♪ again and again ♪

♪ again and again ♪

テニプリ 蒼海さつき様からの頂き物




満開の桜にも負けずに輝く君の笑顔

ずっといつでも見ていたい






 ――― Cherish! ―――






「……ふあぁぁ。」

「…越前、グラウンド10周!」

「ゲッ!!……うぃーっす…」

春眠暁を覚えず

青学ルーキーにとってこれほど当てはまる言葉は他にないだろう

眠そうに欠伸をしたところをすかさず手塚に見咎められたという訳である


「温かくなったし、いよいよ春って感じだにゃ~。」

「クスッ、そうだね。テニスがしやすい気候になったね。」

青春学園男子テニス部

春休みでも練習のため、コートには変わらず部員が溢れていた

毎日練習があるので、春休みといっても本当の休みはほんの一部なのである


そしてレギュラー陣の休日の過ごし方は既に各自の中では勝手に決定済み

もちろん狙うは○○とのデートである


「ねえねえ○○っ!今度の休みさぁ、俺とお出かけしよ?春といったらやっぱりお花見だよねん♪」

先頭を切って誘い出したのは菊丸

しかしそう簡単に事が運ぶ訳がないのがここ青学テニス部なのである


「東京の桜開花予想日は明後日だ。時期的にはちょうど休みの日が満開と言ったところか。」

「うん、いいね。桜だったら青春台公園辺りがいい写真が撮れそうだなぁ…クスッ。」

「○○!俺が自転車に乗っけてやるからよ!」

いつからそこにいたのかなどは既に愚問

乾、不二、桃城が雪崩れ込むようにそれに続く

その後ろでは出遅れた大石、河村、そして手塚が○○の返事が気になるのかチラチラと様子を見ていた

しかしお姫様の反応は珍しく宜しくなかった


「あ、あの…すみません。その日は私、もう予定があるんです。」

((((((((!?!?))))))))


突然鬼気迫った顔に豹変したレギュラー陣に○○は気圧されて一歩後退ってしまう

しかし何とか続けて理由を述べた

「葉末ちゃん…あっ、弟と動物園に行く約束をしているんです。」

((((((((葉末……やられた!!))))))))


葉末とレギュラー陣との間には○○を挟んだ確執があることをご存知だろうか

何かにつけて○○を狙っているレギュラー陣は姉である○○が大好きな葉末にとってはまさに天敵なのである



「○○、僕も一緒しちゃダメかな?」

めげずに不二が再度トライ

相変わらずこの瞬発力にかけては右に出るものはいない


「不二先輩もですか?でも…動物園ですから不二先輩には退屈なのでは……」

何よりも自分のことを気遣ってくれている

不二は嬉しくなって笑顔で続きを述べた

「僕は○○と一緒だったらどこでも楽しいよ。」

駄目押しとばかりに○○の手を両手で包み込むようにしながら極上の笑みを向ける不二

「それに動物と戯れる○○を写真に撮れたらすごく幸せだな。」

「……//////」

こんな不二の口説き文句は○○にとっては日常茶飯事

しかしさすがに照れているのか、頬を桜色に染めて俯いてしまった


「動物園なら俺もだ~い好きだよっ!」

「俺も俺も!行こうぜ!」

「ふむ。たまにはいいかもしれない。5年と7ヶ月ぶりと言ったところか。」


いつの間にか他のメンバーも一緒に行くことになっているらしい

不二が不機嫌極まりないオーラを放出している

しかし○○と過ごす休日が掛かった今、皆は勇気を出して無視に徹した


「薫ちゃん、皆さんも一緒でも大丈夫かな?」

「ふしゅ~…」

こんなことになるんじゃないかと思っていた薫は気苦労感が籠った溜息を一つ

「な~んだ、海堂も一緒なの?」

「薫ちゃんと葉末ちゃんと3人の約束なんです。今夜、葉末ちゃんにも話してみますね。
 きっと大勢になったって言ったら喜んでくれますから。」


(((((((((いや、絶対にそれはない…)))))))))


○○の報告を聞いたときの葉末の反応が手に取るように分かる

葉末に少しだけ申し訳なく思いながらも○○と過ごせる休日に早くも戦闘体制なレギュラー陣なのであった



「何の話っすか?」

ずっとグラウンドを走っていたリョーマは珍しく出遅れていた


























「お弁当よし、水筒よし、あとは忘れ物は…」

ところは海堂家リビング

出かける前に荷物のチェックをしている○○をソファに座りながら見つめる人物が二人


「薫兄さん…僕やっぱり納得できません。」

「ふしゅ~…仕方ねえだろ、今更。」


○○からレギュラー陣も一緒に来ることになったと伝えられたあの日

葉末は全力で反対した

それでも○○の寂しそうな顔を見て結局承諾するしかなかったのだ

葉末は○○にとことん弱いのである

それは葉末に限ったことではなく、海堂家の誰もがそうなのだが


「でもっ!何でよりによって全員なんですか!?」

「……俺に訊くな。」

「僕と○○姉さんの邪魔をするなんて許せない…!!」

「………。」

怒り心頭な葉末に「俺もいるぞ。」とはあえて言わない薫だった



「葉末ちゃん、薫ちゃん、用意できた?」

そんな時、○○がエプロンを取りながら笑顔で二人に訊いてきた

「はい!バッチリです!」

打って変わって満面の笑みで答える葉末に薫はいつもの事ながらも感心した

「あぁ。」

そんな葉末と薫の様子を見た○○は更に笑顔になる

「葉末ちゃんはもう一枚上着を持っていこっか。温かくてもまだ風は冷たいから念のためにね。」

「はい。じゃあ部屋から持ってきます。」

葉末は素直に返事をすると、リビングから出て行った


「荷物はこれで全部か?」

「あ、うん。お弁当が大きくなっちゃったんだけど…」

薫が大きなバスケットの中身を見ると、ぎっしりおかず類が詰め込まれていた

河村が寿司を持ってきてくれるので、ご飯類は作る必要がないといってもさすがに食べ盛りの男が9人もいる

加えて葉末と○○本人を加えると11人にもなってしまうのだ

相当な量のおかずを作るのに大変だったことは薫にも分かる


「……おまえ、これ何時から作ってた?」

「え?えっと……」

言い難そうにする○○の様子から相当朝早かった様子が伺えた薫は心配そうに眉根を寄せた

自分が毎朝のロードワークのために起きてきた時間には○○は既にキッチンで用意をしていたからだ


「あまり無理すんじゃねえ。」

「大丈夫だよ?でもありがとう、薫ちゃん。」

優しく髪を撫でる薫とされるがままに嬉しそうな笑顔を向ける○○

束の間の穏やかな空気がそこにあった


「用意できました!○○姉さん、早く行きましょう!」

「葉末ちゃん。そうだね、早めに出ようか。」

「はい!」

ぴょこん、と○○に飛びついた葉末

実は薫と○○の様子をそっと見ていたのである

(やっぱり僕の最大のライバルは薫兄さんですね…)

しかしこれからは内の敵より外の敵

より警戒心を募らせていく葉末であった














「あっ!○○が来たにゃ~!」

動物園の入り口でいち早く○○を見つけたのは菊丸だった

その声に反応して手塚、大石、乾、河村、不二が振り向いた


「おはようございます。皆さん、お待たせしました。」

春らしい装いの○○に皆は一瞬で目を奪われてしまう

いつもの制服やジャージ姿でもそれは可愛らしいのだが、やはり私服は別格だった


「いや、まだ集合時間には時間がある。気にすることはない。」

手塚は珍しく最初に我に返り、返事をした

「手塚部長、ありがとうございます。」

そんな○○を見つめる顔は普段より格別に優しさを含んでいる


「○○、今日もすごく可愛いね。後で写真を撮らせてくれるかな?」

そんな手塚を押しのけるように現れたのはやはり不二

「おはようございます、不二先輩。えっと…でも私の写真…ですか?」

「うん。その為にカメラ持ってきたんだ。」

不二の手には愛用の年季の入った一眼レフがあった


「○○っ!やっぱスカート似合うね!かっわいいにゃ~♪」

○○が不二に返事をする間もなく横から菊丸に抱きつかれていた

「菊丸先輩、おはようございます。」

「おっはよん♪」

でれっと菊丸が○○の笑顔に至近距離で見惚れていると


「まったく、朝から落ち着きのない方たちですね。」

菊丸が抱きついた反対側から不機嫌MAXな声が聴こえて来た


「お、葉末くんじゃん!」

「今気付いたような言い方しないで下さい。最初からいましたよ。」

鋭い視線を投げかけてくる葉末にさすがの3年生たちも少し気圧された

しかもしっかり○○と手を繋いでいる


「は、葉末ちゃん、皆さんにご挨拶を…ね?」

○○はいつもと違う、なんだかピリピリした様子の葉末に戸惑っていた

厳密には葉末は○○の前だけ徹底して隠していただけだったのだが今は我慢ならなかったようだ

「!はい。皆さん、おはようございます。今日はどうぞ宜しくお願いします。」

((((((相当怒ってるな……))))))


