EMBRACE OF LIGHT

EMBRACE OF LIGHT

6th 真相と影

1982年  異世界 某日


訓練所を出たゼロは「日本総合自衛軍 特務隊」へ配属が決まった。同時期に配属が決まったリーベルと共に司令室えと向かう。そこには1人の老人、そして自分達と同い年位の端整な顔立ちのした少年が居た。

老人   「よく来たな。コードネームゼロ・・・そしてコードネームリーベルよ。」

ゼロ   「・・・雇ったのは貴様だろ?」

リーベル 「ちょ、ちょっとゼロ君!!ご、ごめんなさい!彼はちょっと・・・口下手でして。」

少年   「・・・・・」

老人   「構わん。それより・・・早速で悪いのだが、お前達に任務を用意した。」

ゼロ   「休ませるとかの配慮は無いのか?」

リーベル 「ゼロ君!!」

少年   「・・・いちいちフザけたヤツだな。」

終始無言だった少年が口を開く。とても静かな声だった。

ゼロ   「・・・・何だと?」

少年   「任務が嫌なら帰れ。むしろ死ね・・・・目障りだ。」

ゼロ   「・・・・・貴様!」

老人   「よさんか二人とも!!」

今にも飛び掛りそうなゼロと挑発をする青年を老人は止める。

老人   「・・・お主ら、これからコンビを組むのだぞ?仲良くせんか。」

ゼロ&少年「・・・・コンビだと?」

リーベル 「ミスマッチッスね・・・あちゃあ。」

ゼロ   「断る。愛想の無いやつと組むのはゴメンだ。」

少年   「その言葉、そっくり返す。」

老人   「・・・はぁ、やれやれ。お主らの力量を見込んでの推薦だったのだがな・・・」

ゼロ   「・・・強いのか?貴様。」

少年   「お前こそ・・・」

老人   「コードネームゼロ・・・世界で初めて[二挺魔銃]を手にしたルーキー・・・だったな?」

少年   「二挺・・・だと?」

リーベル 「驚いたッスか?今現在、扱いにくい魔銃を使う人間はそんなに居ないッス。でもゼロ君はそれを・・・しかも二挺も使えるッ
スよ。」

少年   「・・・・・・・」

ゼロ   「何だ?驚いて声も出ないか?」

老人   「対してそこの少年・・・レオンは世界で初めて[魔剣]を手にしたルーキーだ。」

ゼロ   「魔・・・」

リーベル 「魔剣!?」

レオン  「魔剣・・・存在は確認されていたものの、あまりにも強すぎる力に[制御]できる者が居なかった武器だ。」

リーベル 「それを手に入れたって事は・・・」

老人   「かなりの力量を持った者だな。」

リーベル 「・・・すんごいメンツ。」

ゼロ   「・・・今回の任務・・・そんなに危険なのか?」

レオン  「俺も聞きたいな。ルーキー同士と言えど、かなりの武器を持った者同士だ。」

老人   「・・・・お主らも知っておるだろ?[イレギュラー]の存在を。」

イレギュラー・・・・ここ数年で急速に現れ始めた人間。身なりは人間と変わらないのだが、生まれつき[特異な能力]を身につけて生まれてくる。

最近生まれた子供だけでなく大人の間でも[イレギュラー]として開花した者も多く、その能力はやがて精神を蝕み、殺人鬼へと変貌させる事から、全世界がこれを危険視していた。


