EMBRACE OF LIGHT

EMBRACE OF LIGHT

第21話



ベルリアが跡形も無くなった研究施設を見た時の最初の発言・・・無理も無かった。施設などという物は 無くなっていた からだ。

下の方で誰かがぴょんぴょん跳ねながら手を振っていた。ベルリアはウィッチHPTの視界を拡大する。

ベル  : ・・・アミィ!?

機体が起こす風に注意しながらベルはSMSからウィッチHPTを大地に降ろした。

機体から降りるベルリアにアミィが駆け寄って抱きついた。


ベル  : ちょっ、大丈夫なの!?

アミィ : こっぴどくやられちゃったけどね~。みんな無事だよ♪

顔を上げて笑顔を見せるアミィ。ベルは少しだけ安心した。

アミィ : あ・・・・(;´Д`)

ベル  : ん?どうしたの?

アミィ : い、いやぁ・・・1人無事じゃないのが居たり居なかったり。

ベル  : え?・・・まさかお父さんとか?

アミィ : あ、主任は大丈夫だよ♪ただ・・・あっちゃんがね(;´Д`)

ベル  : ・・・飛鳥がどうしたの?



第21話
「We are B raves」



Nエリア施設跡 キャンプ地



飛鳥  : ・・・・・。

Rハンド : ・・・怒り狂った猛獣の拳・・・・我には効かず!

飛鳥  : 狂った猛獣の拳・・・か。

完全に負けた・・・・何なんだよアイツ!

ベル  :  ワァッ!!

飛鳥  :  うぉっ!?

背後からの急な大声は飛鳥の寿命を縮めるには文句ない威力だった。

飛鳥  : べべべべベル!?いいいいいつからそこに?

ベル  : どもり過ぎどもり過ぎwさっき帰ってきた所。

飛鳥  : ・・・そ、そうか。

ベル  : ・・・・・・・。

会話が途切れた。飛鳥はそっぽを向いてまた考え事をし始めた。ベルは言葉を選んで話し始める。

ベル  : 怪我はなかった?

飛鳥  : ・・・・・あぁ。

ベル  : そ。なら良かったじゃん。

飛鳥  : ・・・・実は良くなかったり。

ベル  : ・・・・ウルフの事?

飛鳥は口には出さずに頷いた。ここに来る前にウルフを見てきた。

酷い有様だった・・・原形を留めておらず、椿が必死に修復していたが、彼女の顔は暗かった。


ベル  : (あの表情・・・やっぱりウルフは)

飛鳥  : 俺のせいだ。

ベル  : ・・・・え?

ベルリアの心を読んだかの様なタイミングで飛鳥は言葉を発した。

飛鳥  : ウルフをあんなんにしちまったのも・・・ガラティーン落としちまったのも・・・全部俺のせいだ。

「あと少し早く着けば・・・」「俺がもっと強かったら・・・」

飛鳥は呪文の様にその言葉を繰り返していた。


ベル  : ・・・・バッカみたい。

ベルリアはそれ以上言わずに早々とその場を去った。また1人になる飛鳥・・・テントの外に嗚咽が漏れていた。


Nエリア施設跡 仮設本部



ロッド : ベル・・・彼の様子は?

ベル  : ダメダメ・・・そうとう落ち込んでるわ。

天山  : 無理もないですよ。MASを積んでなかったからダメージフィードバックは無いですが・・・メンタル面はボロボロでしょうしね。

MASを積めば機体のダメージはパイロットにフィードバックされる・・・。MAS自体それ程メジャーなシステムでは無いが、もしウルフにアレが積まれていたと考えると笑える話ではない。

椿が難しい顔をして帰ってきた。


シリウス: 椿・・・・ウルフの方はどうだ?

無言で首を横に振る・・・・。

椿   : アームやメインカメラの修復なら何とかなるけど・・・メインフレームにかなり歪みが入ってて・・・。

メインフレームはマリオネットを構成する上での大事な部品であり、人間で言う所の にあたる。それに歪みが入るというのは致命的なダメージだった。。

椿   : ウルフはプロトタイプだからね。設備と時間があれば何とかなるかもしれないけど・・・。

シリウス: Nエリアは見ての通り壊滅・・・おまけに俺たちはガラティーンまで落としている。

シリウスの言葉に全員がため息を漏らす。だが━━━

ロッド : 椿君、設備があればどの位で直せそうだ?

椿   : え?そりゃあ十分な設備があれば1週間くらいで・・・

ロッド : では頼む。

ロッドの「頼む」という言葉に全員の頭からか 「?」 が出てきた。

シリウス: た、頼むって・・・主任、俺の話聞いてましたか?施設はもう無いんですよ?

ロッド : キミこそ私の話を聞いていたのか?私は「保険はかけてある」と言った筈だが?

確かに言っていた・・・。だがその保険とやらが何かまでは明かしていない。

カタリナ: 何かの研究施設なんですか?その保険って。

スペラ : 半分あたりの半分はずれって所かしら?今、職員達に拾いに行って貰ってるわ。

シリウス: (・・・拾いに?)

