あばら家のバラ

あばら家のバラ

野原の生き物 はじめ


はじめに



私がこの土地に腰を下ろしたのは
もう30年も前の事
回りは牧草が生えている原っぱだった
隣は牧場で乳牛を育てていた
境界の電線には、微量電流が流れているらしく
牧場主は、若かりしおかーさんに
近づいて触らないように注意をしていた
私の目の前で日中いっぱい、牛が草を食み
夕刻近くになると、牛たちはパンパンに
張ったオッパイが痛いのか
牧場主の家の方角に向かって
ヴエ~ッヴエ~ッと悲痛な声をあげたのだった
およそ、牛の鳴き声をあらわすモーモーという
擬音のものではなかった

静かな原っぱの只中にいた私は
いつも風の音や
明るい日差しの中で
のんびりと青春を謳歌していたのである





(c) 2010 abarayabara.



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