ゼロ   「・・・・だが[イレギュラーへの対策]に関しては」

老人   「あぁ・・・すでに手は打ってある。[イレギュラー抹殺計画]を。・・・だがな」

老人は1枚の紙を3人に見せた。そこには地図が載っていて、何かを示す赤い点が書かれていた。

老人   「ここに住むイレギュラーがな・・・・とてつもなく凶悪な能力を持っているのだよ。」

レオン  「・・・こいつを始末するって事か・・・俺達が。」

老人   「そういう事だ。」

リーベル 「・・・僕は何をすればいいンスか?」

老人   「残念だが今回は待機だ。」

リーベル 「いや、むしろこの2人が行くのなら・・・行かない方が安心するッス。」





ゼロとレオンは地図の示した場所に着いた。茂みに隠れ、ターゲットを待つ。

ゼロ   「・・・・・・・・・」

レオン  「・・・・・・・・・」

ゼロ   「・・・・・どんなヤツなんだろうな。」

レオン  「さあな。だが聞いた話によれば、ここら辺にはあまり人が寄り付かないらしい。つまり・・・」

ゼロ   「ここに来るやつが・・・・」

レオン  「十中八九・・・・ビンゴだ。」

話をしている内に、1人の人間が現れた。肩まで伸びた髪が印象的な女性だった。

ゼロ   「・・・・あの人・・・か?」

レオン  「さあな・・・・だが悩むより行動だ。」

レオンが茂みから飛び出す。

ゼロ   「お、おい!!」

ゼロも慌てて飛び出す。突然現れた少年に戸惑う女性

???  「な・・・何?何なの君たち?」

レオン  「国家の命により・・・イレギュラー、貴様を始末する。」

???  「イレギュラーって・・・ちょ、ちょっと冗談はよしt」

女性の言葉を待たずにレオンが[魔剣]を抜く。

レオン  「・・・これが冗談に見えるか?」

ゼロ   「おい待て!」

ゼロの制止を聞かず、レオンは女性に向かい剣を突き出す。魔剣は女性の腹部に深く突き刺さり、体を貫く。

???  「!!!・・・・なん・・・・」

レオン  「・・・爆炎の制裁!」

レオンの詠唱に呼応するかの様に、魔剣が淡く光り、やがて巨大な爆発。

ゼロ   「うわっ!!!」

爆風に巻き込まれ、再び茂みに飛ばされるゼロ。意識が遠のくなか、声が聞こえる。

???  「・・・渚・・・・渚ァ!!!」

ゼロ   (・・・・渚。あの人の名前か・・・)

レオン  「・・・惨めだな。連れてってやる。」

ゼロ   (・・・レオン。本当にあの人がターゲットだったのか?俺には・・・・駄目だ・・・意識が・・・・)




ゼロが目覚めたのは翌朝。任務は完了との報告になっていた。リーベルがそう言ったのだ。そしてレオンは・・・

リーベル 「アイツならとっくに消えたッスよ。というか・・・除隊になったッス。」

ゼロ   「・・・除隊。」


ゼロは[レオン除隊]の真相が分かった様な気がする。その後、ゼロ・リーベルも除隊し、ゼロはマスター[エレン]と契約を果たし、リーベルは独自に[情報屋 兼 傭兵]となった。



現代  現実世界


刻真   「・・・・これが真相だ。」

英明は俯いたまま何も喋らなかった。

刻真   「お前がどちらを信じるかは・・・お前の自由だ。だが俺は・・・真実を話したつもりd」

英明   「うるせぇ!!」

刻真が喋り終わるのを待たずに英明は叫んだ。

英明   「俺は・・・自分の中の記憶で見たんだ・・・あれは・・・お前だった!!今更命乞いかよ!!」

再び叫ぶ英明。混乱して何をしたら良いのか分からず、渚を見る英明。すると、渚の異変に気づく。命令もしていないのに、自分から英明の下へと歩いているのだ。

英明   「な・・・ぎさ?」

渚    「・・・ヒ・・・デアキ。」

英明は驚いた。喋る事のない精霊が言葉を発したのだ。

刻真   「先ほどのファントムの体当たり・・・あの時に[麻都への想い]・・・心の一部を渚に流した。少しの間だが話すことが出来る。」

英明   「何・・・だと?」

英明は渚を見つめた。今まで虚ろだった渚の瞳に生前の面影が宿っている。

渚    「・・・英明。」

英明   「・・・・渚。」

渚    「・・・・ごめんね。1人にしちゃって。」

英明   「そんな事はいい!!・・・本当なのか?・・・レオンに殺されたってのは?」

渚    「・・・・・彼は、私に何もしてないわ。むしろ止めようとしてくれたの。アイツを・・・」

英明   「・・・嘘・・・だろ?」

刻真   「言ったはずだ。どちらを信じるかは・・・お前だ。」

英明は膝をついた。立つ気力すら失ってしまったらしい。

リーベル 「刻真君!!」

姿を消したリーベルが麻都を背負って頭上から現れた。

刻真   「・・・・麻都は?」

リーベル 「心配ないッス。ただ気を失ってるだけッスよ。」

刻真   「そうか・・・よか・・・・・!!」

場の空気が変わった事に刻真は気づいた。激しい嫌悪感・・・耐え難い殺気だった。刻真はゆっくりと後ろを振り返る。

そこには懐かしくも・・・そして思い出したくない姿があった。

刻真   「・・・・レ・・・オン。」

レオン  「・・・久しいな・・・ゼロ。」

レオンは崩れ落ちた英明を見下す。

レオン  「・・・無様だな。貴様に[道具]を渡せばあるいは・・・と思ったのだがな。」

英明は反応する。小刻みに肩が震えている。渚は静かに英明を抱き寄せた。

刻真   「レオン・・・貴様ぁ!!!!」

刻真がレオンに突進する。だが、寸前で刻真が止まる。同時に刻真の脇腹から刃が飛び出た。

リーベル 「と・・・刻真君!!」

レオン  「・・・俺が丸腰で来たと思ったのか?・・・ゼロ。」

暗闇を見つめるレオン。そこから、コートを羽織った女性が現れた。

刻真   「・・・・エ・・・・レン。」

刻真は薄れていく意識の中、女性の名を口にした。

エレン  「・・・・久しぶりね・・・・ゼロ。」

背負われていた麻都が目を覚ました。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: