ロックの部屋

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NEW ORDER



ニュー・オーダーの曲には、メンバーであったイアン・カーティスの影が常にちらつく。それは、初期の「セレモニー」であっても、メガ・ヒット・シングルになった「ブルー・マンデー」でも後期の名曲「トゥルー・フェイス」であっても然りである。

アルバム1曲目と2曲目を飾る「セレモニー」と「エヴリシングス・ゴーン・グリーン」はジョイ・ディヴィジョン時代に書かれた曲だ。ノイジーなギターが印象に残る。健康な人間の心情ではなく、地下から明るい地上に向けて発信されているような曲。

《エヴリシングス・ゴーン・グリーン》
♪助けて 誰か助けてくれ どうしてなんだろう
自分の未来が見える できれば君にキスしたい
混乱が深い熱愛を断ち切ってしまった
全てのものを光がとり囲んでいるように見える
お願いだ 教えてくれないか 道を示してほしい♪

「ブルー・マンデー」はイアン・カーティスの死(自殺)を知ったのが月曜日だったことからタイトルとしてつけられた。しかし、音は突き抜けたようなディスコ・ビート。楽しく踊るというよりは狂いまくりながら踊るのが良い。同情でもない、悲しみでもない、君が居なくなってしまった現実、残されたものの辛みを感じる。冷たいチープなギターにシンセサイザーは規則的にリズムを刻む。恐ろしいほど無感情な音空間。

「トゥルー・フェイス」あたりになると、ビートよりも哀愁を帯びたメロディーに変化している。『SUBSTANCE』は年代順に並べられている12インチシングルコレクション集で、彼らの変化を知るにはもってこいのアルバムで楽しめます。

ニュー・オーダーは、イアン・カーティスの死という重荷を背負いながら(利用しながら)音は暗くも重くもならず、無感情にビートに乗れるところがあります。裏に見え隠れするカリスマ性が覗くところが魅力になっています。

人の死も不幸も、所詮は人ごと。時が経てば残されたものの現実は待っている。その辺の痛快さが聴きとれるニュー・オーダーの音楽は、ロックぽくて魅力に溢れている。
私にとってもエレクトロニックポップなバンドの中では、聴き応えは1・2なのです。

1993年に発表された『リパブリック』以来、アルバム発表がないニュー・オーダー、しかし、期待は大きい。

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