ロックの部屋

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DIVINE COMEDY


fin de siecle
アイルランドの宗教状況というのは、どういうものなのか詳しくは知りませんが、北アイルランドはカトリック教徒が約3分の1、南部の住民は90%がカトリック教徒だといいます。つまり北はプロテスタントが多いということのようです。

北アイルランドのアルスター地方9州のうち、6州が実質的に「北アイルランド」として、イギリス連合王国内に含まれています。その他の26州が、現在のアイルランド国のようです。

アイルランドの現況は、北部は英国経済に守られるべきだという合同主義とアイルランド全域の独立を目指すナショナリストがあり、北アイルランドの協定問題では6州は現状のままの体制でやっていくという前提になっている。北アイルランドにはスコットランドからの移民者が数多くいて、宗教問題も含めてアイルランド統合には難しい状況になっているようだ。

DIVINE COMEDYの中心人物(一人のようだけど)ニール・ハノンは、北アイルランド出身の人で、牧師の子として生まれた。

宗教間の対立や、階級間に起こる不条理に悩まされ続けてきたのだという。

DIVINE COMEDYの曲を初めて聴いたのは「IF」というピアノとパイプオルガンの荘厳な美しい曲でした。後から分かったことだけど、なるほど、教会音楽の中で育ったからこんなスケールのおおきな格調の高い曲が作れるんだなと思いました。

この曲の入ったショートアルバム『about love』は気に入って良く聴きました。『世紀末』は、この後に発表されたアルバムだったと思う。

「サンライズ」というアルバムの最後のナンバーでは、ニール・ハノンのアイルランドへの想いが歌われています。

♪僕はエニスキレン(プロテスタント・ネーム)で育った
 僕はイニスキャサリーン(カトリック・ネーム)で育った
 何て賢い子だろう
 生まれ故郷が粉々にされるのを見る
 僕にはわかってた、そこに長くいられないって
 そうだよ、僕はずっとそうやってきたんだ

 暗闇に被われていた空に
 いま少し青空が見えてきた
 一筋の望みが、一条の光が
 30年もの夜が終わる
 教会の鐘が鳴り、子供たちが歌う
 この不思議で素晴らしい出来事は一体なんだろう
 陽の出だ
 朝陽が昇るのが見えるかい?
 ぼくには見えるよ 陽の出だ
 サンライズ…♪

もちろん、アイルランドの状況を知らなくても、彼らの音楽は楽しめます。ニール・ハノンの声の魅力が大きいと思う。【ウォーカー・ブラザーズ】のスコット・ウォーカーに質が似ている。あるいは、【エコー&バニーメン】のイアン・マッカローにも似て無くもない。
ニールのヴォーカルにうっとりする人もいるでしょうね、きっと。

『世紀末』はドラマチックで優美で気品漂う楽曲がそろっています。「サンライズ」の他にも「ジェネレーション・セックス」「ナショナル・エクスプレス」もとても良いのです。

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