鋭い殺気の籠った怖いくらい笑顔の葉末の挨拶に一部はある人物の笑顔とダブって見えたとかそうでないとか

大石は早くもこれから起こる事態を懸念して胃が痛くなるのを感じていた

「○○、入園券を買っておいたよ。で、こっちは海堂の分。葉末君は小学生だから入場は無料だそうだ。
 これはパンフレット。葉末君、いるかい?」

それでもめげずに入園券を差し出す大石に天晴れ

「わぁ、ありがとうございます!大石先輩。」

「ありがとうございます、大石さん。」

「大石先輩、すみません。代金っす。」

「あぁ。じゃあお釣りを…。それにしても海堂、すごい荷物だな。」

大石は財布を開けながら薫の持っている荷物の多さに驚いていた

「11人分の弁当っすからね。」

「そうか!俺も手伝うよ。重いだろう?」

「大丈夫っす。それよりまだあいつら来てないんすか…」

さすがに先輩に荷物を持たせるわけにはいかないと考えている薫はその場にいない荷物持ちに適した人物を気にした


「桃と越前かい?あいつらはな……」

「…?」

「……という訳なんだ。」

「そうっすか。」

何やら内緒話をする大石と薫

しかし○○は持っていた水筒を持つと乾に申し出られていて気付いていなかった




「全員揃ったので入園しよう。」

手塚の合図に全員が門へと向かって足を進めようとしたのだが…

「え?でも桃ちゃんとリョーマ君がまだ…」

「ああ、あいつらはね。待ちきれなくって先に行ってんの!」

「全く、仕方ない奴等だ…」

心配そうな○○に、菊丸と乾がすかさずに言う

「そうなんですか?」

「そうなんだ。だから僕達も行こう。」

「はい!」

こうして桃城と越前を除くメンバーは動物園の門を潜った

実はこの時、桃城と越前はある任務に就いていたのだが……

それは○○には内緒なのである





「わぁ~パンダだよ、葉末ちゃん。カワイイね!」

「はい!」

入園してすぐに人だかりが出来ていた檻はパンダだった

○○も葉末もパンダをとても気に入った様子でキラキラした瞳で見つめている

そんな二人の様子に頬が緩むレギュラー陣

そこで得意気に前に進み出る人物がいた

「ジャイアントパンダ。学名はアイルロポダ・メラノレウカ。
 名前の由来はネパール語のネガリャー・ポンヤ(竹を食べる物)からきていると言われている。
 分類は脊椎動物門哺乳綱獣亜綱食肉目ジャイアントパンダ科。
 身長は120~150cm。食肉目だが、竹類を好んで食べる。
 竹をつかむのに適した第6指と呼ばれる親指状の突起がある。 単独で行動し、なわばりは持たない。
 中国の四川省、甘粛省、陜西省の一部に生息し、その数は千頭程度といわれている。 」


