EMBRACE OF LIGHT

EMBRACE OF LIGHT

第13話



ヒマを潰す為に唄っていた歌をやめ、モニターを確認するベル。コード・ウィッチはSMSの仕様上、モニターを360度フルスクリーンにしている為、視認がしやすい。

ベル  : 感度良好・・・はぁ、早く始まらないかなぁ・・・マジで。

愚痴混じりになるのも仕方がなかった。その場で待機という命令を受けてから既に3時間は経過していた。

ベル  : ・・・[子供たち]も暴れたくてしょうがないって言ってるよ~。

指示の出ないガラティーンに向かって語りかけるベル。その目は既に[目標]を捉えていた。



第13話
「狼 奪還作戦」




HOPES本部 ???



本部のエレベータは地下深くで止まった。見たことも無い機械に埋め尽くされたそこに由紀は居た。

由紀  : (・・・な、何よ此処?)

ガウル : そう不安がるな。此処はHOPESの中枢・・・とでも言うべきか。と言っても、目的は全くの別物だがな。

由紀  : ・・・・どういう意味よ?

ガウルは由紀の発言を無視して一点を見つめている。由紀はその視線を追った。そして驚愕の表情を浮かべた。

由紀  : なっ・・・・何よコレ?

様々なチューブや針を付けられた[女性]の姿がそこにあった。死んでいるのだろうか、その瞳孔は開ききっている。

ガウル : 生きている・・・かろうじてな。

由紀  : な・・・何してんのよアンタ達!!

ガウル : ・・・HOPESのマリオネットには必ず[ブラックボックス]が積まれている。・・・中身は何だと思う?

由紀  : ・・・・まさか!

ガウル : この女の[遺伝子]だ・・・母性本能と呼ばれる[機能]を極限にまで高めたな。

由紀  : ・・・・・!!

ガウル : この女の遺伝子を載せたマリオネットは、パイロット・・・つまり自らの[腹]に宿る子を守る様にその性能をフルに活用させる。それこそが我々の強さの秘密の1つだ。

由紀は言葉を失った。だがそれは恐怖から来るものではなく、怒りから来るものだった。

ガウル : ・・・だが[コレ]はもう使い物にならん。だから・・・

ガウルは由紀を見てにやつく

ガウル : 代わりが必要なのだよ・・・貴様の様な。

今まで薄々感じていた危機感が、ここで確実なものに変わった。このままでは自分があそこに繋げられる。その恐怖心が由紀を一歩、また一歩と後ろへと後退させていった。

ガウル : 逃げたいか?構わんぞ・・・貴様にとって[敵だらけ]の此処を逃げ切る自信があるならな。

ガウルは笑った。人間とは思えない邪悪に満ちた愉悦の笑いだった。

由紀  : (敵はカオスだけじゃない・・・コイツも敵だ!!)

突然、爆音が聞こえた。次いで地面も揺れ出した。状況を確認する為ガウルは外部と連絡を取る

ガウル : ・・・未確認機体が暴れてるだと!?

由紀  : (・・・今だ!!)

由紀は一目散にエレベータへ向かって走り出した。

ガウル : ・・・ま、待て!!

由紀  : 待てと言われて待つバカは居ないわよ!!

エレベータ内に入った由紀は何度も上へ向かうボタンを押した。ガウルが入ってくる一歩手前でエレベータは閉まり、上へ向かい始めた。

ガウル : ・・・えぇい、くそっ!!

由紀  : (・・・何とかみんなと合流しなきゃ!!)



HOPES本部 牢獄前


本部の防衛システム、そして量産型のマリオネット多数を相手にしている未確認の機体・・・・コード・ウィッチだった。

ベル  : どうやら向こうは私の素性を知らないみたい・・・ね!!

3機のSMSを同時に指示するベル。1機は防衛システムを確実に潰していき、残りの2機は量産型の数を物ともせずに撃墜していく。

ベル  : 子供たち!・・・此処は任せたわよ。私は別な仕事あるから!!

残りの2機を棺桶から出し、ウィッチの前方に展開。SMSは瞬時に変形を始め、ウィッチを乗せる為のボードに変形した。

ベル  : (目標、前方牢獄の門・・・到着次第一斉射撃で突破!!)

ベルの意思に反応したSMSは急速で上昇。敵とみなした量産型マリオネット・防衛システムの射程を外れ、一気に門に向かって降下を開始する。射程に入ったものの、凄まじいスピードに対処しきれず、狙いが外れる防衛システム。ロックオンするものの、撃つ前にはウィッチのインペリアルに串刺しにされる量産型。

ベル  : 遅い遅い♪・・・あぁ今のは惜しかったねぇ・・・ダメダメだよそれぇw出直してきなさい!

1機ずつコメントを残していくベル。その顔にはまだまだ余裕が見られる。

ベル  : (・・・こんな所で手こずってちゃあ、どのみちアイツは連れ戻せないわよね。)

ウィッチを乗せたSMSは牢獄の門前に到着した。背後には量産型の残骸が散乱している。他の機体がカバーしに向かうが、それを3機のSMSが阻む。

ベル  : 防衛システムはほぼ壊滅か・・・ちょっとやりすぎたかな♪

ウィッチはインペリアルを持ち替えて、ガンタイプにする。同時にボードへと変形させていたSMSを戻し、それぞれビームキャノンを装備。前方の門に照準をあわせる。

ベル  : (・・・・ファイア!!)

ベルの指示と同時にSMSとウィッチは門に向けて一斉射撃を行った。



HOPES本部 牢獄




爆音と共に発生した煙にむせながら状況を確認する飛鳥

飛鳥  : げほっ、えほっ!!・・・な、何なんだよ・・・って何だこりゃあ!?

暗闇だったはずの前方は粉塵を巻き上げながら光を指していた。そして目の前には━━━

飛鳥  : ・・・・う、ウィッチ!?

蒼い目を光らせる黒い機体・・・コード・ウィッチだった。

ベル  : [ハァイ♪迎えにきたわよん]

・・・・無茶しすぎだろ、ベルさんよぉ!!

飛鳥とウィッチを隔てていた鉄格子を、その指で意図も簡単に引き裂いたウィッチは手の甲を地面につけて飛鳥を招いた。飛鳥は恐る恐る乗る。ウィッチはそのままコックピットのある胸部へと手を持っていった。開いたコックピットにはグローブに手をはめ込んだベルの姿があった。

ベル  : どうだった?投獄された気分はw

飛鳥  : ・・・・二度とゴメンだね!

コックピットに乗り込んだ飛鳥はベルの邪魔にならない様に後ろに回る。モニターの見易さに驚く飛鳥。

ベル  : これでも最新鋭だからねぇ、私の相棒は。

飛鳥  : ・・・自慢かよ。

ベル  : 自慢だよ♪

コックピットを閉めたウィッチは次の目的地を目指す。

ベル  : さぁて、次は[狼]だね!!

飛鳥  : ウルフのある場所・・・判るのか!?

ベル  : 思わぬ助っ人が居たからね。それより・・・飛鳥の友達は?

・・・・そうだった!!

飛鳥  : 離れ離れになったんだ!!探さなきゃ・・・・

ベル  : なら私に任せなさい・・・・(探索開始。対象[綾峰 由紀]・・・)

ベルから指示されたSMSの1機はウィッチと別行動を取り始めた。

飛鳥  : ・・・・大丈夫か?

ベル  : だぁいじょうぶよ。私に似てお利口さんだから♪

・・・・はいはい

ベル  : ・・・なぁに考えてるか知らないけど、こっから飛ばすわよ!

残った1機を再びボードに変形させたウィッチは、器用にバランスを取りながら次の目的地に向かう。



ガラティーン ブリッジ




アミィ : 凄い凄い!・・・・っていうかやりすぎぃ?

SMSの奮闘ぶりを見ながら無邪気に手を叩くアミィ。天山は逆に呆気にとられていた。

天山  : こ、ここまでやっちゃっていいんですか?

