしまった。アクシスは雪原へと落下していった。
「あ!お兄ちゃん!ユフィル!」
気づいたエルムが慌ててユフィルに指示を出す。ところが、意外な形でアクシスは助かることになろうとは思ってもいなかった。
ドサッ!雪原に頭から突っ込むと、足と尻尾だけ表に出ていた。どうやら雪がクッションの役割をはたしてくれたみたいだ。とりあえず、ユフィルに乗っていた3匹はホッとした。
「@#$%\#0\@!!」
頭から突っ込んでいて身動きが取れない状態。足と尻尾をジタバタさせて助けを求める。
「早くアクシス兄さんを助けないと。」
3匹はそれぞれアクシスの足と尻尾を、掴んで引っ張り出すことにした。
「せ~の!…う~ん!…うわぁっ!」
スポッ!と空気が抜ける音がすると、アクシスを引っ張り出すことに成功した。
「あぅ…顔が冷たいよぉ…。」
アクシスは顔に着いている雪を払う。
「でも助かったからいいでしょ。」
ちょっと笑いながらエルムが言った。
と、どこからか足音が聞こえてきた。そこまで大きい音ではなく、小さな足音だ。すると…。
「何してい…あ!…。」
「ちょっとアクシス兄さんが…あ!」
4匹の目の前に現れた者。それは氷幸運種だった。
「アクティ!」
4匹同時に言った。アクティ?よく見ると首もとにマフラーをしている。しかし、その氷幸運種は一言も喋ろうとはしない。どうしたのでしょうか。せっかく4匹の兄弟に再会することができたというのに。もしかして、この氷幸運種、アクティではないのだろうか。でも、4匹はアクティだと確信していた。
「アクティ、アクティなんだね!よかった無事で居てくれて。ちょうど捜しているところだったんだ。」
と、アクリュが手を差し伸べた時だった。
「あ!待ってよアクティ!何処に行くの?」
氷幸運種は背を向け走り去っていく。もちろんアクリュは追いかける。何せアクティとは双子の兄弟でもある。それを見ていた3匹も後を追う。
「アクティ!僕たちのこと忘れたですか?」
「待ってよアクティ!」
と、追いかけている最中だった。
「お前たち!オクルス様に何をしている!」
すると上空から一頭のドラゴンがやって来た。見たところ、氷亜種淡の竜だ。オクルス?この氷幸運種はアクティではないのか。
「何ですか!お前は!」
「無礼者!少しは口を慎みなさい!私はリオート王国を守護している氷のドラゴン、セルシウスだ。」
リオート王国を守護する者。リオートの雪原。王国があるということはお城もあるということでしょうか。
「自己紹介なんてどうでもいいです!さぁ、アクティこっちにくるです。」
レッシュが氷幸運種に近づこうとした瞬間だった。
「フリーズストーム!」
セルシウスはフリーズストームを放った。
「うわっ!…ぼ、僕の手が…。」
間一髪、レッシュは氷付けを免れた。
「気安くオクルス様に近づくでない!この方はリオート王国の王子でもある者だぞ!」
「リオート王国の王子!?」
4匹はセルシウスの言ったことに驚いた。この氷幸運種が王子様だなんてとても思えない。
「どうしたのだ?セルシウス。」
するともう一頭ドラゴンがやってきた。長い身体に青い色。氷基本種淡だ。
「ヒール。この無礼者たちがオクルス様に付きまとっていたんだ。もしかすると、オクルス様を狙っているかもしれない。」
「違うわ!私たちはこの氷幸運種がアク…。」
「言い訳はそこまでだ。王国まで着いてきてもらおうか。」
すでに二頭の氷竜はいつでも戦える体勢をとっていた。下手に攻撃をすれば氷付けにされるおそれもある。
「みんな、ここはおとなしくついて行こう。」
アクシスが言った。今ここで争いになればややこしくなってしまう。ここは避けて様子を見るしかない。
「でもお兄ちゃん…。」
「分かってるエルム。(間違いなくあれはアクティだ。それにしてもどうして…。)」
いい案が浮かんだのか。ここは兄アクシスに任せることにした。4匹は二頭の竜におとなしくついて行く。
10分ぐらいして、とある城に到着した。それはクリスタルのように輝く氷のお城だった。
「さて、その前に紹介が遅れたな。私の名前はヒール・クローブ。セルシウスと共にリオート王国の守護に就いている。これはお前たちには関係ないことか…。」
と、ヒールは挑発するような言葉で言った。
「な、何だと!」
「アクリュ、ここは落ち着いて。」
ちょっとカッときたのか。前に躍り出ようとしたアクリュをアクシスが止める。
「お前たちがオクルス様に何をしようとしたかは分からないが、無礼を叩いたことは確か。しばらく頭を冷やしてもらう。ルガウィ!」
と、幸運種たちの後ろから突如、地面の雪が巻きあがり、一頭の竜が現れた。動じに素早く吹雪が襲いかかった。
「な、何ですかこれは!」
数十秒すると、4匹の幸運種たちはいつの間にか氷の中に閉じこめられていた。
「氷付け、完了した。」
背後から現れた竜、それは氷最強種の竜だった。
「ルガウィ、そのもの達を地下牢に入れておくのだ。もし腹が空いたら、一匹ずつ食べても構わない。」
「分かったヒール。こいつら、牢に入れる。」
氷のオブジェに入った幸運種たちは、氷最強種によって抱えられ地下牢に運ばれて行った。
ギュゥウ!
「このバカ兄貴ぃ!私たちこのままじゃ食べられちゃうじゃない!」
「痛たたた!まだ食べられるって決まっていないよエルム!」
そして、地下牢に入れられると、氷のオブジェが壊された。
「さ、寒いよアクシス兄さん…。」
「僕も寒いよ…ここは我慢してアクリュ。」
アクリュが寒気を訴えた。ここは雪国でもあり極寒の地。尚地下に入るため寒さを余計に感じた。
「ジュルリ…。」
涎を啜る音がした。氷最強種に目を向けると、唾液をポタポタと落としていた。
「って、もう食べる気満々です!」
「どうするのよ!」
「おおお落ち着いて!まだ大丈夫だよ!」
さすがに4匹に焦りの色が見え始めた。本当にこのままじゃ食べられてしまう。
「うぅ…まずは黄色いの…ん?…。」
と、氷最強種はレッシュを見て止まった。暫くレッシュをじっと睨みつける。
「ど…どうしたですか…?」
レッシュも氷最強種を見つめ戸惑った。と、次の瞬間だった。レッシュを睨みつけていた氷最強種は、レッシュを掴むと外へ行く。
「あわわ!僕まだ死にたくないです~!」
「レッシュ!…うわっ!…痛たたた。」
アクリュが追いかけようとしたが、いつの間にか、目の前に氷の壁が張られていた。このままではレッシュが食べられてしまう。
「レッシュ…栄光の光あれ…アーメン…。」
一匹ボソッと独り言をアクシスが言った。
ゲシッ!!と、背後からエルムがアクシスを蹴飛ばした。
「バカー!そんなこと言う暇があったら、脱出する方法を考えてよね!」
「じょ、冗談で言ったのに…グエッ!…。」
エルムがつっこみを入れる。いや、こんなことをしている暇はない。早く脱出方法を考え、レッシュを助けなければ。
第43話「かき氷が食べたい」おわり
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