ノートを広げながら淡々と語る乾に葉末はぽかんとしてしまっていた

パンフレットよりも数段詳しいことを乾がすらすらと述べた所為である

○○は感心したようにほぅ…と息をついた

「さすがですね、乾先輩。」

「そうかな。まあ、どんな動物に関するデータも俺にかかれば大抵は分かるよ。」

感心する瞳を○○に向けられて、乾は気分良さそうに眼鏡をクイと上げた

この日のためにこの動物園にいる動物という動物のデータを調べ尽くした男である


しかしそんな様子を好んで見る人間などこの場には誰一人としていなかった

「○○!あっちにゾウがいるよ!早く行こっ!」

「きゃ!菊丸先輩!」

葉末と繋いでいた反対側の手を取られ、○○は急に駆け出した菊丸に驚いてしまった


「……菊丸さん、急に走るのはやめてくださいっ!」

○○と手を繋いでいた葉末まで結果的に引っ張られることになってしまい、葉末は少し息の上がった状態で抗議した

「にゃはは~…メンゴメンゴ、葉末君!」

「はふぅ~…」

反省する気のない菊丸の謝罪に、葉末は呆れたように溜息をついた

「にゃ!葉末君と海堂って溜息の吐き方までくりそつ~!!」

「なるほど…いいデータが取れた。」

「データって僕のデータですか!?」

「そうだけど。」

「そんなものとらないで下さい!気味悪いですっ!」

「…悪用はしないよ、多分ね。」

「!!!!」

逆光と妖しい笑いの乾にグッと息を詰める葉末

しかしそんな攻防は長くは続かなかった

「あれ?○○がいない!!」

「○○姉さん!?」

いつの間にか○○の姿が見えないのである

菊丸、乾、葉末が慌てて○○の姿を探すと、○○はもうひとつ先の猿を見ているようだった

見れば、○○の両サイドにはさっきまでいなかったはずの桃城と越前がいるではないか

油断大敵

現状にはまさにその言葉がピッタリである


「○○姉さん!」

「あ、葉末ちゃん。お猿さんがいっぱいいるのよ。ここなら見えるかな?」

葉末が○○に駆け寄っていくと、○○はすぐに葉末を猿山の様子が良く見える位置に誘導するのだった

「わ、本当ですね!」

葉末は嬉しくなって自然と笑顔になる


その様子を見ていた桃城と越前は○○を奪われてしまい、不貞腐れていた

「ちぇっ、なんだよ。葉末にはかなわねーな、かなわねーよ。」

「俺達、やっと○○先輩に会えたってのに…」

そんなふたりの様子に○○は異変に気がついた

「あれ?不二先輩と河村先輩は?」

「!!!…トイレじゃない?」

「そう?」

一瞬だけ動揺を見せた越前だったが、なんとか誤魔化すことに成功したようだった




「わぁ…!」

「すごい…!」

動物ふれあい広場にやってきた一行

○○と葉末は今までにないくらい瞳を輝かせていた

そこはヤギや子ブタ、ウサギといった動物達がたくさんいて、触ることができる場所

「葉末ちゃん、赤ちゃんウサギ抱っこしようよ!」

「はい!」

早速、ふれあい広場に入った○○と葉末はウサギを驚かせない様、しゃがみながらウサギに接近する

「わ、カワイイ…」

やがて○○は小さな白ウサギを抱っこすることに成功した

その時…

パシャ!


