【浮気と別れ】

【浮気と別れ】

先輩に会える日は幸せだった。

でも彼は受験生だから、１ヶ月近く会えない日もあったんだ。

誕生日もﾒｪﾙだけで、気をつかって強がったけど、淋しかった。

淋しかった。淋しいけど、そんなﾜｶﾞﾏﾏなんていえるはずもなかった。

だって頑張ってること知ってたもん。

だけどどぅして？先輩はﾄﾓﾀﾞﾁと遊ぶことは多かった。

アオはﾒｪﾙするのでさえもためらってたんだよ。なのに・・・。

アオは先輩の何なの？ｶﾉｼﾞｮって何？

苦しかった。本当に苦しかった。

そんな時、アオを淋しさから助けてくれたﾋﾄがいる。

ユウっていう男友達。ユウとアオは普段から仲良しだった。

女だからって手加減してｹﾝｶすることはなかった。

お互いの言いたいことはｹﾝｶしてでも言い合ってた。

男と女だからそのﾄﾓﾀﾞﾁ関係は成立してた。

先輩とのことを相談に乗ってもらったり、

４月に別れたとき、心配して電話までしてくれた。

アオはユウのことを本当に信頼していたんだ。

だからって、アオのしたことは許されることじゃないんだよね。

分かってるよ。自分でも最低だって思ってる。

アオはユウとｷｽをした。

家にも行った。・・・ｴｯﾁはしてないけど。途中までしか。

完全に浮気だと思った。

前に先輩にされたことを自分がしてしまったんだ。

いくら連絡がとれなくて、ずっと淋しい思いをしてたからって、これは許されることじゃない。

アオは正直に話したの。

そしたら先輩はｶﾝﾀﾝにアオを許したの。

『お前に淋しい思いをさせてたのは俺だから。

浮気したのを怒る気は全然ないよ』

でもね、アオは罪悪感でいっぱいだったよ。

それにね、限界だったんだ。

これ以上、先輩と付き合っていても、アオは幸せになれないって。

自分勝手だけど、淋しいのに耐えるのには疲れちゃったんだ。

言いたいことを言えないのは、そんなのはアオじゃないんだよ。

いつの間にか、先輩のｶﾉｼﾞｮは本当のアオじゃなくなっちゃったんだよ。

そして、先輩も同じことを考えてたの。

アオたちはまたお別れをした。

でも、この別れはお互いにとっていいものだったと思うよ。

今でもアオたちは仲良しだから。

付き合ってた頃よりもずっと自然だから。

変に気をつかうことがなくて、ふざけあえる。

アオたちが忘れちゃったもの、ちゃんとまた見つけられたね。

先輩は結局、大学進学はしなくて、家業を継ぐことになった。

『アオのした淋しい思いはなんだったのよぉ』

って思ったりもしたけど、それはただの結果に過ぎないよね。

あの時、あの時で、アオたちができた最善のことをやってきただけだから。

先輩、ありがとう。

ずっと忘れないよ。

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