あばら家のバラ

あばら家のバラ

その12 大部屋へ移動




大部屋に移った
この部屋には、食べ物も管で体に送り込んでいる人がいた
しゃべることも無理な様子で気の毒だなあ、さぞかしと思う
自分外科の患者で、口は利けるはバカな事は考えるはで
痛くて眠れない以外は、快食、快便、なのだ

今夜も眠れないのでベッドを起こしてもらって
しばらくそのまま起きていることにした
ただ黙って起きているのもなんだから
唄歌ってみた
もちろん小さい声で

♪春は名のみの風の寒さや~
早春賦
もうそんな時期は終わってるけどね
すると、向かいの人の痰が絡んで
ゼロゼロ言ってる声が黙った

聞こえた?
じゃアンコールね
次は童謡
北原白秋のゆりかごの唄

♪ゆ~りかご~の~う~たを~
カ~ナリヤ~が~歌うよ~

再びゼロゼロは始まった
次々歌って5曲
病室真夜中コンサートは終わり
ごめんね

外科の患者は手が付けられん





(C) 2014 abarayabara.


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