時代・歴史ものでフムフムする

時 代 小 説


●あかね空:山本一力
【楽天ブックス】あかね空
裏店に暮らす桶屋の娘おふみの一生を淡々とほのぼのと力強く描き、全体を優しさで包み込むような作品。第126回直木賞受賞作
●損料屋喜八郎始末控え:山本一力
損料屋喜八郎始末控え ( 著者: 山本一力 | 出版社: 文藝春秋 )
主人公喜八郎、上司の不始末の責めを負って同心を辞め刀を捨てた。横暴な札差たちに正義で立ち向かう、痛快時代小説!
●はぐれ牡丹:山本一力
たくましく明るく助け合いながら生きている市井の人々を愛情いっぱいに描かれています。元気で男まさりの一乃を中心に様々な事件が起こる。
●蒼龍:山本一力
短編(よりもちょっと長いかな?)5つの作品集。表題作は苦しい生活を続ける若い夫婦お話。瀬戸物屋の店先にあった張り紙「新年初荷売出しの茶碗、新柄求む。礼金五両」。二人の夢の始まりだった...
●大川わたり:山本一力
【送料無料商品】大川わたり
賭場で大きな借金をつくってしまった流しの大工銀次。借りを返すまでは大川を一歩でも越えてはならないとの約束。苦難にめげず必死に生き抜く銀次。勇気をもらえる作品です。
●鬼平犯科帳:池波正太郎
言わずと知れた時代小説の代表のような作品。一冊読んですぐにはまってしまいました。男らしく腕がたち人情にあつい...こんなすてきな男性はなかなかいないよねぇ...上司にもったら最高! 登場する料理も四季折々季節感あふれるものが多く、別に本が出ているほど。現在22刊までしか読んでいませんが、ますます鬼平に恋しそう。
●壬生義士伝:浅田次郎
壬生義士伝(上) ( 著者: 浅田次郎 | 出版社: 文藝春秋 ) 壬生義士伝(下) ( 著者: 浅田次郎 | 出版社: 文藝春秋 )
新撰組隊士吉村貫一郎について彼に関わった様々な人々が語っていく形式の小説。新撰組という殺伐とした血生臭い世界に身をおく主人公の故郷や家族を思う生き方に涙があふれてくる...映画やドラマにもなった。浅田次郎さんの新刊に「輪違屋糸里」があり、こちらは土方歳三のお話。私もこれから読みます。
●あかんべえ:宮部みゆき
あかんべえ( 著者: 宮部みゆき | 出版社: PHP研究所 )
楽しくて愛しくて怖い(?)お江戸の亡者たちのお話。少女おりんは高熱を出し夢の中で三途の河原に足を踏み入れてしまう。無事に生還(?)したが、その後次々と幽霊を見るようになり、料理屋ふねやに起こる事件を通して、少しずつ様々な生き方をしてきた彼らと友達になっていく。あいも変わらず楽しい宮部ワールド!
 ●輪違屋糸里:浅田次郎 ★★★まるまる茸いち押しの本★★★
輪違屋糸里(上) ( 著者: 浅田次郎 | 出版社: 文藝春秋 ) 輪違屋糸里(下) ( 著者: 浅田次郎 | 出版社: 文藝春秋 )
私はてっきり、島原の妓“糸里”と土方歳三との恋物語だと思っていた。その思い込みは、いいほうに見事に裏切られた。
京都島原(江戸なら吉原のような所)の糸里は、こういう場所で暮らす女たちの例にもれず、女衒の手で子供の頃に売られてきた。島原一の音羽太夫にかわいがられ、芸を磨き一人前になっていく。
京の都では、この国の行方を左右するような動きが始まっていた。
糸里は新撰組副長の土方歳三を愛するが、土方は聡明な頭脳と腕っぷしとで、世の中に新撰組の名を刻んでゆく。隊士に翻弄されたたくさんの女たちが登場し、様々に新撰組を彩っていく。糸里をはじめ、やはり島原の妓“吉栄”、屯所とされた八木家の女房おまさ、同じく前川家の女房お勝、芹沢鴨の女お梅...ある意味、それぞれの思いで新撰組と心の戦をした女たちだ。
「だあれも恨むな、恩だけを刻め」との音羽太夫の最期の言葉を、それぞれの女たちが、命をけずられるような思いをしながら、自分の生き方としていく様に、拍手を送りたくなる作品だ。
 ●欅しぐれ:山本一力
欅しぐれ ( 著者: 山本一力 | 出版社: 朝日新聞社 )
大店桔梗屋の主・太兵衛と賭場を仕切る渡世人・猪之吉との男の友情のお話。
物語は、太兵衛と猪之吉が知り合うところから始まる。強引ともいえる太兵衛の誘いで深まっていく信頼関係。それぞれの立場で気の抜けない仕事をしている二人にとって、水入らずの月に一度の酒の席が楽しみになってきた頃、太兵衛の身辺に黒い影が...お店を乗っ取ろうと企む騙り屋に、命がけで挑む猪之吉。太兵衛の女房しずも、大店のお内儀らしく背筋の伸びた女性だ。凛とした姿勢には、心を動かされる。
二人の男のおとこ気が気持よく、命懸けのやりとりが面白い。切った張ったの立ち回りはないけれど、頭脳戦の模様を呈する流れもドキドキさせてくれる。
ただねぇ、結末がけっこうあっけなくって、拍子抜けした感は否めない。
渡世人・猪之吉は、渋くて肝がすわっててかっこよかった。
 ●居眠り磐音 江戸双紙:佐伯泰英 ★★★まるまる茸いち押しの本★★★
遠霞ノ峠 居眠り磐音江戸双紙( 著者: 佐伯泰英 | 出版社: 双葉社 )
豊後関前藩、国家老坂崎正睦(まさよし)の嫡男・坂崎磐音(いわね)。
藩の騒動の中で、若手の改革派であった幼馴染みの慎之輔、琴平、磐音の三人は、老獪な国家老宍戸文六が仕掛けた罠に嵌り、慎之輔を琴平が、そして琴平を磐音が討ち果たすという悲劇に見舞われた。
それに絡み、磐音の許婚であった奈緒は家をつぶされ、自身も長い旅の果てに、吉原に永の住み家を持つ身となる。藩の騒動は収拾したが、この事件をきっかけに磐音は藩を離れ浪人となり、江戸に出て深川六間掘での長屋暮らしを始めた。
長閑とも思える居眠り剣法が目を覚ますとき、心地よい風が吹き、爽やかな読後感を与えてくれる。
現在第十一弾まで出版されているこのシリーズ。主人公・坂崎磐音の人柄と剣術の腕前に、完全に惚れた。一途で生真面目、育ちの良さを感じさせる立居振舞い、弱者に対する愛情、身分を越えた考え方、気負いのない生き方、時に見せる無邪気さ、そして剣を持たせればめっぽう強い。こんな男性に惚れない女がいたら、見てみたい。
奈緒(売れっ子花魁となった白鶴(はっかく)太夫)の幸せを影ながら祈り、亡き友の面影に支えられ、信頼に根づいた仲間たちと助け助けられながら、春風駘蕩の如き磐音が悪を討つ。
時代小説の楽しみの一つである、たちまわりシーンの緊張感や、当時のおいしい料理なども充分に登場する。江戸の風景や、季節折々の風物など情景描写も美しい。

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