侑城橋夜しゃまからのもらい物


冷房がかかっているせいか、ヒンヤリと冷気が床を這っている。
中には本棚と、統一性の無い家具や置物、所々木片の剥がれた古い木製の机と、その目の前にある大きな等身大の鏡。
机の上には描き途中の絵とまだ白い画用紙。デッサン用の鉛筆が散乱している。
骨董品の刀が机の横に無造作に置かれている。
其処には誰もいなかった。
人が居たという形跡だけを残して何も無かった。
唯―――鏡の中を除いては。
男が倒れていた。
床は一面の血の海だった。
そして見下すように立つ、抜き身の刀を持った袴姿の男。
倒れた男が鏡へと手を伸ばす。
刀を持った男がそれを両断する。
ガタン―――
鏡の中の机が揺れ、鏡の外の机から鉛筆が落ちた。
だが、其処には何もいない。

鏡の中を除いては。

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