あばら家のバラ

あばら家のバラ

番外編、ホトトギス


ホトトギス



カッコウと同じく
冥界と現世を行き来する鳥
といわれ
その鳥の鳴き声を聞くために
夜更かしをした、などと
風雅な遊びをその昔
天上人はしていたのだそうだ

でも夜更かしをするまでもなく
ホトトギスは鳴いた
日が昇る前に2、3日続けて
家の真上で鳴いた

それは結婚式の前だった
家族はみんな
この鳴き声に気が付いていた

そしてそれがホトトギスであると
知ってからの驚きは
肌に粟粒をわかせるものだった

この時期に?まさか!

結婚式の当日
晴れ着の着付けや髪を整えに
大きいねーさんとおかーさんは
連れ立って美容院へ行った

奇遇はおきた

そこで出会った人は
まだこの家を建てる前に
団地に住んでいた時の
管理人の奥様だった
行きつけのここの美容院で
出会った事など
それまで全くなかった
そしてご無沙汰の挨拶と共に
大いにお祝いの
お言葉を頂戴した

この家の家族に
初めての経験をもたらした
一期一会の晴れの日
家族は大いにその主役を賜り
お祝いに列席してくださった方々と
慶びを分かち合った

その式も滞りなく無事に終わり
弾む心は揺れがおさまっていない

翌日、衣装を返しに美容院へ行くと
美容院の主は言った

昨日のお客様は
来る人来る人みんな
あなたのご主人のお勤め先の
会社の方の奥様やら
そこでお仕事をしていた
方々でしたよ

えーっ!
そういえばみんな和やかに
おしゃべりをしていたっけ

みんな今日は気分がいいから
来たんだといってました
それも何十年か振りで
会ったという人ばかりでしたよ

あー、なんということ!
きのうは曇りで肌寒く風もあり
いまにも雨が降り出しそうな
上天気とはお世辞にも
いえない空模様だった

あぁぁ...
あの鳥は...
もしかして...
おとーさんがよこした使いの鳥だったのか...

ホトトギスが鳴いたのは
後にも先にもその時だけだった





(c) 2010 abarayabara.



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: