あばら家のバラ

あばら家のバラ

家のうちそと ヤモリの棲家


ヤモリの棲家



何年ぐらい前になるのだろう
夜になると家の窓に見たこともない
トカゲにそっくりな形の生き物が
へばりつくようになった
おかーさんはこれが
かのヤモリだという事を
始めて知った

最初に出会ったのは
夏に雨戸を閉めようと
していたときだった
3センチくらいの
小さいトカゲが二匹
戸袋の入り口で遊んでいる
家に入ってきそうだったので
あわてて外へ掃き出すようにして
庭へ追い出した

しばらくして
今度は違う窓から
こいつは侵入してきた
机に面している窓のところで
追いかけて捕まえると
チーチーチーと鳴いた!
そして触っていた指先に
ぱっくっと噛み付いたのである!
びっくりしておかーさんは
手を離してしまった
すばしこく逃げたやつは
どこかに隠れてしまった

冬になってから
夏の間開けたままだった
雨戸を閉めると
なんと!
雨戸の裏には
白いトカゲの卵より
ちょっと大きな
卵が二つづつ
たくさん張り付いていた!

おかーさんの叫び声を聞いて
みんな集まってきた
大きい兄さんは
笑いながらその雨戸を戸袋にしまった
卵はそのままで...

卵は初夏の頃
孵るのだろうか
暑くなってくると
窓という窓には必ず一匹
コイツがいた
明かりを求めてくる
小さな蛾を取って食べている
狩りをするときの様子は
猫のようにじっとしていて
狙いを定めているときには
シッポの先がクルクル振られた

窓の外には蜘蛛の巣が張らなくなり
小さい蛾もあんまりいなかった

あばら家には
窓の掃除担当が現れたのである





(c) 2010 abarayabara.



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: