【カラーガード大好き】マイレージジャンキー 時々 「鉄」

【カラーガード大好き】マイレージジャンキー 時々 「鉄」

2006/01/04
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前回の日記にちょっとディープなコメントを頂戴いたしました。

戦争は「悪いこと」に決まっています。たくさんの人が死ぬし、財産が破壊されます。ろくなもんじゃない。戦争が無い方が良いに決まってます。幸いにして、日本人は60年間殆ど戦争に無縁でした。

「日本は戦争と無縁」じゃありませんよ。ベトナムにせよ湾岸戦争にせよイラク戦争にせよ、米軍は日本の基地から出撃しました。日本に用意してあった兵器や燃料を使って他の国を攻めたのです。攻められた側から日本がどのように見えるかは忘れてはならない。また、アメリカから見て日米同盟がいかに重要かがこの点からも分かりますね。アメリカは日本無くして東半球で戦争を行いのは難しいのです。これは余談ですけど。

では、戦争はどのようにして起きるのか…。起こさないためにはどのような措置を採れば良いのか…。

短期的には戦力の均衡を作ることでございますね。戦力の不均衡は割に簡単に戦争を誘発してしまいます。戦力の均衡を保ち、お互いに開示する(ある程度開示しないと意味がありません、大和級は存在自体を秘密にしたので戦争抑止には無意味になってしまいました)。戦争に訴えれば自国も手ひどい被害を受けることが分かる、だから、軍事力の行使に躊躇う。

このような「軍事力があるので戦争が起きない」という状態を「抑止が効いている」と表現することがあります。軍事力のことを「抑止力」と表現することもあります。

この極端な例が冷戦時代のMAD(Mutual Assured Destruction / 相互確証破壊戦略)であります。米ソのどちらかが先に核戦争に訴えても、やられた方が確実に反撃し、両陣営とも必ず破滅してしまう状態(あるいはそのような状態を作り出す戦略)のことです。

冷戦時代の抑止力に求められるのは「相手側の核兵器による第一撃に生き残り確実に反撃する能力」でした。これに最もふさわしかったのが、このシリーズの最初の方でご紹介したポラリスミサイルのような潜水艦搭載戦略ミサイルです。深海をうろつくミサイル原潜を確実に全部しとめるのは非常に難しかったと言われています。

但し、このような相互確証破壊を確保するためには(TMD関係で再び注目を浴びたABM制限条約などもMADを維持するためのものでした)、対立する陣営が、お互いの攻撃行動を完全にモニターしなければなりません。冷戦時代には米ソは衛星からスパイからモニター施設からを総動員してお互いの弾道ミサイルの発射を相互に監視していました。



冷戦期はこの抑止が効いていたので、先進国同士の全面戦争は発生しませんでした。また、現在では、核兵器を使用した国はアメリカが確実に核攻撃を行うと言明しているので、高いレベルの軍事力行使は行いにくい状態にあります。

例えば、お隣の将軍様の国は報復が無ければ軍事力を行使することを躊躇いそうもないですね。しかし、普通の感覚ならば、我が国に対して軍事力を行使は出来ない。日本に手を出せば、アメリカがお得意のトマホーク(短期間に三千発くらい極東に持ってこられるみたいです)のつるべ打ちを始めるに決まっているからです。

これは、かの国がまともな判断をできることが前提です。民主主義国家であれば、無謀な軍事的な冒険をしようとする指導者に抑止が効きます。次の選挙で落とされると思えば戦争には訴えられない。
ブッシュがイラクに手を出すことは通っても、ロシアと全面核戦争を始めるのは通らないでしょう。

ところが将軍様の国には民主主義が無いし、指導者が無茶な判断をしても通ってしまう可能性がある。民主化と民主主義を担保する報道の自由は、戦争抑止のための重要な要素であると思っています。

第一次世界大戦が始まった際は民衆は戦争を支持したではないか、と思った読者の方。あなたは鋭い。なんで、第一次大戦を民衆は支持したのでしょうか。被害の大きさを全く理解していなかったからです。開戦時は数週間で戦争は終わると思われていましたが、実際には4年の戦争となり1000万単位の死傷者を出すことになりました。戦争が終わった後には、勝者も敗者もボロボロになってしまいました(アメリカと日本を除いて)。ヨーロッパは戦争反対一色になりました。

でも、第二次大戦が20年後に発生したではないか、と思ったあなた。鋭いです。皆が戦争反対だったら戦争は起きないのか?。むしろ、戦争を誘発してしまうというのが、第二次大戦の反省なのでした。

1933年にヒトラーが政権を掌握しました。ヒトラーはベルサイユ条約を踏みにじり次々に軍事力を再建し、近隣諸国の侵略を開始します。しかし、ヒトラー政権はこの時点では非常に脆弱でした。ベルサイユ条約違反を口実に英仏が軍事力を行使すれば(あるいは行使するそぶりを見せただけで)、ヒトラー政権は瓦解した可能性が高い。

ところが、第一次大戦後の平和主義(パシフィズムと言います)が蔓延する英仏は軍事力行使だなんでトンでもないという世論です。チャーチルなんて戦争屋が政権を執るなんで想像も出来ない状態でした。ヒトラーはここに付けこみます。空軍再建宣言・陸軍戦力制限の無視・チェコ解体(ミュンヘン会談)…。

ここまで来ても英仏は軍事力を行使できなかった訳です。英仏が事態を放置するうちに、第三帝国は着々と軍事力を強化し、気が付くと手がつけられない状態になってしまいます。早い段階で英仏が第三帝国を軍事力をもって恫喝すれば、ヒトラーの跳梁跋扈は恐らくは抑えられたと思われます。

これをチャーチルは著書の中で「第二次大戦は不必要な戦争であった」と表現している訳です。つまり、小さな戦争で大きな戦争を防ぐということが出来なかった訳です。



今日的にはカビの生えた議論にも聞こえますが、米英ではこの教訓はどうも生きているようです。ヒトラーのチェコ解体を許したミュンヘン会談は、今でも、手痛い失敗として英米では認識されているようです。イラクはさておき、先の湾岸戦争の時なども、この反省を活かしていたと想像しています。

随分長くなってしまいました。このお話を始めると延々と続いてしまうので、今回はここで切ります。次回は20世紀後半から始まった"緊張度の低い紛争"についてご説明させて頂きます。いつになるか分かりませんけど…。

本題に入れませんでした。ダイヤモンド・ヘッドのご紹介文だけ掲げさせていただきます。観光地ではありますが、ダイヤモンド・ヘッドはもともとは軍事要塞でございました。いらした方はもうご存知の通りですが、要塞ののぞき窓を潜って山頂に行かねばならない造りになっています。

写真が一枚も無いのは寂しすぎるので、山頂からの眺めを一枚だけ掲げます。

日記


【資料】軍事上の歴史(パンフレットより)

 1904年にダイヤモンド・ヘッドは連邦政府に買い上げられて限定された軍用地に指定されました。1908年には大砲の砲台とカパフル・トンネルとして知られているルーガー砦から火口北壁をつらぬいて火口内に通じるトンネルの建設によりダイヤモンド・ヘッドの要塞化がはじめられたのでした。
 全部で五箇所の沿岸防御用の大砲を設置する砲台がダイヤモンド・ヘッド噴火口に建設されました。それらは1910年に北側の外壁に設けられたハーロー(Harlow)砲台、1913年に火口の東側の壁をつらぬいて造られたドッジ(Dodge)砲台とヒューリングス(Hulings)砲台、1916年、火口内の地下深くに造られたバークハイム(Birkhimer)砲台、及び1943年に火口南壁をつらぬいて作られた407砲台です。
 ダイヤモンド・ヘッド砲撃統制所は1908年から1909年にわたり山頂に建設され、そこには数箇所にある砲台からの大砲射撃を指揮するための器械や計画室を内載しています。
 この観察所から監視人が射撃目標を三角測量で測定して、ワイキキにあるデルーシー砦のランドルフ及びダドレー砲台、火口外壁にあるルーガー砦のハーロー砲台からの砲撃を指揮できるのです。四階層からなる攻撃統制所はその外部を砕石を埋め込んだコンクリートでカムフラージュされています。各階にある細長い窓から海側を望めて海と空からの敵襲にそなえることができるようになっています。砲撃統制所の四階各層と山頂の間はらせん階段と梯子で連結されています。
 1915年頃、長距離砲が火口外壁斜面に設置されたことにより沿岸防衛が更に強化されました。ダイヤモンド・ヘッドにはオアフ島を外部からの攻撃から守るための準備がされましたが、戦時中、一度もここから砲撃することはありませんでした。
 ダイヤモンド・ヘッドの軍事施設は”ルーガー砦歴史地区”の一部です。
 これ以上の情報を知りたい方はハワイ州土地・自然資源局州公園部に問い合わせてください。

【昨日の成果】
通勤定期(JCB) 240×1.5倍=360マイル(NH)
JR北海道(JCB) 60×1.5倍=90マイル(NH)





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Last updated  2006/01/04 12:17:08 AM
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