ロックの部屋

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SIMPLY RED





1980年代半ばのイギリスではブリテイッシュ・ソウルというムーヴメントが台頭していました。【ブロウ・モンキーズ】【スタイル・カウンシル】そして【シンプリー・レッド】といったバンド達です。

中でもシンプリー・レッドは一番ソウル色が強かった。このアルバムを初めて聴いた時は正直面食らいました。イギリスのバンドである事が信じられなくて、そのギャップを埋めるのに1月はかかりました。

ソウル風でもなくソウルのエッセンスでもなく、ソウルそのものの音だったからです。黒っぽい濃厚なソウル。ヴォーカルはミック・ハックネイルという人でバンド名のレッドは彼の髪が赤毛だったからとも言われています。

同じブルー・アイド・ソウル系のバンド【WET WET WET】との比較になってしまいますが、シンプリー・レッドの方がよりゆったりと聴かせる歌に徹している。60年代モータウンサウンドにジャズ的な側面もあって、聴きやすさではこちらの方かなと思います。

でも「MONEYS TOO TIGHT」なんかを改めて聴いてみると、バックの女性コーラスがソウルというよりレゲエぽいですね。

このアルバムからのシングル「HOLDING BACK THE YEARS」は1986年に全米でNO1ヒットにもなりました。この曲の空気感と静寂感は独特のものです。軽く静かに流れるシンセサイザーの音が素敵です。ゆったり流れるサキソフォンの音色にも、ウットリさせられます。そしてハックネイルのソウル・フィーリング溢れるヴォーカルはテクニックなのか生まれついたものなのか分からないですが特上です。

シンプリー・レッドはこの後、1000万枚以上売れた『STARS』というヒットアルバムを1991年に出していますが、私はこの頃はWET WET WETの方が好きだったので聴いていませんでした。

『PICTURE BOOK』の頃もどちらかと言えば、【スタイル・カウンシル】の方が好きだったかな。ロックの乗りという面で少し物足りなかったのかもしれない。

けれど『PICTURE BOOK』は80年代の忘れられない名盤であることには間違いありません。

                    (2004-10-04記)

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