肺の仕組みと「自然気胸」


肺の役割

呼吸する時には、肺自身が膨らんだり縮んだりして、
空気が出入りするのではありません。
肺はゴム風船のように、それ自体はいつも縮もうとしています。
肺が縮み切らないのは、胸腔という密室に入っているからで
肺が膨らむのは、胸腔を作っている胸壁や横隔膜の筋肉が動いて
胸腔が外側に広がり、肺が引っ張られるからです。
胸壁や横隔膜の間には肋膜腔という隙間があり、
ここに何らかの原因で空気が入ると、胸腔の大きさは変化しにくいので
弾力のある肺が小さくしぼみます。
これが気胸です。

自然気胸とは?

「自然気胸」とは、もともとブラという肺の組織の弱い所があって、
何かのきっかけでそれが破れるのです。
肺の中の空気が胸膜と肺の間に漏れ出し、肺がその空気によって
押されてしぼんでしまう病気です。
肺の中の圧力は通常大気圧よりも低圧になっていることから、
肺は空気を吸い込むことができるのですが、
肺胞が破れてしまうと、体と外界が空気によってつながってしまうため、
肺の圧と大気圧が同じになってしまい、その結果
呼吸がしにくくなってしまいます。

自然気胸の特徴

この病気の特徴は、
①若くて
②痩せている
③背の高い
④男性に
多い病気です。
この病気は、一度発病すると、
一旦治っても また再発する確率が高いのが特徴です。
再発する確率は、1回で50%、2回で60%、3回目以降は
実に75%が再発すると言われています。
また、手術後の再発確率は10%です。
しかし、まれに もともと肺の細胞組織が弱く、
手術をしたにもかかわらず何度も再発してしまう人もいます。

自覚症状

激しい胸痛や、せき、呼吸困難を伴うことがあります。
言わば、肺のパンクですから、肺が正常に機能していない状態ですので
万が一、両肺に穴が開いた場合、呼吸不全で死に至る場合もあります。

発病する原因

原因としていちばん考えられるのは、喫煙、大気汚染ですが、
ブラがどうしてできるのかはまだわかっていません。
排気ガスに含まれる有害物質が原因だという説もありますが、
証明はされていません。

処置の方法

病状が軽い場合は安静にしていれば自然に穴は塞がります。
中程度の場合は、トロッカーやドレーンと呼ばれる管を
肺と胸膜の間に入れ、その管を使って肺を圧迫している
漏れた空気を吸出し、穴が自然に塞がるのを待ちます。
それでもだめな時は、薬を管から注入し、肺の細胞を炎症させ穴を塞ぎます。
ただ、この方法は、かなりの痛みを伴うので、1度経験した人は
大抵懲りるでしょう・・・。
重度の場合や、再発を繰り返すような時は手術をします。
胸、背中側、わきの下10cmくらいのところ 三個所ほどに
直径にして約2cm弱ほどの穴をあけ、胸空鏡と呼ばれる、
細い内視鏡の先にカメラやはさみやライトがついたものを使い
穴をふさぎます。
手術時間も短く、入院時間も短く、傷跡もわずかなことから
最近はこれで手術することが多いですが、それでもだめだと
最悪開胸手術になります。
手術費用は大学病院で約20万円です。
その他、おおよそ6千円/1日×入院日数の治療費及び
ベット差額、食事代などが加算されます。



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