推 定 恋 愛

推 定 恋 愛

スキになるまで




彼氏の大也が元カノの麻衣ちゃんと会っていることを知って数ヶ月。

今はその事実を受け入れ始めている。



その事実は、あたしがひろやと付き合うことになった時点で、予感していたのかもしれない。

ひろやとまいちゃんが別れた理由は、あたしだったから。

ひろやは、まいちゃんと付き合う1年くらい前から、あたしに好きだと言ってきてくれていた。



あたしとひろやが出逢ったのは、共通でやっていた音楽。

お互いバンド活動でライブをしてて、お互いのことは見たことがある程度だった。



仲が深まったのは、ひろやが照明のバイトをしていたライブハウスで、あたしが初ライブした日。

ライブが終わって解散ってときに、ひろやがあたしに話しかけてきたのがキッカケだった。



「わー、おめーに惚れたみたいだからメアド教えてー」



ひろやをライブで初めて見たのは16歳のとき。

その時点で、悪そうなヒトだなぁとは思ってて。憎い先入観。

関わることはないと思ってたし、でもギターの音がすごくよくて、おもしろくて。

そこの面では、目をつけていたんだけれど。

17歳のとき、こんなことを言われて、知らないうちに拒否反応していたのかもしれない。



それからも、2人で会ったり遊びに行ったり何回かしてて。

そのたびに、「好きだ」ってことは言われていた。

でも、「付き合って」とは言われていなかった。

今思えば、そこに早く気づいて先入観を軽くできてたら、また違ってたのかなぁって。

そこに気づくこともないくらい、ひろやのことは軽くしか考えていなかった。



きっと、保健室の先生になるって夢を追っかけてて。

ドラムってやりたいこともやれていて。

気持ちが充実しすぎていたから、恋愛はただ疲れるだけだって思っていた時期で。

彼氏も好きな人もいなかった時期が2年くらい続いていたのもあったから。

「好きな人も彼氏もつくらない」って、いつの間にか固定された気持ちがどこかにあった。



ひろやはあたしのことを好きでいてくれていて。

でもあたしの気持ちは止まってて。

そんな状態が結構続いた。

その間、ひろやのことを好きなのかなってだいぶ悩んだ。

でもそれに関して疑問に思うなら、好きじゃないのかもしれないとか。

ひろやのことはファンって立場の延長線上の気持ちなんじゃないかとか。

ひろやに対しての気持ちが曖昧すぎて、ひろやを待たせてしまっていることに対しての焦りもあった。



このときにはすでに、もうひろやには彼女ができてしまっていたんだけれど。



それを知ったのは、2人で会い始めてから8ヶ月後くらい。

2人で会ってるときも、ひろやの左手の薬指には指輪があったり、ひろやにとってはめずらしく、ひろやのライブのときにひろや自ら話しかけていってた女の子がいたのには気づいてて。

それが麻衣ちゃんだった。

ひろやの好きな人はあたしだって思い込みが強くて、そんなことは大きくは気にしていなかったんだけど。

その分やっぱり「彼女がいる」って衝撃は大きかった。

それに、彼女ができていた期間にあたしとも会っていたって事実も痛かった。



彼女がいるってことの決定打は、その彼女の友達があたしの友達の友達で。話が入ってきた。

そのときは7月後半だったけれど、5月には彼女がいたって内容で。

彼女本人から話を聞いていた友達の友達が言うことだから、疑いようがない。

でも、ひろやを責めたりしなかった。

あたしも曖昧な気持ちのまま待たせてしまってたし、近づいてくる女の子を受け入れてしまうのは仕方ないのかなって。

ムカついた気持ちはあった。

だから、それを聞いたその日にひろやに直接訊こうと会う約束をした。

でも、すごく怖かったのもあった。

その事実をひろやが認めることと、それによってあたしから離れてしまうんじゃないかってことが。


ひろやに彼女ができてから、やっとあたしはひろやが好きなんだって確信した。





つづく。


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