「えっ!?」

「○○、いいね。こっちに目線ちょうだい?」

「不二先輩…!」

いつの間に戻ってきたのか、一眼レフを構えてシャッターを切る不二の姿がそこにあった

ここぞとばかりに○○の写真を撮っている


「笑って?あ……葉末君。」

突然ファインダーの中に現れた葉末に不二は一旦手を止めた

「僕も一緒に撮ってくれますか?不二さん。」

「……もちろんだよ、葉末君。」

バチバチバチ……

激しい火花の音が聴こえて来そうな睨み合い

しかし○○は全く気付いておらず、自分が抱いていたウサギを葉末に抱かせて笑顔を見せていた

不二はその自然な笑顔に免じて葉末も一緒に写真に収めることにしたようだった


「薫ちゃん。」

「!○○…」

○○は入り口に立ったままの薫に声をかけた

「入らないの?」

「いや、俺は……」

「ウサギかわいいよ?一緒に抱っこしよ?」

本当なら薫も動物好きなのでこういった場所は好きな筈だ

しかし入らないのはきっと他のメンバーの視線を気にしているのだろうということを○○も薄々気が付いていた


桃城や越前は子ブタを追い掛け回していて、不二は○○の写真撮影に忙しい

手塚、大石、河村は外から○○の様子を眺めているだけだった

ふと、気付けばさっきまでいたはずの乾と菊丸がいない


「あれ?乾先輩と菊丸先輩は?」

「!!…○○、あそこに珍しい色のやつがいるぞ。」

「えっ?どこ!?薫ちゃん。」

薫は○○の注意を先輩の話から逸らそうとしただけだったのだが、結局中に入ってそのウサギを抱きかかえたのだった

「ホントだ…珍しい色。かわいい!」

薫の抱えているウサギを横からなでなでする○○の笑顔を見て、薫も自然と笑顔になっていた

その写真は後日、不二によって公開され、薫は散々冷やかされる破目になる



その後、ゴリラやキリン、フラミンゴなどを見ていると時間はあっという間にお昼の時間帯になっていた

「1時か。そろそろ昼食にしよう。」

手塚の一声で、昼食を取ることにした一行

「どこで食べましょうか?」

「こっちだ。着いて来てくれ。」

笑顔で訊いてくる○○に手塚はそう言って先頭を歩き出したのだった









「わぁ…!すごく綺麗……!!」

案内された先

そこは満開の桜の木が植えられている広場だった

お昼時ということもあり、辺りは家族連れなどで埋め尽くされてしまっている

しかし先頭を歩く手塚は迷うことなくまっすぐある場所へ向かっていた


「ここだ。」

「えっ?」

一番大きな満開の桜の木の下で手塚は○○を振り返った

そこには11人が余裕で座れそうなスペースを確保したシートが敷かれていて、菊丸と桃城が待っていた

「○○~!待ってたよん♪」

ガバッと待ちわびたという様に嬉しさを全身で表した菊丸が○○に飛びつく

「菊丸先輩…これはいったい?」

「場所取りしてたんだよ!ま、30分交代で全員が入れ替わり立ち代りだけどな。」

「桃ちゃん…じゃあいつも誰かがいないような気がしてたのはこのためだったの?」

「おう!桜がプレゼントなんてなかなか洒落てるだろ?」

二カッと笑いながら得意気な桃城

「○○には内緒にしていたんだ。驚かせたくてね。」

「クスッ。僕達から○○へのプレゼント。」

「大石先輩、不二先輩…」

「せっかくだから花見もいいかと思ってな。」

「気に入ってくれたかな?」

「手塚部長、乾先輩…。」

気がつけば全員が○○を囲んで笑顔で見つめていた


「はい!もちろんです!皆さん、ありがとうございますっ!」

○○の満面の笑顔

本当に嬉しそうな笑顔に全員の心が温かくなって行くのだった



「うっわ~!おいしそう~!!」

「クスッ、本当だね。」

「豪華だな…」

「マジうまそう~!!○○、早く食おーぜ!!」


シートの上に広げられた○○お手製のおかずの数々はどれも美味しそうで

視覚に嗅覚も合わさって、空腹を多いに刺激した


「はい。では、皆さんどうぞ召し上がってください。」

皿と箸を配り終えると、○○は笑顔でGOサインを出した

その途端

「「「いっただっきま~す!!」」」

待ちきれないといった風に桃城、菊丸、越前の箸がすぐにおかずに伸びていった

他の者も挨拶を済ますとすぐにおかずに手を伸ばした


「○○は本当に料理が上手だな。」

「ありがとうございます、大石先輩。」

厚焼き卵を頬張りながら、感心したように大石が言うと、それに続く者がいた

「うん。いいお嫁さんになれそうだね。もちろん僕の。」

「えっ?//////」

僕の、を強調する辺りが抜け目がない不二であろう

「何言ってんすか不二先輩。○○先輩は俺が貰うんで。」

「オチビこそ何言ってんの~!?○○は俺のお嫁さんになるんだってば~!!」

「英二先輩こそ!○○は俺が貰いますよ!!」

「○○が俺に嫁ぐ確率…99.7%。」

「クスッ、乾が計算を間違えるなんて珍しいこともあるんだね?」

「○○姉さんは誰のところにもお嫁になんか行かせません!」

またまた始まった言い合いは簡単には止められない


「皆さん、せっかくのお花見なんですから落ち着いて食べましょう?」

―――――――――――――――○○以外には


手塚は自分よりも簡単に場を収める○○に感心していた






「○○、これ。」

「はい?」

○○が見ると、ちらし寿司を皿に取り分けて差し出している河村の姿があった

「あ、河村先輩、取り分けるなら私がやりますよ。」

「いいよいいよ。これくらい俺がやるからさ。○○はこれ食べてよ。」

「そうですか?じゃあ…頂きます。」

河村の笑顔に、○○も笑顔でちらし寿司を受け取ったのだった


「?…手塚部長。おなか空いていないんですか?」

「いや…」

○○はちらし寿司を口に運んだ後、食が進んでいない様子の手塚に声をかけた

「もしかしてお気に召しませんか?」

「!!その…きんぴらを食べたいんだが…」

「あ。」

きんぴらは手塚からは遠い位置になっていて、箸の届かないところにあったのだった

しかもおかずには引っ切り無しに他から箸が伸びている状況なので、礼儀正しい手塚は二人箸になることを嫌ったのだろう


「すみません、気がつかなくて。今お取りしますね。」

○○はそう言うと、甲斐甲斐しく手塚の分を皿に取り分けるのだった

きんぴらだけでなく、周辺のおかずも満遍なく綺麗に取り分けて○○は手塚に差し出した

「手塚部長、どうぞ。」

「あぁ、すまない。」

幾分か頬を染めて皿を受け取る手塚

しかしそこで痛い視線を浴びていることに気がつく


「手塚だけずるい~!」

「○○先輩、俺にもそれ取ってください。」

「だ~!ずりーぞ越前!!」

「クスッ、手塚…それは新手の作戦なの?」

「侮れないな、手塚。」

「………。」

押し黙る手塚は黙々とおかずを口に運ぶしかなかった




「○○、茶もらえるか?」

「うん。ちょっと待ってね、薫ちゃん。」

とぽとぽと水筒から紙コップにお茶を注いで、○○は薫に差し出した

「はい。熱いから気をつけてね。」

「悪いな。」

「ううん。葉末ちゃんも飲む?」

「はい。」

「あ!葉末ちゃん、ちょっとこっち向いて?」

「なんですか?」

「うふふ…ご飯粒がついてるよ。」

「?……あっ!」

○○は葉末の頬っぺたについていたご飯粒を取ると、そのまま食べてしまったのだった

そして紙ナプキンを取り出して、葉末の口周りを優しく拭くのだった

「はい、きれいになったよ。」

「すみません、○○姉さん//////」


ぽーっと赤くなる葉末の様子にレギュラー陣はもちろん面白くない

それに何だか葉末を挟んで座っている薫と○○が双子ではなく子連れの夫婦に見えてくるから更に面白くない


「クスッ…海堂と○○って双子なのに本当に似てないよね。」

「?不二先輩、突然どうしたんですか?」

「いや、何となく…ね。」

その瞬間、薫の背筋には今にも凍りつきそうな悪寒が走ったという





そして気付けばあっという間におかずは空になっていた

○○は片付けをした後、食後のお茶をみんなに配ってホッと一息ついた


優しいそよ風が吹いて、それに桜の花びらが乗って舞い降りてくる




トサッ

突然薫の肩に掛かった重み

「○○……?」

薫が顔を覗き込むと、○○は瞼を閉じていた

「Zzz…」

小さな寝息も聴こえている


「○○、寝ちゃったの?」

菊丸が○○の顔を覗き込んでみると○○はやはり長い睫を伏せて眠っていた

「ふしゅ~……こいつ今朝、俺より早く起きて弁当作ってたんすよ。」

薫はそう言いながら○○の髪をそっと撫でた

「えっ!?だって海堂の起床時間って…」

「朝の5時だ。それより早いとなると…○○の性格からして4時起きだった確率93%。」

「4時だって!?」

焦る河村、分析する乾、叫ぶ大石

それ以外にも全員が驚いたように目を見開いていた


「○○、僕達のために頑張ってくれたんだね。」

「うん。あれだけたくさん作るのはかなり大変だったはずだよ。」

「そっすね。でもどれもめちゃめちゃうまかったっすよ!」

「そうだな。しばらくここにいようか?手塚。」

「あぁ。少しの間だが…寝かせてやろう。」


こうして皆はしばらく桜ではなく、眠り姫の寝顔を愛でることにしたのだった


「葉末。俺の上着を○○にかけてやってくれ。」

「はい。このままじゃ○○姉さん、風邪ひいてしまいますよね。」


葉末がそっと薫のジャケットを○○にかけた時だった


「ん…薫ちゃん…」

(((((((((!!!!!!!!)))))))))


○○が発した、たった一言の寝言の所為で

薫は1週間ほど部活でも家でも理不尽な仕打ちを受ける破目になったのはこれで何度目かは分からない







FIN







+++++++++++++++++++++++++++++++++
Sweet Azalea 40萬打御礼フリードリームです。

ヒロインの設定は当サイトの逆ハー連載のヒロインである海堂薫の双子の妹です。
季節的にお花見をテーマに書いてみました。
騒がしいお花見ですが、こんなのもたまにはいいかなと思います。

この度はお持ち帰り頂きありがとうございます。
これからも何卒宜しくお願い致します。

2005/4/4
Sweet Azalea  蒼海さつき 拝

Copyright (C) 2005 Satsuki Aomi All rights reserved.








○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●




ここのサイト様は最高です!!本当にvv

私が、夢小説を書き始めたキッカケでもあります。





© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: