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EMBRACE OF LIGHT
5th 再戦
麻都 「・・・・アキラ。」
ゼロ 「ありがちだ。」
麻都 「・・・・ゲンジ。」
ゼロ 「古い。」
麻都 「あぁもう!!何よ!さっきから否定してばっかでさぁ!!」
ゼロ 「気に入らないだけだ。センスが感じられない。」
麻都 「なっ!?」
麻都は怒りで顔を真っ赤にした。当たり前な反応だった。麻都が必死に考えてる間もゼロは愛銃の手入れを止めなかったのだ。
麻都 「アンタさぁ・・・マジメにやる気あんの!?」
ゼロ 「無いな。というかお前が勝手に始めた事だろ?」
麻都 「・・・・・」
もう何を言っても駄目だと確信した。
ゼロ 「・・・・?どうした?」
麻都 「どうもしないわよ!!」
ゼロ 「お前じゃない。こいつらだ。」
ゼロは手入れをしていた愛銃を差し出した。
麻都 「・・・・へ?」
突然二挺の銃口から光が現れた。その2つの光は「ポンッ!」という音を出して具現化した。黒と赤の犬だ。だがいつも戦闘で見せる姿ではなく、やけに小さい。手のひらに乗る事が出来る程の可愛いサイズだった。2匹は空中をたどたどしく浮遊している
麻都 「・・・・・・・・・・・」
ゼロ 「・・・・・・?どうした?」
麻都 「何これ!?可愛い!!」
ゼロ 「何度も見ているだろ?ファントムとゴーストだ。」
麻都 「いや違いすぎるよ!いつも狂犬みたいな姿じゃん!!」
麻都の「狂犬」という言葉に2匹の精霊は反応して泣き出す。
麻都 「え?あれ?」
ゼロ 「傷ついたみたいだな。」
麻都 「嘘!?あぁごめんごめん!悪気があって言った訳じゃないよ?」
慰める麻都に2匹の内「赤い犬」が麻都に近づき頬擦りをする。
麻都 「か!!!!」
ゼロ 「・・・・か?」
麻都 「・・・駄目だ、倒れそう。」
ゼロ 「可愛いのか?」
麻都 「うん!!すっごく!!こっちは・・・ファントムかな?」
ゼロ 「そうだ。俺の心の一部だな。」
麻都 「・・・心の一部?」
ゼロ 「説明してなかったな。俺の精霊、ファントムとゴーストにはそれぞれ司る物がある。ゴーストは俺の戦闘に対しての欲・・・つまりダークな部分を司っている。」
麻都 「ふんふん。」
ゼロ 「対してファントムはマスターへの忠誠心・・・簡単に言えば契約を果たさなければ存在しない部分な訳だ。」
麻都 「ふ~ん。」
ゼロ 「分かったか?」
麻都 「全然」
ゼロ 「・・・・・・」
麻都 「まぁ、この子はアタシがいなきゃ駄目ってのは分かった。ねぇふぁんちゃん♪」
麻都はファントムの頭を撫でながら話す。
ゼロ 「・・・・名前を変えるな。それよりお前、俺の名前を考えるんじゃなかったのか?」
麻都 「だぁってさぁ、協力的じゃないんだもん。」
ファントムの腹を撫でながら答える。ファントムは気持ちよさそうだ。ゴーストは羨ましそうに見ている。
ゼロ 「・・・・飽きやすいな。」
ゼロはため息をつく。頭の上にゴーストが乗ってきた。寝そべる。それをゼロは掴み横に置く。ゴーストは壁の隅でいじけた。
麻都 「大体さぁ、次元も時代も違うヤツなんて初めてだもん。なんて付けたらいいか。」
麻都もため息をつく。麻都の手から逃れたファントムはゴーストの隣に座り肩を叩いて慰める。
麻都 「・・・・時代?・・・・時・・・・・刻・・・・あ!!!」
何かを思いついた様で、紙に書き始める。
ゼロ 「・・・・刻真・・・・こくま?」
麻都 「ときまと読みなさい。ほら、時間を越えてきたでしょ?」
ゼロ 「次元もな。」
麻都 「だから刻を越えたって意味で・・・どう?」
ゼロ 「・・・良くわからんが、悪くない。」
麻都 「よし!決定!!今日からアンタは刻真!!」
リーベル 「ゼロ君!!」
麻都 「刻真!!」
いきなり入ってきたリーベルを麻都は一喝した。
リーベル 「・・・・え?」
刻真 「俺の新しい名前だそうだ。」
リーベル 「へぇ・・・」
麻都 「リーベル君も考えてあげようか?」
リーベル 「遠慮しとくッス。そんな事よりテレビ!ニュース見るッス!!」
刻真 「テレビ?」
麻都はテレビを付けてニュースにチャンネルを合わせる。キャスターが重々しい声で語る。
-繰り返します。本日未明、東京都○○区で爆破事件が起こり、当局のカメラマンを含め45名の負傷者が出ました。警察は現場にあったカメラから犯人の顔を断定。市民に目撃証言の協力を求めると同時に、事件の早期解決に努める模様です-
テレビに映し出された顔に麻都は目を疑った。
麻都 「・・・こいつ。」
刻真 「昨日、俺たちを襲った人間。確か・・・」
リーベル 「英明って名乗ってたッスね。やっぱり生きてたんだ・・・」
刻真 「あの場にヤツの遺体は無かった。あの時点では跡形もなく消えたか生きていると思ったんだが。」
麻都 「アタシは気を失ってたから分からないんだけど・・・ふぁんちゃん達が食べちゃったって選択肢は無かったワケ?」
リーベル 「それは無いッスね。」
麻都 「何で?」
刻真 「あの時俺が使ったのは[フルドライブ]という技。最上級だ。食べる余裕など無かったはずだ。」
2匹の精霊は揃えて頷く。
麻都 「・・・・・・・ど、どうするの?」
リーベル 「決まってるッス。」
刻真 「あぁ。これ以上被害を広げない為にも、ヤツを探し出してケリをつける。」
??? 「その必要はないぜぇ」
突然窓ガラスが割れる。3人は一斉に振り返る。そこには先程までテレビに映っていた男が太刀を持って立っていた。
麻都&リーベル「・・・・・・」
刻真 「・・・・英明。」
英明 「・・・探したぜぇ・・・・ずっと・・・お前をなぁ。」
英明はゼロを見て喋る。
刻真 「俺に負けたのがそんなに悔しかったのか?」
英明 「いや・・・あれは俺の負けだ。それは認める。・・・だがよぉ・・・俺の妻の仇となっちゃあ話は別だぜぇ。」
刻真 「・・・・仇?何の話だ?」
英明 「とぼけるんじゃねぇ・・・・渚を殺したの・・・お前だろぉ?」
英明は手に持っていた太刀を抜く。太刀は光り始め、その光は一つの形を作る。
リーベル 「せ・・・精霊!?」
麻都 「嘘?!アイツ持ってなかったんじゃ!?」
英明 「紹介するぜぇ。生前は俺の妻。今は俺の精霊・・・渚だぁ!!」
光は女性の姿へと完全に姿を変えた。刻真は絶句した。見覚えのある女性だったのだ。
英明 「・・・やぁっと思い出したかよ。」
刻真 「・・・・・」
麻都 「・・・刻真?」
英明 「ゼロ・・・お前にも同じ思いをさせてやるぜぇ!!」
英明は渚に命令を唱えた。渚は物凄い速さで麻都に近づき、担ぎ上げた。
麻都 「え!?ちょ、ちょっと!!!」
刻真 「麻都!!」
リーベル 「麻都ちゃん!!」
2人は麻都に寄ろうとした。だがそれを英明の太刀が止めた。
英明 「安心しろや。すぐには何もしねぇよ。コイツを人質としてもらうがな。」
英明は不敵な笑みを浮かべた。刻真とリーベルは唇を噛んだ。
英明 「今日の午前0時、前に会った場所で待ってる。来なかったら・・・分かるよなぁ?」
麻都 「刻真!!!」
英明は割れた窓から飛び降りた。続いて精霊と化した渚も飛び降りる。
リーベル 「・・・・どうしようゼロく・・・・!!」
刻真を見たリーベルは驚いた。静かだがその目からは明らかに怒りが伺える。
刻真 「俺はゼロじゃない・・・」
リーベル 「・・・え?」
刻真 「・・・刻真だ。」
刻真は戦闘の準備を始めた。
午前0時
英明 「・・・・来た。」
入り口から刻真・リーベルの2人が入る。サングラスをかけた刻真の顔は静かなものだった。
英明 「おいおい、なんだよそりゃあ?おしゃれのつもりかぁ?」
皮肉った言い方をする英明。だが刻真は答えない。リーベルは知っていた。刻真が目を隠す意味を。
リーベル (・・・・あの英明ってヤツ・・・間違いなく殺されるッス。)
刻真 「・・・・麻都はどこだ?」
刻真の第一声はこれだった。英明は笑う。
英明 「安心しな。まだ生きてるぜ・・・上を見な。」
刻真とリーベルは一面闇の天井を見上げた。何かが鎖に繋がれている。麻都だった。
刻真 「麻都!」
返事をしない。気を失っているのだろう。刻真は視線を英明に戻す。
英明 「いい眺めだろぉ?ついでにシチュエーションも最高・・・ってな。」
刻真 「マスターを助ける為に兵士が戦う・・・か?」
英明 「あぁそうさ。そして兵士は命を落とす・・・本出せば案外売れるかもしれねぇぜぇ?」
刻真 「俺なら買わんな・・・ひどくつまらない。」
英明 「そう言うなよ・・・今からリアルでおっぱじめるんだからよぉ!!」
英明が太刀を抜く。太刀から光があふれ、それらは1人の女性を形成した。
リーベル 「・・・渚。」
英明 「覚えてくれてありがとよ、ピコピコ野郎。嬉しいぜぇ?」
リーベル 「ピコ!?」
リーベルが手のひらから炎を出す。だがそれを刻真が止めた。
刻真 「・・・・やめろ。」
リーベル 「ゼロ君・・・」
刻真 「・・・刻真だ。」
英明 「なぁ・・・気になってたんだがよぉ・・・刻真ってなんだよ、ダサすぎだろぉ?」
刻真 「・・・・・」
刻真の体が淡く光りだした。銃に宿っている精霊達が反応しているようだ。
刻真 「・・・俺の名前だ。麻都が・・・俺のマスターがつけてくれた。」
英明 「名前・・・だぁ?」
英明は笑う。
英明 「お、お前・・・俺ら傭兵に名前は不要だろぉ?何だよ・・・頭イカレちまったのかぁ?」
リーベルは思った。確かに、捨て駒としての要素が多い傭兵に名前は必要なかった。いつ死ぬか分からないから。でも刻真にとっては・・・
刻真 「・・・それでも付けてくれた。俺は・・・刻真だ!!」
刻真は[ポケット]から漆黒の銃[ゴースト]を取り出した。
刻真 「ゴースト!!」 英明 「渚ぁ!!」
同時に攻撃を開始する2人。ゴーストは英明に襲い掛かろうとするがそれを渚が止める。その間に英明は刻真に向かって走り出す。間合いに入った英明は刻真に向かって太刀を振り下ろす。
英明 「もらったぁ!!」
だがそれを刻真はゴーストのグリップで受け止め、軌道をずらす。
英明 「!?」
リーベル 「うまい!!」
刻真 「リーベル!!」
不意に呼ばれて驚くリーベルだが、刻真が何を言おうとしてるのかがすぐに理解できた。リーベルは入り口に向かって走り出す。
英明 「おいおい、仲間が逃げてったぜぇ?」
刻真 「問題ない。貴様など俺1人で十分だ。」
英明 「・・・言ってくれるじゃねぇか。」
ゴーストが吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた。渚に力負けしたようだ。
英明 「・・・へっ、これでも同じ事が言えるかぁ?」
刻真 「・・・言えるな。」
刻真が新たに[ポケット]から真紅の銃[ファントム]を取り出した。
刻真 「・・・麻都から力をもらえんが・・・少しの間だ。頑張ってくれ。」
刻真がトリガーを引く。真紅のマズルフラッシュと共にファントムが現れる。
英明 「出たな赤い犬っころ!」
刻真 「今のこいつ・・・危ないからな。気をつけろよ?」
英明 「ご忠告どうも・・・渚ぁ!!」
渚が動く。同時にファントムも渚に向かう。
激突
ファントムと渚。2体の精霊は宙を舞い着地する。再び動き出したのはファントムが先だった。渚にタックルを仕掛ける。渚は壁に打ち付けられた。
英明 「・・・やるじゃねぇか。さすが仇。」
刻真 「・・・・英明。1つ教えてやる。」
英明 「あぁ?何だよ?」
刻真 「お前の奥さん・・・渚を殺したのは俺じゃない。」
英明 「・・・・・何だと?」
場が静かになった。
刻真 「何を見たのかは知らんが・・・・教えてやる、あの時の事を。」
刻真は[イレギュラー抹殺計画]に関して語り始めた。
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