宏樹と千秋

宏樹と千秋

「千秋!」
ゴルフクラブを抱えて店を出た千秋を呼び止めたのは、車で前を通りかかった宏樹だった。
「ちょうど良かった。送ってくれる?」
千秋は宏樹の答えも待たずにそそくさと助手席に乗り込んだ。宏樹はさっそく彼女の抱えているゴルフクラブに興味を示し、ゴルフを始めたのかと問い掛けてきた。宏樹が大のゴルフ嫌いなのは千秋も知っている。だからあえて自分もゴルフは大嫌いだと前置きしてから、これは健一への結婚記念日のプレゼントだと答えた。
「結婚記念日か...七年目だよな」
「うん...七年目の浮気、ってこと、ホントにあったりして」
冗談っぽい言い回しに本音が加わっていることを宏樹が見抜けるはずもなかった。
「俺、いつも健一が羨ましかった。一番大事なものをはやばやと手に入れてしまったから...俺なんて、まだグズグズしてる...」
「ヤダ、もうすぐじゃない!」
千秋にも宏樹の複雑な胸のうちが理解できるはずはなかった。二人はお互いのややっこしい状況を胸に秘めたまま、たわいのない会話に興じていった。

公園

小さな公園です。おそらく観光客はその存在も気づかない、観光地からはずれたところにあります。

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