EMBRACE OF LIGHT

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15th 最後の戦い




壮介   「・・・・そういう事だったのか。」

刻真と相談した結果、麻都はこれまでの経緯を父の壮介に話す事にした。

麻都   「うん・・・・。」

壮介   「・・・・・・・。」

壮介は何も喋らなくなってしまった。現実離れした事態を飲み込めていなかったのか、それとも危険だという事を理解して何も言えなくなったのか・・・どちらにしろ麻都は次の言葉を聞くのが怖かった。危ない事をするのを好まなかった厳格な父親・・・には程遠かったが、それでも怒るときは怒った父。今回はさすがに覚悟していた。

壮介   「・・・・刻真君に」

麻都   「・・・・え?」

壮介   「前にここに来た時、刻真君にこう言った。キミは悪いヤツには見えない、だが麻都の事を考えると・・・とな。彼は何て答えたと思う?」

麻都   「・・・何て答えたの?」

壮介   「大丈夫ですって・・・真っ直ぐ見て言ったよ。」

壮介は少し笑いながら刻真の言葉を口にした。

壮介   「彼は・・・話すのが苦手なのか?」

麻都   「え?そんな事は無いと思うけど・・・前は静かだったなぁ。」

壮介   「そうか・・・・。私の勝手な解釈だが、彼はお前を必死に守ると決意してくれたようだったよ。」

麻都   「・・・・アタシを?・・・そっか。」

壮介   「・・・・これ以上首を突っ込むとは言わない。だが怖くなったら」

麻都   「怖くないよ。」

壮介の言葉を遮って麻都が告げる。その目はあの時の刻真の物そっくりで壮介は驚いた。

麻都   「そりゃあね、全く怖くないって言ったら嘘になるかもだけど・・・みんなが居るし。リーベル君も、英明さんも・・・刻真も。」

壮介   「・・・・そうか。」

何を言っても無駄、という意味なのか・・・それとも麻都の前向きな性格が面白かったのか。そんな複雑な笑みを浮かべた壮介。そして・・・

壮介   「麻都・・・」

麻都   「うん?」

壮介   「これは現実じゃあ体験できない事だ。多分一生経験できない事だろう。だから・・・私は止めない、派手に暴れて来い。」

麻都   「・・・・・」

壮介   「そして・・・全部にカタが付いたら・・・・ここに来い。待ってるからな。」

麻都   「・・・・うん!」

麻都は満面の笑みを壮介に向けた。



同時刻  麻都宅近く 林道


リーベルと瑞樹は備え付けのベンチに腰掛けていた。話しているわけでもなく、ただ座っているだけだった。静寂を破ったのはリーベルの方からだった。

リーベル 「あの・・・」

瑞樹   「ん?何?」

リーベル 「今更言うのもなんだけど・・・ありがとうございます、契約してくれて。」

瑞樹   「あらあら、本当に今更ねぇ。」

リーベル 「いや・・・色々とゴタゴタしててお礼を言えなかったから。」

瑞樹   「お礼なんていいのよ。ワタシはワタシの意思でアナタと契約したんだから。」

リーベル 「・・・・・・・。」

瑞樹   「まだ・・・怖い?」

瑞樹の問いにリーベルは過剰な反応を示した。核心を突く問いだった。今までに感じた事のない力・・・何度かそれに押しつぶされそうになっていた。それに・・・

リーベル 「あの二挺拳銃使い・・・ヴェスタ。アイツを止めるのは僕がやりたいンスけど・・・出来るかどうか」

リーベルの言葉を遮るかの様に、瑞樹はリーベルの頭をポンと叩く。その行動を理解できなかったリーベルは呆然とする。

瑞樹   「確かに強かったわね。でも、一度は撤退させる事が出来た。次も大丈夫よ。」

リーベル 「・・・・でも、アレが本気とは到底思えなかったし・・・次も同じようにいくかわかr」

再びリーベルの言葉を遮った・・・今度は腕を首に回し、抱き寄せた。

リーベル 「!!」

瑞樹   「・・・・聞こえる?私の心音。」

リーベルの耳がちょうど瑞樹の左胸あたりにあった・・・通常より少し早く打つ鼓動。リーベルは悟った。

瑞樹   「ワタシもね、正直怖いのよ・・・でもアナタが・・・リーベル君が居るって思うと・・・怖いけど何故か何でも出来る気がするのよ。」

リーベル 「・・・瑞樹・・・さん。」

瑞樹   「大丈夫・・・大丈夫よ。」

リーベル 「・・・・うん。」

リーベルはゆっくりと目を閉じて、その身を任せた・・・・


同時刻 麻都宅

英明   「・・・麻都は?」

渚    「家に帰ったよ。」

英明   「・・・リーベルは?」

渚    「瑞樹さんとどっか行った。」

英明   「・・・刻真は?」

渚    「行方不明。」

・・・・会話が途切れた。英明は渚の様子がおかしい事に気づいた。

英明   「・・・お前、何か怒ってないか?」

渚    「・・・・・。」

英明   「お、オイオイオイ・・・マジで何か怒ってるだろ?」

渚    「ふと思ったんだけどね・・・あの女、ファナって言ったっけ?・・・何にも無かったんだよね?」

英明   「・・・あぁ?」

渚    「何 に も 無 か っ た ん だ よ ね ! ? 」

強い口調で言う渚。英明はすぐさま悟った。

英明   「お前・・・妬いてんのかよ?」

渚    「当たり前でしょうが!アンタはアタシの旦那!夫!何かあったらって言ったら・・・浮気ですよ?」

英明   「ですよって・・・何にもねぇよ。」

渚    「本当でしょうね?・・・浮気はダメだよ~、重罪だよ~。」

英明   「だからしてねぇっつってんだろ。・・・ただ」

渚    「?」

急にマジメな顔になった英明。

英明   「お前が死んで・・・何も見れなくなって、あいつの・・・ファナの気持ちにも気がつけなかった。そのせいであいつは苦しんで・・・。あいつがあんな風になっちまったのは・・・オレの責任でもある。」

渚    「英明・・・」

真意を知った渚・・・。英明も英明なりに苦しんでいた。そしてその大元の原因は自分にあるというのにも気づいた。急にふさぎ込む渚。英明はそれに気付き、慌ててフォローをする。

英明   「別にお前のせいじゃねぇよ。オレの弱さに問題があったんだ。だから・・・あいつを昔のあいつに戻すのはオレの役目なんだ。」

渚    「・・・アタシの役目でもあるよ。」

英明   「・・・そうか?」

渚    「そうよ!・・・アンタの役目はアタシの役目でもあるの・・・でないとアンタの奥さんやってられないよ。」

英明   「・・・そうか。」

英明は笑いながら答えた。そして何も言わずに渚を抱き寄せた・・・


その日の夜  林道 ベンチ

刻真   「・・・・・・帰ってきたか。」

刻真は麻都の帰りを待っていた。麻都は刻真に気付き小走りで向かってくる。

麻都   「何やってんのよアンタ。」

刻真   「待ってた。」

麻都   「いや、待ってたって・・・もしかしてずっと?」

刻真   「さっきまでリーベルと瑞樹が居てな。邪魔だったようだから、屋根の上で寝てた。」

麻都   「猫かアンタは・・・」

苦笑する麻都。刻真の隣に座った。

刻真   「・・・言ってきたのか?」

麻都   「・・・うん。」

刻真   「そうか・・・」

麻都   「大丈夫です・・・」

刻真   「・・・・ん?」

麻都   「アンタ、お父さんに言ったんだってね。大丈夫ですって。」

刻真   「・・・・・あ」

最初は理解に苦しんだ刻真だが、思い出したかのように一音だけ発した。

麻都   「何だかね~。アタシとしては嬉しいような。」

刻真   「嬉しい・・・のか?」

麻都   「だって、守ってくれるって意味だったんでしょ?女の子としては嬉しいじゃない?」

刻真   「女・・・の子?」

ビコ~ン!

