あばら家のバラ

あばら家のバラ

野原の生き物 カワセミ


カワセミ



この田んぼの両側の道は
農耕車専用通路なので
あまり車は通らない
おまけに街中から
離れているので
犬の散歩や
自身の散歩、マラソン
サイクリングと運動を
目的にした人しか
普段は見かけない

おかーさんは小川に沿って
土手を歩くのが好きだった
小川はサラサラと音を立てて流れ
大きな鯉が群れをなして
ゆったりと泳いでいる
住まいの近くに川が流れ
しかも大きな鯉が泳いでいるのである

鴨のつがいもいた
所々には堰のように段差があり
水は勢いよく流れている
鯉はその勢いのいいところを
さかのぼり、どこかで
産卵するのだろうか
小川に鯉が泳いでいるなんて
山にでも行かない限り
見たこともなかった

堰の下流にはたまりがあり
側を通るとポチャンと音がした
みれば、石亀だった
川の土手に住んでいるのか
穴がたくさん開いている
でも亀は一匹だけで
頭だけ出してぽかりと浮きながら
日向ぼっこをしていた
それらの姿を見たいがために
小川の際を歩く

ある時
小川の水面ぎりぎりに
飛ぶ鳥がいた
コバルトブルーの背中が見えた
そんな羽色をもつ鳥なんて
あの鳥以外いないだろう

カワセミか!

どうしてこんなところに!?
確かにカワセミだった
カワセミはあっという間に
飛んでいって見えなくなってしまった

なんて幸福な出来事なんだろう
この鳥に出会うチャンスは
そうあるものではなかったが
それからというもの気をつけていると
何度か出会うことがあった

回りに歩いている人たちは
気が付いているのだろうか
みんな気付いてはいないみたいだった

カワセミに出会った日は一日中
なんだか幸せな気分でいっぱいになるのだった





(c) 2010 abarayabara.



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