あの鳥がきたのはその頃だった
スオウのさやをついばみ
枝につかまりそのさやを
細い足で押さえ
くちばしで上手に割って
中の豆を食べていたのである
あ、この鳥は豆を食べるのか、と
おかーさんは知った
みかんには見向きもしなかったからだ
それから春が来て
花が咲き
虫の行動も活発になって
蔓バラも林と化した庭には
小さい虫もたくさんいた
花が終わり梅雨頃になると
ヒナ鳥は孵化して
いよいよ親鳥と一緒に
独り立ちの練習が始まる
庭がやけに賑やかなので
窓に近づいてみると
なんと!
あの鳥が子連れで
庭に餌を採りにきていたのである
子供のくちばしは
まだ黄色味がかっていて
体の模様もまだ薄い色だった
一目で子供だとわかるし
さえずる声も動きも子供っぽい
その子供の鳥が
ああ!
六羽もいたのである!
おかーさんは
飛び上がらんばかりに喜んだ!
そしてガラス戸にへばりついて
固まっていた!
かわいい六羽のヒナが
いなくなるまで動かずに
ずーっとその仕草を
眺めていたのである
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