波乗り舟の音のよきかな

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2021.10.29
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カテゴリ: 雑文
児童福祉や教育の業界で、「子供」という言葉を文章中で使う時に「子ども」とすべきだという考え方がいまだに根強くあります。子供の「供」は「供え物」という意味で、「添え物として扱っていて差別的だ」とか「子どもを生贄としていた頃の名残であり、差別的で良くない」等と言う人がいるのです。2013年に文科省が「子供は差別表現ではなく、公用文中では子供に統一すべきだ」ということを言ったにも関わらずです。
***引用***
https://www.fukushishimbun.co.jp/topics/610
文化庁国語課によると、「公務員は原則として内閣府告示の『常用漢字表』に従う必要がある」と指摘する。常用漢字表は一般的に使用する漢字の目安を示したもので、表中の漢字「供」の例に「子供」と明記されている。行政機関が公用文を作成する際は常用漢字表に従うよう求める内閣訓令も出ている。
***引用終わり***
そういう状態にも関わらず、「子供」と書くべきではないという考え方の人は今なお一定数います。そういう人がいる以上、僕もなるべく「子供」ではなく「子ども」と表記するようにしています。
似たような話ですが、ジェンダーがらみでフェミニストの方々がよく言うのですが「奥様」や「家内」は差別用語だという意見があります。
しかし、本当に差別用語なのか疑問だと僕は考えています。「奥様」という言葉を使う人が皆「妻は家の奥にいるべきだ」「女の人は家の内にいるものだ」と思っているのかというと全然そんなことはないと思うのです。昔はそういう意味を含んでいたのかもしれませんが、今はそんなニュアンスはない。全く同じ意味を過不足なく表す言葉がない以上、その言葉を使うしかないと思うのです。会話の流れで「配偶者さんは……」というのは明らかにおかしいですし、英語を借りて「うちのWIFEが」と言うのは砕けた会話には良いですが、そうでなければ使えません。そう考えていくと、今ある「奥様」「家内」を使わないで、そのまま完全に置き換えられる言葉がない以上、その言葉を使うしかないと思えます。差別だという人がいるので、僕は可能ならば使わないようにしいていますが、使う場面ならば仕方がないと思います。
「もともと悪い意味が入っているのならば使ってはいけない」という人がいるかもしれませんが、もともと悪い意味が入っていて、通常使われている言葉は多くあります。「元を辿ると良くない言葉」「良くない意味の文字を含む言葉」を忌避していたらきりがないと思うのです。例えば文字でいうと「道」「取」「県」は結構残酷な語源です。
言葉は絶えず移り変わります。「これは良くない言葉だ」「いや、そんなことはない」「この言葉が正しい」「いや、こっちが正しい」という論争は、言葉が移り変わっていく時の軋みのようなもので、いつのどの時代にもあることだと思います。「若者が間違えて言葉を使っている」とか「この言葉をそんな意味で使うのは間違っている!」とか言う話はよく聞きます。例えば「すべからく」は「当然、ぜひとも」という意味で「余すことなく全て」という意味で使うのは誤用だという話があります。誤用のまま正式な意味になった言葉もあります。最近では「爆笑」です。もともと「大勢でどっと笑うこと」という意味であり、「1人で爆笑する」は以前誤用でした。最近の辞書では「大勢で」が取れたという話を聞きました。つまり今の辞書は、1人でも「爆笑する」という言葉は使うことがあるというスタンスなのです。言葉の言い間違いが定着するケースとしては「だらしがない」が有名です。元は「しだらがない」が正しく「だらしがない」は言い間違いでした。時代が下って「だらしがない」が正式な言葉になったのだそうです。このように言葉は使われることによってどんどん変化していくのです。
少し違った話になりますが、言語学の用語で「敬意逓減の法則」というものがあります。これは言葉の使われ方が移り変わっていく中で、ある法則があると言ってます。それは「敬意逓減」、つまり、「言葉が持っていた敬意は次第に減っていく」という法則です。代表例が「貴様」という言葉。貴校や貴社の「貴」に様付けをしているので、目上の人に使うようなとても敬意のある言葉でしたが、敬意が落ちに落ちて今では喧嘩を売る時にしか使いません。予想ですが、恐らく喧嘩の時に敬語を使うノリで、皮肉の為に相手を「貴様」と最上位の敬意を表す言葉で呼んでいたら、いつの間にか「貴様」が侮蔑用語になってしまったのではないかと思います。
二重敬語が使われるのはこの法則の影響であると考えられています。敬語1つでは敬意が足りないように感じる人が増えて、更に敬語を重ねるというパターンです。最近の、どんな言葉にも「~させていただきます」をつける傾向も、これが原因だと考えられます。「伺います」では敬意が足りないかなと思って「伺わさせていただきます」と言っている人、よくいないでしょうか。
「便所」という言葉を言い換える言葉がどんどん増えていく過程にもこの法則が関係していると言う人もいます。「ご苦労様」は失礼か論争も、僕はこれだと思います。
「奥様」は「妻」の敬意を込めた呼び方です。「子供」も恐らく子どもをバカにする意味で使われていた文字とは思えません。「供」は当て字だという人もいます。
それらが言葉狩りのように「良くない言葉だ」と言われ始めたことで、僕のように「それはどうだろうか?」と疑問に思う層でも使うのはなるべく控えるようになります。次第に敬意は逓減し、元の意味とはかけ離れ、本当に侮蔑用語として使われる日が来るのかもしれません。
「この言葉は正しいのか、間違っているのか」「言葉の意味の変化」などに興味があって、ここ10年くらい言語に関する様々な本を読んできたのですが、結論として、もう言葉に関しては時代の空気を読んでいくしかないのではないかと思います。





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最終更新日  2021.10.29 00:48:20 コメントを書く
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