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青銀狼の一匹劇場
第49話 雷雨
玉乗り6兄弟の物語
第四十九話 雷雨
「あ、雷最強種が彼に何かするよ。」
オクルス王子が言う。と、雷最強種は片手でレッシュを覆う。数十秒経つと、手をレッシュの頭から離した。
「何をしたのだろう…レッシュに何か気でも送ったのかな…?」
アクティは疑問に思った。少し様子を見ていると、その雷最強種は密かに少し不気味な笑みを浮かべた。すると、手を離した後にレッシュが倒れてしまった。
「あ!レッシュ!」
思わずレッシュを呼んでしまう。と、雷最強種はどこかへ飛び去ってしまった。
「待てよ…これはレッシュの夢の中であって…記憶の中でもあるんだ!」
アクティは気づいた。この世界がレッシュの夢の中でもあって、記憶の中でもあることに。
「クックック、ようやく気づいたようだな。」
何処からか不気味な笑い声が聞こえてきた。この声はさっきの死神の…。と、秋の風景が漂う景色が一変として、今度は少し暗闇に包まれ雨が降っている景色になった。
「お前はさっきの…レッシュに何をするんだ!」
「決まっているだろ。その雷幸運種の肉体を貰いに来たのだよ。しかし、よくここまで追ってきたものだ。」
やはりこの死神の目的は、意識が戻らないレッシュの肉体を奪うことが目的だ。
「彼の生命は渡さない!本当の正体を表せ!」
と、オクルス王子が手を掲げて眩い光を放った。
「ぐぁっ!…おのれ、小僧…。」
すると、死神の姿が竜の姿へと変身した。その竜は見たことがあった種族、属性の竜、闇亜種濃だった。
「本当の正体があったんだ…これはどうでもいい!喰らえ!アイスシュート!」
隙をみてアクティが氷塊を放った。すると氷塊は闇の竜の身体を通り抜けていってしまった。これはいったい…。
「本当にどうでもよかったのか?小僧。氷塊はどこへいったんだろうなぁ。」
「どうして…?僕のアイスシュートが…。」
「小僧、貴様はまだ生きている。だが、俺は死んでいる。つまり、生きている貴様の攻撃は受け付けないってことだ。だが、こちらからの攻撃は通用するがな…貴様もこっちの世界に引きずり込んでやるよ!」
敵には自分の攻撃が当たらないことが分かった。すると、闇の竜は魔法技を放ってきた。ゴーストたちがアクティに襲いかかる。ベノムスタンピードだ。
「そんな攻撃、喰らうものか!」
と、アクティはシールドを張った。凍てつく風が吹き抜ける。これはシールド封じの壁だ。だが、相手のシールドを封じたとしても魔法や打撃技は効かない。
「残念だったな。まぁ、どちらにしろ反射の盾を張っても同じことだ。」
「そんな…オクルス、何とかならないの?」
アクティはオクルス王子に何か作がないか聞いた。しかし…。
「ごめんアクティ…今僕が何かすれば、君が危険な目にあってしまうおそれがある…ここは我慢して守りに集中しよう。」
オクルス王子にもどうしようもなかった。オクルス王子の攻撃事態は通用するようだが、むやみ仕掛けるとアクティが危うくなるからだ。でも、二匹は何か作があるはずだと思っていた。
「どうした小僧。もう終わりか?いいや、終わっているだろうな。そっちの小僧の攻撃は通用しないのだからな、はははははは!」
「まだ終わってなんかいかない!もう一度喰らえ!アイスシュート!」
少しムカッときたのか。アクティはまたアイスシュートを放つ。しかし、何度やっても同じこと。アクティの攻撃は通用しない。と、闇の竜はシールドを張った。さっきのシールド封じの壁の効果がもう切れたのか。
「何度やろうと同じことだ。小僧、死んでもらおうか。」
その盾は紫に染まる色をしていた。まさか…。
「危ないアクティ!」
オクルス王子が割って入りシールドを張った。と、相手の盾から巨大な魔神が現れた。そう、闇の竜は魔神の盾を張ったのだ。腕を大きく振りかざし、オクルス王子を殴るとシールドが一瞬で砕けてしまった。
「うわぁぁぁあ!」
「オクルス!」
と、オクルス王子は吹き飛ばされてしまった。慌ててアクティが駆け寄る。
「邪魔をしやがって…。」
「オクルス!大丈夫?」
「うん…大丈夫だよ…アクティ。」
アクティがオクルス王子に手を差し伸べた。と、ここで思わぬ現象が起きた。
「あれ…?…オクルス…手に触れている感覚がするよ?」
「ほ…本当だ…アクティの手に触れている…。」
普通だったら透き通ってもおかしくないのに、何故か触れている感触があった。これはいったい…。
「ちょうどいいタイミングだ。二匹とも葬ってやるよ!」
闇の竜は魔法技を放った。魔力がかなり殺気立っている。それは鎌を持った死神になった。
「アクティ!」
「うん!零下の大地を守りし静かなる精霊よ。凍てつく結界を敵に与えよ。シールド!」
またシールド封じの壁を張った。もはや守ることしかできないのか。だが、この瞬間二匹の能力が一つになったのだ。
「まだ分からないか。貴様らは死ぬ運命…ん…?もう一匹の小僧がいない…?」
すると、そこにはアクティだけしか居なかったオクルス王子はいったい何処へ?
「オクルスなら僕のところにいるよ。」
アクティが自分を指して言った。いったいどういう意味なのか。
「何を言っている。貴様はまだ生身の状態。それとも壊れたのか?」
「今度こそあたるはずだ!アイスシュート!」
またアイスシュートを放つ。どうせまた当たらないだろうと思っていたが、その攻撃が方向を変えた。氷塊は闇の竜に当たった。
「ぐぁっ!な…なんだと…?貴様の攻撃が…当たっただと…?」
「もう一度言っておくよ。オクルス王子はここにいるよ。」
再びアクティはまた自分を指して言った。そう、このときオクルス王子はアクティの身体を借りたことによって、アクティの攻撃が闇の竜に通じるようになったのだ。
「ま…まさか…ヒューリしたのか…だが、手間が省けて助かったぜ!脈打つ邪念に宿る罪深き精霊よ、一条の光を残すことなく全てを呑み込め。ダークスピリット!」
闇の竜はダークスピリットを放った。
「アクティ!いくよ!」
「うん!オクルス!」
『凍てつく刃の牙を持つ氷竜神よ…我が身を凍らせ敵を打ち砕かれよ。アブソリュートゼロ!』
二匹は唱えたあと、闇の竜が放ったダークスピリットに突っ込んで行く。アクティとオクルス王子は氷の竜になった。と、闇の竜が放った魔法技は見事に打ち消された。
「なんだと…?この私がこんな小僧たちに…ぐぁぁぁぁあああ!」
氷の竜となったアクティとオクルス王子は闇の竜に突進し、見事に打ち砕いた。
「やった!闇の竜を倒すことができたよ!」
アクティは喜びの声をあげる。すると、また何処からか声が聞こえてきた。
「ふふふ、これで終わったと思うなよ小僧…。」
「さっきの死神の声…。」
警戒してアクティは身構えた。しかし、闇の竜の声は次第に遠ざかり、聞こえなくなった。
「大丈夫だよアクティ。もう死神は彼の身体から居なくなった。」
「そっか、それじゃレッシュはもう大丈夫なんだね。」
アクティはレッシュの無事を確信した。だが、オクルス王子から殺気を感じさせるような言葉がでてくる。
「いや…まだ…何か怪しい空気を感じる…。」
「また何か来るの…?」
雨も止み当たりは静まり返っていた。すると辺りがまた暗くなり始めた。
「あ!オクルス!…オクルス…!…。」
「ううん…あれ?…僕、確かレッシュの夢の中に入って…。」
目が覚めたアクティは起き上がった。そこはさっきまでいたところと違って、元の場所のリオート王国の中に居た。
「僕…夢を見ていたのかな…?」
さっきまでのできごとをアクティは自分の夢だと思っていた。
「アクティ!…アクティ!」
誰かがアクティを呼ぶ。レッシュが寝ている方から聞こえて振り向くと、そこにオクルス王子が居た。
「オクルス!さっきのは夢じゃなかったんだね。」
「それより大変なんだ。彼が居なくなっているんだよ。」
ベッドに目を向けると、いつの間にかレッシュの姿が消えていた。
「そんな…いったい何処へ…。」
「まだ遠くへ言ってはいないはず。みんなを起こして。僕は君の身体をまた借りるから。」
「うん、分かった。」
アクティはみんなを起こして情報を知らせた。レッシュが居ない・・・いったい何処へ消えたのか…オクルス王子はまだ王国近辺に居ると推測した。もしかしてまた何者かがレッシュの生命を狙おうとしているのか。
第49話「雷雨」おわり
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