夏から秋へ・2

水無月


ajisai●筆跡に笑顔の見えし夏便り

     ●蝸牛いたらぬ吾もいとほしく

●ざぶざぶと顔洗ひたる青水無月

     ●ハンカチも江戸の匂へる蔵の街

●口笛を吹いてもみたし青田風

     ●夏蝶やキャベツ色した風の中

●約束を違へし傷み四葩かな





文月


hotaru
●朝まだき炎暑の予感雲ひとつ

     ●うぬぼれも気おくれもなし立葵

●黒南風のまとわりつきし朝寝かな

     ●幸不幸共に坐りて大賀蓮

●端居して眺むでもなく虫の行く

     ●気疲れて泡いっぱいに髪洗ふ

●ビール飲む胸の千尋もコクリ鳴る





葉月


朝顔●容赦なき陽射し流せる夕立ゆく

     ●つなぐ手に心奪はれ花火の夜く

●万緑やローカル電車歩むごと

     ●あらがへぬうちなる想い桃を買ふ

●蝿を打つはずれて打つやまたも打つ

     ●向日葵や勝気な顔を空に向け

●噴水の空の青さで折り返す






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