シリウスだけではない。その場に居た全員が不思議な顔をしている。

由紀  : ・・・・あの、飛鳥の様子見てきてもいいですか?

由紀も気になっていたのだろうか。話を切って申し訳なさそうに聞く。

シリウス: ・・・そうだな。頼めるか?

由紀  : ・・・はい。

天山  : 僕も・・・彼に話したい事があるんで行きます。

天山は由紀を連れて飛鳥の居るテントの方へ向かっていった。

シリウス: さて・・・ベル。そちらの報告を聞いていなかったが、ウィザードはどうだった?

ベル  : どうもこうも無いわよ。

ベルリアはウィザードと対峙した時の様子を語った・・・。

SMSを全開放した後、攻防戦を繰り返していたものの、施設のある方角から激しい閃光が起きた瞬間、セストの様子が変化したらしい。


ベル  : な、何!?何が起きたの!?

セスト : ・・・まさか!?

ベル  : え?

セスト : 聞いてないぞ、こんな事!!


興奮気味に叫びながら、ウィッチHPTに背を向け去ろうとするウィザードをベルリアが制止する。

ベル  : ちょ、ちょっと待ちなさい!まだアンタには話があるんだから!!

セスト : この状況が判らないのか!?もしかしたら・・・主任が危ないかもしれないだろ!?

ベル  : ・・・お父さんが?


ベルリアの動きが止まったスキを突いて、制止を振り切るウィザード

ベル  : しまった!!

セスト : ベル!これだけは忘れるな!・・・今のHOPESを信じるな。

ベル  : ・・・・何ですって?

セスト : それと・・・


マリアをHOPESから解放するんだ




シリウス: ・・・・マリア?誰の事だ?

ベル  : そこまでは・・・セストは何かを知ってるみたいでしたが。

ロッド : ・・・・ベル、本当にセストは マリア と言ったのか?

ベル  : え?・・・・う、うん。

何か心当たりがあるのか?ロッドは腕組をして考え始めた。

スペラ : ・・・アナタ?

ロッド : いや・・・私がまだ本部に居た頃にな・・・資料の1つにある システム の概要が書かれていた物があった。

シリウス: ある・・・システム?

椿   : ・・・・あっ!!

椿が何かを思い出したのか、急に大声をあげた。

カタリナ: ど、どうしたんですか?

椿   : アタシも聞いた事あるよソレ!・・・まぁ、一介の整備士のアタシには細部まで見る事は出来なかったけどね。確か・・・

ロッド :  マリアシステム ・・・

ロッドの口から出た単語に全員驚いた。ただの偶然なのか・・・システムの名前には、セストが口にした人物の名が付いていた。

アミィ : ・・・そ、それでぇ・・・そのシステムって、どんなのなの?

ロッド : 私が出る前に見たから詳しくは知らんが・・・確か━━━


マリアシステム・・・有人機体のサポート用として作られたシステム。システムの大元を担うサーバーには、ある条件をクリアした人間が 生体部品 として組み込まれるらしい。


ベル  : せ、生体部品?

シリウス: 穏やかな話じゃないな・・・。

ロッド : 私も最初は目を疑った・・・。その後すぐに私は本部を出たからな・・・今もその計画があるのかどうかは判らん。

シリウス: ・・・・椿は何か知ってるか?

椿   : さっきも言った通り、「そんなシステムがある」って聞いたくらいで、今も存在してるかなんて判らないよ。

だが、セストの口ぶりから察するに、現在もそのシステムが存在する事は確かなのだろう。そして、それに関してセストが何かを知っている事も確実だろう。

シリウス: ・・・もう一度・・・会う必要があるな、セストに。

ベル  : ・・・・・。

アミィ : ・・・でもさぁ、肝心な事忘れてな~い?

カタリナ: ・・・肝心な事?

アミィ : ・・・・私達の「足」は?

全員  : ・・・・・ あ(;´Д`)

アミィは大事な事を思い出させた。そうだ・・・セストを探すにもガラティーンは廃艦・・・自分たちには移動手段が無い。

ベル  : 歩いて探すとか・・・ナシだよねぇ。

ロッド : ・・・もう一度言う。「保険はかけてある」ぞ?

シリウス: だからその保険って・・・・ !?ΣΣ(゚д゚lll)

シリウスが何気なしに上を向いて硬直した。不思議に思い、ベルリア達も上を向いたが同じ反応だった。

ベル  : ・・・何、アレ?

アミィ : おっき~ねぇ♪

カタリナ: い、いや・・・でも。軽く200Mは越えてると思うのですが。

スペラ : さすがカタリナw全長は250M。積載マリオネット数は最大20機。兵装はガラティーンに劣るものの、戦闘時支援では恐らくHOPESの艦以上に成果を発揮するわ。

シリウス: 完全支援型の運用艦か・・・それで、名前は?

ロッド : ドレッドノート・・・・反HOPES軍 Braves の旗艦となる。

ベル  : ぶ・・・ブレイブス?

ドレッドノートと呼ばれた艦は静かに大地に着陸した・・・・。



続く


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