ロックの部屋

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THRILLS





アイルランドはダブリン出身のバンド【スリルズ】、ヴォーカルのちょっと癖っぽいのと抜け具合が魅力的なバンドです。この癖は【キンクス】レイ・デイヴィスに近いものがあります。

ポップなロックですが、アルバム発表前には2年間あまりツアーに明け暮れていたそうで、バンドサウンドとしての演奏の安定感を感じる出来となっています。

「WHATEVER HAPPENED TO COREY HAIM?」「NOT FOR ALL THE LOVE IN THE WORLD」に聴けるストリングスアレンジメントが素晴らしい、有名なフランス人アレンジャー、ミシェル・コロンビエなる人の手によるものだそうで、この人は【エール】や【ニール・ダイアモンド】も手がけているとか。よりドリーミィでロマンチックな楽曲に寄与していますね。

そして「FADED BEAUTY QUEENS」では何と【REM】のピーター・バックがマンドリン演奏で参加しています。スリルズのメンバーもREMが好きだそうで、お互いにナチュラルなところとか繊細なところとかに、惹かれるものがあるのかもしれません。

前作はビーチボーイズ風のポップロックだったという話ですが、今作はビーチボーイズぽいところは影をひそめています。よりロックバンドに近いのりです。

ストリングス以外ではピアノが印象に残ります。「YOU CAN’T FOOL OLD FRIENDS WITH LIMOUSINES」の飛びはねたくなるような軽快なリズムに口ずさみたくなるポップなメロディー。楽しいです。

《YOU CAN’T FOOL OLD FRIENDS WITH LIMOUSINES》
♪心優しき娼婦さん
 お金じゃ買えない、チープなデートは
 きみを早死にさせたりしないよ

 だけどイエス様は見下ろして、こうおっしゃた
 「不信はすぐに顔に出る」
 「下心は透けて見える」

 きみはただ笑って言った
 ここでは誰も過去を忘れてくれないと♪

分かりにくい歌詞だけど、面白さだけは何となく分かりますね。(笑)

ジャケットにはギターを弾く骸骨とマイクを持って歌う女の子が描かれているけど、こういったユーモアも彼らの音楽の親しみやすさを現しているなぁと思います。

アイルランドのアーティストはどこかしらトラッドや宗教の匂いを感じることがあるけど、スリルズもちょっぴりと感じたのでした。

これもお気に入りのアルバムです。

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