シリウス: ・・・・いや、正直予想外だった。

天山  : ・・・待たせすぎましたかね?

天山は苦笑いを浮かべる。だがシリウスは逆だった。

シリウス: だが、ここまでやってくれれば俺達も動きやすい。アミィ、本部のコンピュータにハック。過去の実験記録を吸い出せ。

アミィ : はいはぁい♪・・・で、対象は?

シリウス: 機密ランクSSS・・・コード・エンペラーの人体実験で探ってみてくれ。

アミィ : りょうかぁい!!

アミィがガラティーンのコンピュータを使い、本部にハッキングを始めた。

天山  : ・・・さて。ではそろそろ僕も行きますか。

シリウス: そうだな・・・ハッキングがバレたらこちらも攻撃対象だ。露払いを頼む。

天山  : 判りました。

天山はドラグーンに向かってブリッジを後にした。



HOPES本部 第4格納庫




飛鳥  : ・・・・ここにウルフがあんのか?

ベル  : 情報によればね・・・それにしてもまぁ、頑丈にされてるわねぇ(;・∀・)

ただ鍵が掛かってるだけじゃない。声紋センサーに指紋センサー・・・網膜センサーらしき物まである。

飛鳥  : ・・・・どうすんの?

ベル  : ・・・・きまってんでしょ?こうすんの・・・よ!!

SMSを元に戻し、ビームランチャー・・・それに加え、バルカン・インペリアルガンタイプ・・・全てを使いセンサー類を壊した。

・・・・・やばくね?

だらしなく開いた扉を手でこじ開けるウィッチ。完全に開いたその先には厳重にシーリングされたコード・ウルフがあった。

ベル  : ・・・電磁フィールドか。

飛鳥  : ・・・何それ?

ベル  : ・・・簡単に言えば━━━

壊れたセンサーの破片を拾い上げてウルフに向かって投げつけるウィッチ。破片はフィールドに触れた途端に黒焦げになり炭と化した。

・・・・ 超やばくね!?Σ(゚д゚lll)

ベル  : こちらコード・ウィッチ。助っ人さん、出番ですよ!!

外に向かって話したベル。するとフィールドは消え、ウルフのコックピットが開いた。

飛鳥  : ・・・・どうなってんの?

ベル  : 後で説明するから、さっさとそっちに乗りなさい!!

ウィッチのコックピットから降りた飛鳥はウルフに向かって走り出す。

由紀  : 飛鳥!!

声に反応した飛鳥は壊した扉の方を見る。・・・由紀だった。

飛鳥  : おまっ!無事だったのか!?

由紀  : 当たり前だっての!!それより飛鳥、聞いて!この地下に━━━

飛鳥  : 悪い、後で聞くから。お前も乗れ!!

由紀の手を引いてウルフのコックピットに乗り込む飛鳥。即座にグローブへと手を入れて起動シークエンスを開始する。

ウルフ : 認識完了・・・パイロット 如月 飛鳥

飛鳥  : ・・・待たせたな。さぁ、帰るぞ!!

出口に向かって思いっきりウルフを走らせる飛鳥。ウィッチは機体を屈めて物陰に居る人物を招く。

ベル  : お疲れ様でした・・・鬼塚さん。

椿   : ありがと、ベルリアちゃん。ウィッチの操縦・・・なかなか上手いじゃないかw

ベル  : どうもwさぁ、私達も行きますか。

椿   : そうだね・・・あの暴れん坊も心配だw

既に姿が見えないウルフを2人は笑った。

椿   : (・・・・しかし、凄いねぇあの子は。まさかウルフをあそこまで動かせるなんて。)

ベル  : ・・・どうしました、鬼塚さん?

コックピットに招き入れた椿が考える素振りをしたのが気になったベルは問いかけた。

椿   : ・・・いや、何でもないさ。それより、アタシの事は[椿]でいいよw

ベル  : ・・・なら私もベルって呼んでくださいw

お互いの自己紹介が終わった所でウィッチも出口に向かってSMSと共に走りだした。次の行動を起こすために


続く


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