麻都   「・・・叩くよ?」

刻真   「叩いてから言って良いセリフじゃないな。」

麻都   「・・・・あは」

何がおかしかったのか、麻都は笑い出した。つられて刻真も、声には出さなかったものの、笑みを浮かべる。そして落ち着いてきたところで刻真は語る。

刻真   「・・・お前を巻き込んだのは俺だ。だから・・・俺にはお前を守る義務がある。」

麻都   「・・・義務ねぇ。」

刻真   「・・・・何だよ?」

麻都   「アンタ・・・アタシの事好き?」

刻真   「・・・・は?」

突拍子もない問いかけに刻真は唖然とする。

麻都   「いや・・・どうなのかなぁと。」

刻真   「・・・嫌いじゃない。」

麻都   「・・・そっか。」

刻真   「だが・・・好きになってはいけないだろ。」

麻都   「・・・・へ?」

刻真の言った事が分からなかった麻都。

刻真   「俺とお前は住む世界が違う・・・いや、次元が違う。だから、好きになったりとかは・・・まずいだろ?」

麻都   「あ・・・そっか。」

住む世界、時代、そして文明までもが違う2人。今まで気にもしてなかったが、そうなのだと麻都は今更ながら気付いた。

刻真   「恐らく・・・リーベルも気付いてるはずだ。」

麻都   「・・・・・え?」

刻真   「いや・・・何でもない。もう遅い。帰るぞ。」

そう言って立ち上がった刻真は先に歩きだす。

麻都   「・・・好きになったらまずい・・・かぁ。」

麻都も立ち上がる。

麻都   「・・・・ちょっと辛いよ。」

そう言って刻真を追いかける様にその場を去る。




首都から離れた山奥 洋館 最上階


ヴェスタ 「おいレオン。アイツらにここがばれたみたいだぞ。いいのか?」

レオン  「・・・・構わん。ゼロが居ないのでは問題ない。」

ヴェスタ 「いや、それが・・・」

レオン  「?」

口ごもるヴェスタに代わりファナが発言をする。

ファナ  「ゼロもこちらに向かってるわ。」

レオン  「・・・・ほぉ。」

エレン  「レオン・・・。」

レオンは笑みを浮かべる。

レオン  「どうやら乗り越えたようだな。いや・・・[鍵]はそうでなくてはならんか。」

ヴェスタ (こいつ・・・自分で壊したクセして良く言うぜ。)

ファナ  「で・・・どうするの?」

レオン  「無論、出迎えるさ。盛大にな・・・」

意味を理解しその場を静かに去るヴェスタとファナ。その場に残されたレオンとエレン。

エレン  「・・・いよいよって事なのかしら?」

レオン  「あぁ・・・[鍵]と[扉]が揃う。ヤツにはここまで来てもらわないとな・・・」

レオンの背後には、とてつもなく大きな扉があった。



リーベル 「・・・ここッスね。」

洋館前までたどり着いた刻真達。時代とは逆行した洋館を目の当たりにして驚きを隠せないでいた。

瑞樹   「こんな物・・・あったかしら?」

麻都   「いや・・・アタシも知らなかった。」

英明   「レオンの話だと、どこだかに似せて作ったモンらしいぞ。結界なんかも張ってある程度近づかないと見えないそうだ。」

刻真   「・・・・・・・。」

麻都   「・・・・刻真?」

無言の刻真に麻都が話しかけた。

刻真   「・・・確かに似てるな。」

英明   「何だ、お前知ってんのかよ?」

リーベル 「そこら辺の事、聞きたいけど無駄話はこの辺で終わりッスよ・・・」

突如刻真達の目の前に多数の化け物が現れた。土の中、洋館の壁をすり抜けて、空から・・・その数は軽く100を超えていた。

英明   「キメラ・ビーストだぁ?」

麻都   「うわぁ・・・やけに懐かしい。」

瑞樹   「ワタシは初めてね。」

話している間にもキメラ・ビースト達は刻真達に向かって突進してくる。群れに飲み込まれた刻真達。その瞬間、大きな光と共にキメラ・ビーストの群れは姿を消した。

リーベルの拳には炎が、英明の手には太刀が、そして刻真の手には銃身の長い銃が握られていた。

英明   「今更テメェらみたいなザコには用がないんでな」

刻真   「文字通り」

リーベル 「瞬殺って事で。」

瑞樹   「あらあら・・・」

麻都   「い・・・いきなり力吸われたからビックリしたよ。」

刻真   「こんな所に長居するつもりは無い。行くぞ。」

刻真達は何事も無かったかのように洋館に向かって歩き出す。



洋館1階


ホールらしき場所に出た一行は、何かの気配を感じ取って止まった。

英明   「・・・何か居やがるな。」

刻真   「あぁ・・・しかも手強いな。」

リーベル 「・・・・・・。」

瑞樹   「リーベル君・・・」

リーベル 「みんな、お先に上にどうぞッス。」

麻都   「へ?」

刻真   「・・・大丈夫か?」

刻真の問いに満面の笑みで答えるリーベル。

リーベル 「5分で追いつくッス!」

自信満々のリーベルを見て、安心してなのか刻真は何も言わずに上へ向かう。

英明   「お、おい刻真!!」

リーベル 「だぁいじょうぶッスよ!さ、英明も行って。」

英明   「・・・お、おう。」

麻都   「無理・・・しないでね?」

渚    「きっかし5分で追いついてよ!」

刻真に続いて英明・麻都・渚も上に向かう。残されたリーベルと瑞樹。

瑞樹   「5分・・・ねぇ。」

リーベル 「ああでも言わないと・・・先に行ってくれなさそうで。」

瑞樹   「いいんじゃない?5分で終わらせましょう。」

???  「大した自信だなぁ・・・くそガキ。」

背後から聞こえる声に反応してとっさに飛び退くリーベルと瑞樹。そこにはヴェスタが居た。

ヴェスタ 「せめて二挺拳銃使いには残っててもらった方が良かったんじゃねぇか?」

ヴェスタの言葉は重く、リーベルを押しつぶす勢いで発せられていた。

リーベル 「・・・アンタ如きに刻真君の助けなんてイラねッスよ。」

ヴェスタ 「・・・・あぁ?」

リーベル 「サクッと終わらせて上に行かせてもらうッス!」

リーベルはヴェスタのプレッシャーを押しのけて笑顔で言葉を返す。

瑞樹   (そうそう、その意気。)

瑞樹も優しい笑みをリーベルに向けた。だがヴェスタは面白くなかったのか、怒りの表情に変わっていく。

ヴェスタ 「相当なめられてんなぁ・・・一度殺らねぇとわかんねぇのかぁ!?」

目にも止まらぬスピードで二挺拳銃を取り出しトリガーを引くヴェスタ。精霊を召喚した。

デビル&サタン 「・・・・・・。」

瑞樹   「あらあら、こちらもお久しぶりねぇ。」

リーベル 「1体は倒したはずなんだけど・・・やっぱアレくらいじゃあ駄目だったかぁ。」

デビル  「当たり前だろうが!オヤブンがアレくらいで倒れるわけがないわ!」

サタン  「だがな・・・痛かったぞ?あの時のお返しはきっちりつけさせてもらう!」

ヴェスタ 「オレはどうでもいいんだがな。こいつ等はお前の事を気に入ったそうだ。」

リーベル 「そりゃどーも。」

ヴェスタ 「だからな・・・今回はこいつ等を本気でやらせてやりてぇ。」

瑞樹   「望む所よ。ねぇ、リーベル君。」

リーベル 「押忍!!」

リーベルは構えた。その背後で瑞樹が構え、陣形を取る。

ヴェスタ 「行くぞテメェら!!」

デビル&サタン 「おう!!」

ヴェスタが2つの精霊に力の供給を始める。足元から黒い炎に覆われ、闇の炎の化身と化した2体の精霊。

リーベル 「あ!パクられた!!」

瑞樹   「う~ん、元々ああいう技は無かったし、パクりじゃないんじゃない?」

リーベル 「あ・・・そっか。」

デビル  「無駄話はその辺にしろ。マスターからの供給は5分しかもたない。」

サタン  「それまでに貴様らを殺らなきゃならんのでな・・・急がせてもらう。」

精霊達の放つ熱風に一歩引くリーベル。

リーベル 「うわぁ・・・僕以上に熱いなぁ。」

瑞樹   「でも、逆を言えば5分もてばワタシ達の勝ちよ。」

リーベル 「それじゃあ約束の時間に間に合わないッスけど・・・仕方ないかな。」

ヴェスタ 「・・・・安心しろ。それまでに終わらせてやる。」

ヴェスタの言葉にリーベルと瑞樹は反応した。

リーベル 「・・・どうやら僕達もなめられてるみたいッスよ?」

瑞樹   「そうね・・・目に物見せてやりましょう。全開でいきなさい!!」

リーベル 「押忍!!」

瑞樹もリーベルへ力の供給を始めた。リーベルは拳に力を溜めて、今までで一番の炎を宿した。


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