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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイトマイヤーズ・カクテル先週、高濃度ビタミンC療法についてお伝えした。高濃度ビタミンC療法は癌治療三大治療(手術・化学・放射線療法)の補助療法としてエビデンスのある点滴療法であることをお伝えした。今週はマイヤーズ・カクテルという点滴効果のエビデンスもある点滴についてお伝えする。アメリカの開業医Dr.マーヤーズが考案した点滴で現在日本で購入することが出来るビタミンおよびミネラル類を組み合わせた点滴であり、上記のような病気に適応がある。まずは自分からをモットーにしている私はまず自分に点滴をする機会を伺っていた。毎年、2月にはいるとアレルギー性鼻炎が始まりタリオンおよびゼスランを欠かせない。マイヤーズ・カクテルがアレルギー性鼻炎に効果があることを知り、自分で試すことにした。効果の程は後日報告する。先日、耳鳴を主訴に患者さんが来院された。神経学的所見では全く異常なく耳鳴以外に何も症状がなかった。コウノメソッドの耳鳴りセット(カルナクリンおよび五苓散)に加えて、マイヤーズカクテルを点滴してみた。1週間後に再診する予定なので、効果については後日報告する。症例報告知り合いからの紹介である。物忘れ、易興奮、妄想、うつ状態、生真面目、甘い物好き、腕組みからレビースコア:3.5 ピックスコア:4。 中核症状は改訂長谷川式:18/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。頭部CT: 1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮中等度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞多数、境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上からレビー・ピック複合(LPC)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)/脳血管性認知症と診断して治療を開始した。ピック症状にグラマリール25mg開始、認知機能低下にレミニール4mgを開始、フェルガード100M2包を勧めた。脳血管性認知症にプロルベインDR6Capを勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:18/30(+-)、近時記憶3/6(+-)と不変だったが、上記周辺症状はいらいら偶に、腕組み以外消失していた。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:20/30(+2)、近時記憶4/6(+1)。とやや回復、上記周辺症状はすべて消失した。ケアマネからの紹介である。物忘れ、幻視、幻聴、夜間大声、せん妄、易転倒、振戦、小刻み歩行、歯車様固縮高度、尿便失禁、嚥下困難、病識欠如、語義失語からレビースコア:13 ピックスコア:2。 中核症状は時計描画テスト:不可、改訂長谷川式:不可であった。前医からドネペジル5mgのため四肢拘縮高度で身体も大きく右に傾いており閉じこめ症候群(locked-in syndrome)を呈していた。頭部CT:頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮中等度、4.海馬萎縮中等度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞数カ所。以上からレビー小体型認知症(DLB)と診断して治療を開始した。四肢拘縮の原因となっていたドネペジル5mgを中止、8日目(第1選択薬を変更する場合は7日間中止期間を設ける)からリバスタッチパッチ4.5mgを開始、NewフェルガードLA4錠を勧めた。易転倒(振戦/小刻み歩行/歯車様固縮高度)にドパコール100mg、グルタチオン2800mg/VitC2g/VitB12=1Ap/ソルコセリル1Apを開始した。1か月後、中核症状は改訂改訂長谷川式:3/30(+3)、近時記憶0/6(+-)とやや改善、上記周辺症状は幻視偶に以外は消失した。locked-in状態から解放され、発語増加した。身体の傾きは改善したものの、歯車様固縮中等度が続いており、ドパコール100mgから300mgへ増量、グルタチオン2800mgからグルタチオン3200mgへ増量した。ケアマネからの紹介である。物忘れ、薬物過敏、意識消失発作、介護拒否、収集癖、甘い物好きからレビースコア:3 ピックスコア:1。 中核症状は時計描写テスト: 8/9、改訂長谷川式:17.5/30、近時記憶3/6で軽度低下していた。頭部CT:頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮なし、5.両側基底核ラクナ脳梗塞数カ所、6.その他:両側淡蒼球石灰化。以上からレビー小体型認知症(ピック感あり)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)/多発性脳梗塞と診断して治療を開始した。認知機能低下にドネペジル1mg(皮膚が弱くリバスタッチパッチ回避)を開始、フェルガード100M2包を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+7.5)、近時記憶5/6(+2)と一発改善、上記周辺症状はすべて消失した。15か月後、中核症状は改訂長谷川式:24/30(-1)、近時記憶4/6(-1) と維持され、周辺症状もなく、独居生活を続けている。ケアマネからの紹介である。物忘れ、幻視(入院中のみ)、常同行動(足とんとん)、膝擦り、使用行動、甘い物好き、収集癖からレビースコア2.5、ピックスコア5。中核症状は改訂長谷川式:16.5/30、近時記憶2/6途中等度低下していたが、時計描写テスト: 9/9であり、生活力は維持できており、独居生活を続けていた 。 いらいらはなく、リバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M2包を勧めた。24日後には上記周辺症状は改善しており、中核症状の著明改善、一発改善である。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮軽度、5.脳梗塞なし、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上からレビー・ピック複合(LPC)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)と診断して治療を開始した。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mg開始、フェルガード100M2包を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:23/30(+6.5)、近時記憶3/6(+1)と一発改善、上記周辺症状はすべて消失した。6か月後、中核症状が改訂長谷川式:19/30(-3.5)、近時記憶2/6(-1)と低下してきたためリバスタッチパッチ4.5mgから9mgへ増量した。15か月後、中核症状は改訂長谷川式:20.5/30(+1.5)、近時記憶3/6(+1) と維持され、周辺症状もなく、独居生活を続けている。 知り合いからの紹介である。物忘れ、アパシー(無気力、無関心)、語義失語、甘い物好きからレビースコア:0 ピックスコア:4。 中核症状は改訂長谷川式:20/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。頭部CT: 1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮中等度、3.側頭葉萎縮中等度、4.海馬萎縮なし、5.両側基底核ラクナ脳梗塞多数、境界領域梗塞、左頭頂葉陳旧性梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から前頭側頭葉変性症(意味性認知症SD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)/脳血管性認知症と診断して治療を開始した。認知機能低下にレミニール4mgを開始、NewフェルガードLA粒4錠を勧めた。脳血管性認知症/閉塞性動脈硬化症にプレタール100mg、サアミオン10mgを開始、プロルベインDR6Capを勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+2)、近時記憶4/6(+2)と改善が、上記周辺症状はすべて消失していた。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:23/30(+1)、近時記憶4/6(+-)と更に改善、上記周辺症状はすべて消失したままである。日本秘湯を守る会日本秘湯を守る会が「日本の秘湯」という本を出している。源泉掛け流しが原則であり、ひなびた温泉が多い。湯治客が好んでいくような温泉が多く、楽天やじゃらんで上位ランキングを占めるような温泉はほとんどない。今までに「日本の秘湯」という本に納められている温泉の20カ所程度に泊まったが、どれも味があってなかなか良かった。これからも時間を見つけて温泉巡りをしたいと思う。
Feb 8, 2015
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト往診でクロイツフェルトヤコブ病と診断できた症例クロイツフェルトヤコブ病CJDはドクターコウノのスライドで見たことはあるものの、実際の患者さんを見たことはなかった。今回、当クリニック認知症外来を受診され、在宅診療をしてきた患者がCJDと確定診断されたので報告する。H25/12上旬から亜急性に進行する認知機能低下があり、H26/1/6大学病院神経内科入院となった。頭部MRI:異常なし。H26/1/15頭部MRI:異常なし。髄液検査:蛋白上昇以外異常なし。希望により退院され、在宅療養されていた。H26/1/24当クリニック認知症外来受診された。せん妄のため閉眼しており、後屈、振戦。歯車様固縮を伴っていた。御家族から問診している間に、GCS(グルタチオン600mg/シチコリン1000mg/ソルコセリル4mL/生食100mL)点滴(15分間)を施行した。GCS点滴直後からやや覚醒して、開眼したため垂直性眼球運動麻痺を調べることが出来た。進行性核上性麻痺と診断して、GCS点滴を訪問点滴で継続することにした。通院は困難であると判断して、定期往診することとした。意識障害が改善せず予定より早くH26/1/31初回往診した。亜急性に意識障害が進行しており、音に対して敏感で全身ピクツキが診られたことからクロイツフェルトヤコブ病と仮診断した。H26/2/2大学病院神経内科にCJDの疑いのため脳波(PSD確認)および髄液検査14-3-3蛋白/Tau蛋白/NSEを検査依頼、1/6-1/15入院中の頭部MRIおよび髄液検査結果について診療情報提供を依頼した。H26/2/3診療情報提供書を受け取った。頭部MRI上CJDを疑う所見はないこと、脳波は提案したが家族が希望されず行っていないこと、髄液検査14-3-3蛋白/Tau蛋白/NSE家族は行っていないとう返事だった。H26/2/5定期往診時、家族に大学病院からの診療情報提供書を渡し、入院して追加検査が必要であることを説明したが家族が入院を希望されなかった。H26/2/12呼吸不全のため大学病院に救急搬送となった。脳MRI:視床高信号、脳波:PSDを認めて、クロイツフェルトヤコブ病と確定診断された。クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の感染対策について調べてみると、高感染性:脳、脊髄、眼。低感染性:脊髄液、腎、肝、肺、リンパ組織、脾、胎盤。感染性なし:血液、尿、便、喀痰、唾液、鼻粘液、涙、汗、母乳、精子、脂肪組織副腎、歯肉、心筋、消化管、末梢神経、前立腺、睾丸、筋肉、甲状腺。ということで在宅診療は問題ないとほっとした次第である。GCS(グルタチオン600mg/シチコリン1000mg/ソルコセリル4mL/生食100mL)点滴の有効性を示す4例報告ケアマネからの紹介である。国立T医療センター神経内科でアルツハイマー型認知症および歩行障害(パーキンソニズムの疑い)と診断され、アリセプト5mgおよびマドパー1錠が処方されていた。診療情報提供書には「心筋交感神経シンチ(123I-MIBG)で正常な心筋集積が見られたからパーキンソン病PDやレビー小体型認知症DLBが否定された」と記載されていたが、レビースコア9点で明らかにDLBであった。高額な画像診断に頼りすぎで間違った診断して、間違った治療をしている典型例だった。問診、臨床症状、神経学的所見でほとんどが診断できる。画像診断は診断が間違っていないことを確かめているに過ぎない。パーキンソニズムを伴うレビー小体型認知症にアリセプト5mgは「禁じ手」であり直ちに中止、アリセプト中止後7日目からからリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M2包を勧めた。せん妄にはサアミオンおよびシチコリン1000mg、抗パ剤はDLBに対する第3選択であるマドパーから第1選択であるネオドパストン(メネシット)へ変更、グルタチオン600mgも併用した。。せん妄にサアミオンおよびシチコリン1000mg、幻視および幻聴に抑肝散、夜間不眠にベンザリン/ロゼレムとした。GCS(グルタチオン600mg/シチコリン1000mg/ソルコセリル4mL/生食100mL)点滴15分後には覚醒して左への傾きが改善した。1週間分の点滴を持ち帰り、隔日で訪問点滴を訪問看護ステーションに御願いした。札幌に住む長男がインターネット検索をして当クリニックを受診された。N日赤神経内科からアリセプト3mgおよびマドパー2錠が処方されていた。アリセプト服用後、歩行困難が出現し、怒りっぽくなり、薬の副作用ではないかと心配になり来院された。アリセプト3mgから5mgに増量された際に症状が顕著になり、家族が減らすように頼んで3mgに戻したという。パーキンソニズムを伴うレビー小体型認知症にアリセプト3-5mgは「禁じ手」であり直ちに中止、アリセプト中止後7日目からリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M2包を勧めた。Binswanger型脳梗塞にはプロルベインDR4Capを勧めた。抗パ剤はDLBの第3選択であるマドパーからDLBに相性の良いネオドパストン(メネシット)へ変更、グルタチオン600mgも併用した。せん妄にサアミオンおよびシチコリン1000mgとした。GCS(グルタチオン/シチコリン/ソルコセリル)点滴15分後には覚醒して手が振れ、身体が揺れないようになった。この方の場合は、投薬変更で歩行改善が見込まれるため訪問点滴は依頼しなかった。デイサービスからの紹介である。M市民病院神経内科で幻視とパーキンソニズムがあるにも関わらずアルツハイマー型認知症と診断され、アリセプト5mgおよびリスパダール1mg、いわゆる「パニック処方」がされていた。開業医の先生がその処方を継承しており、おかしいと感じたデイサービスの提言で紹介されたという経緯である。抑肝散陳皮半夏7.5gが処方されていたが、アリセプト5mgのため幻視、幻聴、妄想、暴言、暴力という周辺症状の中で独居生活を続けていた。アリセプト5mgとリスパダール1mgではパーキンソニズムが悪化するのは当たり前で、転倒して右上腕骨折していた。直ちにアリセプト5mgおよびリスパダール1mg/セパソン2mgを中止、フェルガード100M2包を勧め、穏やかになり次第、リバスタッチパッチ4.5mgを開始する予定である。幻視/幻聴には抑肝散陳皮半夏7.5gを継続、妄想にはセレネース0.2mg、鬱状態にはパキシル20mgからパキシル10mg/ジェイゾロフト25mgへ危険分散した。パーキンソニズムにはネオドパストンを開始して、グルタチオン600mgを併用した。せん妄にシチコリン1000mgを開始した。この方の場合も、投薬変更で歩行改善が見込まれるため訪問点滴は依頼しなかった。5年5ヶ月通院されている方である。開業医の先生が定期往診されており、アルツハイマー型認知症としてアリセプト5mgが処方されていた。途中で幻視、幻聴、せん妄、鬱状態が加わり、レビー化したためアリセプト1.67mg~リバスタッチパッチ4.5mgへ移行し、ジェイゾロフトを追加した。意識消失発作に対しては毎月~毎週シチコリン1000mg静注を訪問看護に依頼していた。最近では語義失語も加わり、意味性認知症SD化していた。近々、グループホームへ入居予定であるということで外来受診された際に、せん妄が酷く後屈している状態であった。GCS(グルタチオン/シチコリン/ソルコセリル)点滴15分後には覚醒して後屈がなくなった。御家族が待ち望んでいた施設入所だが、毎週シチコリン1000mg静注を止めてしまったらどうなってしまうのか心配である。暫く、外来通院していただくつもりであるが、グループホームでは訪問看護も利用できないため嘱託医が隔週シチコリン1000mg静注するしか方法はない。このような時、施設入所によるジレンマを感じずにはいられない。菫ホームクリニック 小田 行一郎先生からのメール2月1日品川ホテルパシフィックで行われた認知症治療研究会発足記念講演会でお会いした菫ホームクリニック 小田 行一郎先生から嬉しいメールが届いた。こんなメールを頂くと、「認知症になったら真っ先に読む本」を書いて良かった、「認知症ブログ」を頑張って書いていて良かったと思う。<以下引用>長久手南クリニック 岩田 明 先生 御机下突然のメールで申し訳ございません。土曜日の河野先生の講演の後ご挨拶させていただきました,菫ホームクリニックの小田 と申します。以前より,先生のブログを拝見して是非ご連絡したいと思っておりました。連絡先がわかりませんでしたが,今回名刺を頂戴してはじめてメールさせていただきます。私も元は消化器外科医でしたが,訪問診療を行うようになってから認知症の治療に困っておりました。ところが,河野先生のブログに行き当たり,まさに前の前の世界が開けたようでした。昨年6月の東京での講演後,実践医登録させていただきました。先生のブログは昨年より拝見しておりますが,元々先生は脳外出身で,河野先生とはまたひと味違った知見を提供してくださり,毎週拝見しております。先生の著書の認知症になったら真っ先に読む本は,大変わかりやすく20部保護購入し,施設スタッフ,患者ご家族に配布させていただきました。まだまだ,実践医として経験も少なく未熟ですが今後ともよろしくお願い致します。菫ホームクリニック小田 行一郎 拝<引用終わり>
Feb 9, 2014
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト12月になっても暖かい今日もテニス日和。12月になっても上下半袖の人もいるぐらい暖かい。今日はサーブが入ってストロークもまずまずで2試合勝ちました。やっぱ上手く行くと嬉しいものですね。娘もテニスを再開しました。部活でテナーサックスを担当しており、テナーサックスを習っています。学校以外にも塾にも通っています。私の中学時代(東海中学)は部活もせず出来るだけ早く帰宅して、近所のため池でコイ釣りをしていました。これが私には楽しかった。毎日、餌や仕掛けを工夫して、上手く釣れたときの嬉しかったこと。誰も褒めてはくれないけどね。日が暮れるまで釣り場にいて良く親に怒られた。小学生の頃は1日に2時間は自転車に乗っていた。小学校の頃は親が仕向けた習い事はすべてかばんを外に置いて自転車に乗って逃げ回って行かなかった。だから、ピアノも弾けない。そろばんも出来ない。運動は好きだけど特別上手なものはない。人に指図されるのが嫌いなのだろう。テニス練習を1時間半した後は、症例報告を4例書いていました。そうしてこうやってブログに載せることが出来たのです。ほ~。症例報告~治療のポイント~知り合いからの紹介である。既往歴:H23心臓バイパス手術。R2腰椎脊柱管狭窄症。R4/10改訂長谷川式:13/30、頭部CT:脳萎縮あり、日進おりど病院。車運転中止。アガぺクリニック①ユリノーム25㎎②タケルダ配合錠(タケプロン15mg/バイアスピリン100mg)③ハルシオン0.25㎎④エパデール1800mg。物忘れ、悪夢、夜間大声、夜間せん妄、車運転中止、生真面目、薬物過敏を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤脳梗塞なし。以上から、レビースコア:4.5、ピックスコア:0、レビー小体型認知症(DLB)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶0/6と中等度低下していた。認知機能低下にタケプロン15mg中止、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にバイアスピリン100mg/エバデール1800mgを継承した。悪夢、夜間大声、夜間せん妄にハルシオン0.25mgを中止した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:17.5/30(+1.5)、近時記憶1/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。患者希望によりエパデール1800mg中止、脳血管性認知症(VD)にバイアスピリン100mgからプレタール100mgへ変更した。甲状腺正常。一般採血:BUN23.7,s-Cr1.30,K5.6,Alb3.7,TCL167,Zn64以外異状なし。VitB1=24,VitB12=418,葉酸=7.9。亜鉛欠乏症にプロマック75mg、ビタミンB12低下症にメコバラミン0.5mgを開始した。治療のポイント1.プロトンポンプ阻害薬(PPI)/H2レセプター阻害薬 (H2RAs)中止プロトンポンプ阻害薬(PPI)が認知症のリスクを1.44倍に高める(JAMA Neurol.2016 Apr;73(4):410-6)、PPIがコリンアセチルトランスフェラーゼを阻害し、結果としてアセチルコリンの生成が低下する(Alzheimers Dement.2020 Jul;16(7):1031-1042)という論文報告があります。状態が許せばPPI中止すべきです。一旦、PPI中止して嘔吐や食物逆流など逆流性食道炎の症状が出なければ中止のままとします。H2レセプター阻害薬(histamine-2 receptor antagonists (H2RAs))も認知症のリスクを高める(Am J Geriatr Psychiatry. 2018 Nov;26(11):1175-1183)という論文報告があります。2.せん妄に対する治療夜間せん妄に対してはロゼレム4-8mgから開始して2週間-1か月様子を見ます。2週間-1か月経過しても改善が見られなければリボトリール2.5mgを追加します。夜間せん妄に幻視が加わった場合は抑肝散加陳皮半夏2.5gを追加します。夜間せん妄に夜間不眠が加わった場合はクエチアピン12.5mgを追加します。それでも夜間不眠が続いた場合にはクエチアピン12.5mgをレンドルミン12.5mgへ変更します。ハルシオン、マイスリー、アモバンはせん妄を引き起こしやすいため当クリニックでは基本的に処方しません。処方されている場合は中止します。睡眠薬はレンドルミン12.5mgが第一選択ですが、30日投与制限があるため、当クリニックでは90日投与制限のベンザリン2-5mgを第一選択にすることが多いのが実情です。この方の場合はハルシオンを中止することでせん妄は消失しました。3.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。4.味覚低下または亜鉛欠乏症亜鉛欠乏症に対してはプロマック75-150mgを開始します。亜鉛欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。プロマックを投与することで興奮状態となる場合があるため注意が必要です。興奮状態になった場合は直ちに中止して、ノベルジン25mgを開始します。ノベルジンは吐気のため食欲低下を招くことがあり、興奮を伴う場合のみ投与します。食事栄養療法(牡蠣、あさり、アーモンド、レバー、ほたて、卵、鶏・牛・豚、しじみ、納豆など)および経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)を投与します。5.ビタミンB12低下症ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。インターネット検索で来院された。既往歴:20歳摂食障害。頭痛時、クリアミン(片頭痛治療薬)有効。物忘れ、月経時頭痛を呈しており、発達障害を心配されて来院された。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮なし、④海馬萎縮なし、⑤脳梗塞なし。以上から、片頭痛の可能性として治療を開始した。グルテンフリー・カゼインフリー指導した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:30/30、近時記憶6/6と全く正常だった。注意スコア1.5/5。多動スコア0/4。ASスコア 0.5/4。発達障害は否定的だった。片頭痛は自己免疫疾患と考えられており、グルテンフリー(GF)・カゼインフリー(CF)ダイエットを指導した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。8日後、甲状腺正常。一般採血:Zn62,Ferritin7.1以外異状なし。VitB1=37,VitB12=754,葉酸=13.4。低Ferritin血症にフェロミア50mg、亜鉛欠乏症にプロマック75mgを開始した。治療のポイント1.自己免疫疾患に対するグルテンフリー・カゼインフリー(GFCF)ダイエット(1)注意欠陥多動障害(ADHD)、アスペルガー症候群(AS)、アルツハイマー型認知症(ATD)、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(ピック病)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、前頭側頭葉変性症(意味性認知症,SD)、統合失調症、レビー小体病(LBD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)などの自己免疫性神経疾患。(2) 気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのアレルギー性呼吸器および皮膚疾患。(3)下痢症、便秘症、逆流性食道炎、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎などの自己免疫性消化器疾患。(4) 緑内障、黄斑変性症などの自己免疫性眼科疾患。(5) 過換気、片頭痛、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、ヘバーデン結節、シェーグレン症候群、橋本病、血管炎、子宮筋腫、子宮内膜症、月経前症候群などの自己免疫性関節および血管、各臓器疾患。この方の場合は、片頭痛治療歴があり、リーキーガット症候群(LGS)にグルテンフリー・カゼインフリー(GFCF)ダイエットを勧めた。2.味覚低下または亜鉛欠乏症亜鉛欠乏症に対してはプロマック75-150mgを開始します。亜鉛欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。プロマックを投与することで興奮状態となる場合があるため注意が必要です。興奮状態になった場合は直ちに中止して、ノベルジン25mgを開始します。ノベルジンは吐気のため食欲低下を招くことがあり、興奮を伴う場合のみ投与します。食事栄養療法(牡蠣、あさり、アーモンド、レバー、ほたて、卵、鶏・牛・豚、しじみ、納豆など)および経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)を投与します。3.鉄欠乏性貧血に対する治療TIBC(トランスフェリン、鉄結合性糖蛋白質=受容体を介して鉄の受け渡しを行う蛋白質)が正常範囲内(250-440μg/dL)で鉄備蓄フェリチン(Ferritin)が低下(50ng/mL未満、特に20ng/mL未満)している場合は、毎月フェジン80mg/生理食塩水100mL点滴静注、フェロミア100mgまたはフェルム100mg(吐気、便秘に注意)、ヘム鉄などを投与します。低アルブミン血症に伴うTIBC(トランスフェリン、鉄結合性糖蛋白質=受容体を介して鉄の受け渡しを行う蛋白質)低下で鉄備蓄フェリチン(Ferritin)が正常範囲内(50-100ng/mL程度)の場合は栄養補充のみでよい。この方の場合は、Ferritin7.1と血中Ferritin濃度が極度に低下しており、それが原因で血管拡張を伴う頭痛を引き起こしていると考えられましたが。鉄剤内服経験がなく、吐気や便秘を避けるためフェロミア50mgから開始しました。インターネット検索で来院された。既往歴: H9気管支喘息。H19-29不眠症。R3/10軽度認知障害、ドネペジル3-5mg、愛知医科大学。小林内科クリニック①ドネペジル5mg②テグレトール600mg③メチコバール1.5mg④エビスタ60mg⑤エディロール0.75mg⑥レルベア100mg30回吸入用。物忘れ、アパシー、昼間からビール、甘い物好き、生真面目、薬物過敏、小麦スコア8/9を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③左>右側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤境界領域梗塞。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:23/30、近時記憶5/6と軽度低下していた。気管支喘息は自己免疫疾患と考えられており、小麦スコア8/9と高値であり、グルテンフリー(GF)・カゼインフリー(CF)ダイエットを指導した。ビールは夕食後のみとするように指導した。認知機能低下にアリセプト5mg/テグレトール600mg中止、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。7日後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+2)、近時記憶5/6(+-)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。本人は「頭がすっきりした」と話した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.8,TCL274,TIBC246,Zn73以外異状なし。VitB1=22,VitB12=1910,葉酸=5.0。治療のポイント1.ドネペジル5mgの効果がない場合は一旦中止前医からドネペジル3-5mgが出ている状態で外来受診された場合は、ドネペジルに治療効果があったかを家族に確かめる必要があります。治療効果がなかった場合は、一旦中止してみることも大切な選択肢です。アセチルコリンを介する抗認知症薬はレミニール、リバスチグミンテープという選択肢もあるからです。抗認知症薬を変更する場合は、最低1週間程度の休薬期間を設けるとよいことが報告されています。2.抗てんかん剤は認知症にとって味方にもなるが敵にもなる前医から抗てんかん薬が出ている場合は、理由を確認する必要があります。この方の場合は、三叉神経痛に対してテグレトール600mgが処方されていました。御家族からテグレトールを止めているときも痛みは余りなかったという情報があり、中止することにしました。テグレトールは眠気が強く出る場合があることから認知機能低下の原因になりうると考えたからです。案の定、テグレトール600mg中止後、7日後には本人から「頭がすっきりした」というコメントを聞くことが出来ました。3.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。4.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mgを処方します。親戚からの紹介である。既往歴:H19前立腺がん。H27糖尿病、名古屋大学内分泌科①ノボラピッド17単位②テネリア20mg③ボグリボース0.9mg④ランタス10単位⑤アミティーザ48μg。R3/4ドネペジル3-5mg、名古屋大学老年内科①ドネペジル5mg。物忘れ、幻視、寝言、夜間せん妄、易転倒、小刻み歩行、左歯車様固縮軽度、鬱状態、生真面目を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮なし、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞。 以上から、レビースコア:7、ピックスコア:0、レビー小体病(LBD)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:26/30、近時記憶6/6と軽度低下していた。易転倒、小刻み歩行、左歯車様固縮軽度にドネペジル5mgから2.5mgへ減量、認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。14日後、中核症状は改訂長谷川式:30/30(+4)、近時記憶6/6(+-)と治癒状態となり、上記周辺症状はすべて消失した。左歯車様固縮軽度残存しており、ドネペジル2.5mgから1.25mgへ更に減量した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.7,TIBC246,Hb12.8,Zn56以外異状なし。VitB1=22,VitB12=454,葉酸=7.2。亜鉛欠乏症にプロマック75mgを開始した。治療のポイント1.ドネペジル3-5mgによる薬剤性パーキンソニズムが出現したら一旦中止ドネペジル3-5mgによる薬剤性パーキンソニズム(振戦、易転倒、歩行不安定)にも注意が必要であり、症状が出現した場合はドネペジル中止します。2週間以上経過してから必要に応じてリバスタッチ4.5mgを開始します。レビー小体型認知症(DLB)/石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患は薬物過敏を伴うためリバスタッチは9mgで維持します。この方の場合、ドネペジル5mgは過量であるものの、認知機能改善に効果があると判断したためドネペジル5mgから2.5mgへ減量しました。2週間後、パーキンソニズムが軽減したものの継続しており、ドネペジル2.5mgから1.25mgへ更に減量しました。2.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mgを処方します。3.味覚低下または亜鉛欠乏症亜鉛欠乏症に対してはプロマック75-150mgを開始します。亜鉛欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。プロマックを投与することで興奮状態となる場合があるため注意が必要です。興奮状態になった場合は直ちに中止して、ノベルジン25mgを開始します。ノベルジンは吐気のため食欲低下を招くことがあり、興奮を伴う場合のみ投与します。食事栄養療法(牡蠣、あさり、アーモンド、レバー、ほたて、卵、鶏・牛・豚、しじみ、納豆など)および経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)を投与します。知り合いからの紹介である。既往歴:H24左変形性股関節症、はちや整形外科。種田クリニック①ベタニス50mg②アバプロ100mg③アムロジピン5㎎④エディロール0.75μg⑤ボナロン35mg。物忘れ、易興奮、被害妄想、甘い物好きを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮なし、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:1、混合型認知症(MIX)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:21/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒1錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にアバプロ100mgから50mgへ減量、プレタール50mgを開始、赤ミミズエキス1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+1)、近2時記憶3/6(+-)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.1,TCL181,Zn69,Ferritin25.9以外異状なし。VitB1=30,VitB12=660,葉酸=8.9。亜鉛欠乏症にプロマック75mgを開始した。治療のポイント1.脳血管性認知症(VD)/妄想に対する治療高血圧治療薬を投与して収縮期血圧130mmHg以下、すなわち過降圧にすると脳血流低下による認知症/妄想の原因になるという論文報告がされています。 降圧剤投与する場合は、収縮期血圧(年齢+50 ) -(年齢+70 )mmHgを目標にするように指導しています。血圧は1年の中でも2月が最高、8月が最低になるため春から秋は降圧剤を減量する必要があります。 春先から初夏にかけての被害妄想の出現は過降圧が原因ですから、降圧剤を減量して脳血流低下を改善する必要があります。降圧剤を投与していない場合は、OS-1などのイオン飲料を飲むことで血管内圧を上げる必要があります。2.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。3.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2-0.4mgを開始します。4.味覚低下または亜鉛欠乏症亜鉛欠乏症に対してはプロマック75-150mgを開始します。亜鉛欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。プロマックを投与することで興奮状態となる場合があるため注意が必要です。興奮状態になった場合は直ちに中止して、ノベルジン25mgを開始します。ノベルジンは吐気のため食欲低下を招くことがあり、興奮を伴う場合のみ投与します。食事栄養療法(牡蠣、あさり、アーモンド、レバー、ほたて、卵、鶏・牛・豚、しじみ、納豆など)および経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)を投与します。
Dec 11, 2022
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト施設看取りから2年前の状態まで完全復活高齢化が進むにつれて在宅や施設に関わらず看取りの方が増えてきている。今回、誤嚥性肺炎後にアパシー、食欲低下、嚥下困難が出現して、施設看取りを考えていた。御家族をお呼びして「このままでは施設看取りになる」とお話ししたところ、「近々、御姉妹が集まる女子会を行いたい」との意向があり、復活していただくべく全力を尽くすことになったのである。アパシーに対してグルタチオン点滴(ソルデム3AG1000mL、グルタチオン1600mg、VitC2g, VitB12=1Ap、シチコリン1000mg)、食欲低下に対して食欲セット(ドグマチールおよびプロマック)、嚥下困難に対してNewフェルガードLA2包およびカプサイシンプラスを開始した。1週間経っても経口摂取が進まず、脳血管性認知症に対してプロルベインDR4Capを開始した。1週間後にはアパシーが改善して自力で食事を食べるまでに改善したのである。全身チアノーゼの状態から血色が戻り、顔色もとても良くなった。施設の方からは数年前の状態に戻り、しかも以前のように介護拒否や易興奮もなくなったという評価を頂いた。とても信じがたいような話であるが、紛れもない事実である。在宅看取りとして自宅療養を始めた方が7年間しかもとても良い状態(御家族の話では17年前の状態に戻った)で過ごしておられることは「認知症になったら真っ先に読む本」でも紹介した。世間では看取りを美徳とした本がベストセラーになっているが、看取りと言ってもこのような完全復活の可能性も残されているということを知るべきである。症例報告開業医からの紹介である。万引き(2回目)、甘い物好き、頭部CT上、前頭葉萎縮、左>右側頭葉および海馬萎縮からレビースコア: 1 ピックコア:6。ピック病に対してウインタミン4mg夕とフェルガード100M3包朝2包夕1包を、脳血管性認知症に対してプロルベインDR4Capを勧めた。1ヶ月後、万引きはなくなり、時計描写テスト:8.5/9(+6)、改訂長谷川式:28/30(+6)、近時記憶6/6(+-)と中核症状の著明改善も見られた。一発改善である。4ヶ月後、改訂長谷川式:30/30(+2)、近時記憶6/6(+-)と完全復活を遂げた。万々歳である。ケアマネからの紹介である。物忘れ、暴言、易興奮、帰宅願望、昼間傾眠、夜間不眠、感情失禁、食欲低下、金銭浪費、寝汗からレビースコア:1.5 ピックスコア:0。頭部CTで脳萎縮はなく両側基底核ラクナ梗塞多数および境界領域梗塞を認め、脳血管性認知症(VD)と診断した。内科医から降圧剤3種が出ており、プロルベインDR6Cap分2を開始して降圧剤を漸減するように説明した。降圧剤で血圧を下げることは脳を含む臓器血流を落としてしまうため良くないことはドクターイワタの認知症ブログ2014年9月12日でもお伝えした。前頭葉血流が低下したために仮性ピック病となっていると判断したため、抑制系薬剤は投与しなかったのである。認知機能低下をフェルガード100M2包で下支えした。1ヶ月後、血圧102(-30)/68(-2)と低下していたが、降圧剤は減らしておらずアダラート中止するように指示した。この時には周辺症状は不変だったが、3ヶ月後、改訂長谷川式: 30/30(+2)、近時記憶6/6(+-) 、上記周辺症状はすべて消失して完全治癒となった。BP126/62であり、ディオバン減量するように指示した。脳血管性認知症は治せるのである。知り合いからの紹介である。物忘れ、甘い物好き、生真面目からレビースコア:1 ピックスコア:0。頭部CTで脳萎縮はなく両側基底核ラクナ梗塞多数および境界領域梗塞を認め、脳血管性認知症(VD)と診断した。高血圧は未治療であり、血圧158/96だった。プロルベインDR4Cap分2を開始して、認知機能低下をフェルガード100M2包で下支えした。1ヶ月後、血圧130(-28)/80(-16)と丁度良い血圧まで降下して、改訂長谷川式: 24/30(+4)、近時記憶5/6(+2) と中核症状も改善していた。経過は順調であり、このまま暫く様子を見ることにした。今後の経過はまた報告する。知り合いからの紹介である。物忘れ、暴言、易興奮であった。5年前に罹られた方で当時はレビースコアもピックスコアもなかった。頭部CTで脳萎縮はなく両側基底核ラクナ梗塞多数および境界領域梗塞を認め、脳血管性認知症(VD)と診断した。当時は前頭側頭葉変性症の診断を出来ておらず、今からみるとシルビウス裂の左右差およびピック切痕が見られる。当時はプロルベインに関する知識もなく、プラビックスと興奮系のサアミオン少量で治療を開始して、フェルガード100M2包で下支えした。1ヶ月後、改訂長谷川式: 26/30(+2)、近時記憶6/6(+1) と中核症状は改善したが、周辺症状は残っていた。4ヶ月、改訂長谷川式: 30/30(+4)、近時記憶6/6(+-) 、周辺症状は消失してと完全治癒したのである。今から考えるとフェルガード100M2包が興奮系のサアミオンを緩和するように働いてくれていたのだと思う。1年前からはプロルベインDR6Capも併用しているが、5年間治癒状態が続いている。脳血管性認知症は完全治癒するのである。ケアマネからの紹介である。物忘れ、幻視、アパシー、徘徊、昼間傾眠、夜間不眠、嚥下困難、振戦、小刻み歩行、歯車様固縮からレビースコア:8 ピックスコア:0。H21からレビー小体型認知症(DLB)と診断されていたが、抑肝散7.5g処方されているだけだった。5年間も時間を無駄にしたことになる。アパシーが見られたため、リバスタッチパッチ4.5mg、サアミオン10mgと興奮系薬剤を開始、グルタチオン点滴(当時は4Apから開始していた)、NewフェルガードLA2包を勧めた。1ヶ月後、改訂長谷川式: 6/30(+1)、近時記憶0/6(+-) と中核症状の改善はなく、リバスタッチパッチ4.5mgから9mgに増量した。NewフェルガードLA2包で歩行は改善していた。夜間不眠が続いており、ロゼレム8mg開始、ベンザリン2mgから5mgへ増量した。3ヶ月後、改訂長谷川式: 14/30(+8)、近時記憶3/6(+2) 、すべての周辺症状は消失した。御家族も復活を認めてくれた。
Sep 27, 2014
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)の臨床病型分布ドクターイワタの認知症ブログで今までに提示したDNTC36例の臨床病型分布を表にまとめてみた。DNTCは病理分類であり、臨床病型分類ではない。DNTCの臨床病型は前頭側頭葉変性症42%>レビー・ピック複合32%>レビー小体型認知症14%>混合型認知症11%であった。石灰化の程度に関わらず(片側でも)淡蒼球に石灰化がある場合は約3/4にピック症状が、約1/2にレビー症状が合併するということを念頭に置いて治療方針を立てるべきである。ピック症状がない1/4も今後ピック化する可能性がある。石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)とは石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)=ファール病は大脳基底核(線条体、淡蒼球)、小脳歯状核に石灰化をきたす疾患である。欧米では最近、両側性の大脳基底核に石灰化をきたす疾患としてIdiopathic bilateral ganglionic calcification (IBGC)という呼称が好んで用いられている。脳内に石灰化を来す原因として、一部には副甲状腺機能低下症、ミトコンドリア脳筋症など明らかな症例もあるが、ほとんどは原因不明であった。2012年、家族例と孤発例からIII型ナトリウム依存性リン酸トランスポーター2(PiT2)をコードする SLC20A2 の変異が報告された(Wang C et al Nature Genet 44:254-256 2012)。しかし、未だ他の多くの家族例や孤発例は原因不明である。臨床症状も無症状からパーキンソン症状など錐体外路症状、小脳症状、認知症状をきたすなど幅広い。また初老期認知症の中で、ファール病同様の石灰化とともに、病理学的に大脳皮質にびまん性に多数の神経原線維変化を認める疾患が日本から報告されており(NTC=小阪・柴山病(Kosaka K JNNP 57:594-596 1994))、その関係、関連を検討することも今後の課題である。以上、難病情報センター(ファ-ル病(特発性両側性大脳基底核・小脳歯状核石灰化症)(平成24年度)より引用。 症例報告インターネット検索で来院された。物忘れ、易興奮という情報だけだったが、腕組みおよび膝組みと60歳台と若年発症ということから前頭側頭葉変性症とすぐにわかった。 50歳-70歳前半でアルツハイマー型認知症の患者さんは非常にまれである。頭部CT: 1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞数カ所、6.その他 前角拡大。以上からレビースコア:1.5 ピックスコア:5。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、易興奮であることからフェルガード100M2包を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式: 25/30(+1)、近時記憶3/6(+-)と少し改善、、周辺症状は余り変わらなかった。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+-)、近時記憶5/6(+2)と更に改善、周辺症状は改善傾向が見られた。改善したらレミニール4mg維持である。インターネット検索で来院された。物忘れ、幻視、悪夢、夜間大声、アパシー、REM睡眠行動障害(リボトリール)、昼間傾眠、甘い物好き、生真面目、腕組み、語義失語からレビースコア:5 ピックスコア:5。 頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮なし、5.脳梗塞なし。REM睡眠行動障害に対して前医からリボトリール0.5mgが処方されていたが、認知機能低下については未治療だった。認知機能低下に対してリバスタッチパッチ4.5mgを開始、周辺症状の悪化を避けるためNewではなくフェルガード100M2包を勧めた。以前、REM睡眠行動障害に対するリボトリール0.5mgを中止したところ夜間足をバタバタさせるようになって再開した経験からリボトリール0.5mgは維持、幻視/悪夢/夜間大声に抑肝散2.5g夕およびシチコリン1000mg静注を追加することにした。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+6)、近時記憶2/6(+-)と著明改善、上記周辺症状すべて消失した。一発改善である。改善したらリバスタッチパッチ4.5mg維持である。ケアマネからの紹介である。物忘れ、語義失語、収集癖、真面目からレビースコア:2 ピックスコア:5。 頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞数カ所、境界領域梗塞、6.その他 ピック切痕、右淡蒼球石灰化軽度。。中核症状は改訂長谷川式: 22.5/30、近時記憶5/6と軽度低下であったが、語義失語(右手で左肩を叩く○、猿も木から落ちる△、犬も歩けば棒に当たる○、 弘法も筆の誤り×、利き手×)は顕著であった。簡易知能検査には改訂長谷川式簡易知能検査、時計描画テストだけでなく、語義失語テストも含めた3つの簡易知能検査をルーチン検査として行うべきである。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M2包を勧めた。ピック感を感じたためグラマリール25mgを加えておいた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:26/30(+3.5)、近時記憶6/6(+1) と改善、周辺症状はすべて消失した。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:29.5/30(+3.5)、近時記憶6/6(+-) と更に改善して治癒状態となった。施設からの紹介である。物忘れ、暴言、暴力、物とられ妄想、介護拒否、夜間不眠、甘い物好き、収集癖からレビースコア:2 ピックスコア:5。 頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮中等度、3.左>右側頭葉萎縮中等度、ナイフの刃、4.左>右海馬萎縮中等度、5.境界領域脳梗塞、6.その他 ピック切痕、両側淡蒼球石灰化軽度。前医(精神科)からセレネース2mgが出ていた。興奮性の強いピック病と診断した。暴言/暴力に対してコントミン12.5mg(フェルガード購入困難)を開始した。1か月後、周辺症状が続いており、コントミン37.5mg(施設天秤法)、フェルガード100M2包を無理を言って開始して貰った。妄想が続いておりセレネース2mgに抑肝散5gを加え、夜間不眠にロゼレム8mg/ベンザリン5mgを開始した。4か月後、妄想は軽減したものの、暴言/暴力は続いており、コントミン75mg(施設天秤法)として最終的にコントミン62.5mgで落ち着いた。金銭的なことからフェルガード100M2包から1包へ減量して維持した。ケアマネからの紹介である。物忘れ、幻視、幻聴、妄想、暴言、暴力、易興奮、パニック発作、鬱状態からレビースコア:3.5 ピックスコア:4。部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.右>左側頭葉萎縮軽度、4.右>左海馬萎縮軽度、5.両側境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。中核症状は改訂長谷川式: 17/30、近時記憶1/6と中等度低下、鬱症状はGDS-5 Score 2/5、GDS-15 11/15(5-9軽症/10-15重症)と重症だった。認知機能低下/暴言/暴力にウインタミン朝2mg夕4mgおよびフェルガード100M2包、幻視/幻聴に抑肝散、妄想にセレネース、鬱状態にジェイゾロフトを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:20/30(+3)、近時記憶4/6(+3)と著明改善、周辺症状は幻視/幻聴が消失、妄想/暴言/暴力が続いており、セレネース0.2mgから0.4mgへ増量、ウインタミン朝2mg夕4mgから朝4mg夕6mgへ増量した。2か月後、周辺症状はほぼ消失していたが、通院拒否のため中核症状は調べていない。ドクターイワタの認知症ブログ 更新曜日 日曜日に変更毎週、認知症ブログをアップする日が週末にずれ込んでしまい、実質、日曜日更新となっている。読みに来てくださる方々にも申し訳なく思い、実質的に可能な日曜日更新に変更しようと思う。このブログはあくまでも自分の頭の整理のために記載しているものであるが、これから認知症治療を始めようとする開業医の先生方、認知症患者さんを看護する看護師の方々、認知症患者さんを介護する介護士並びに御家族の方々に是非とも読んでいただきたい。
Jan 18, 2015
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト東山動植物園~もみじ狩り~もみじ@東山植物園もみじ@東山植物園もみじ@東山植物園もみじ・宗節庵@東山植物園西尾茶野点@宗節庵症例報告ケアマネからの紹介である。物忘れ、夢の続き、夜間不眠、昼間傾眠、易転倒、感情失禁、尿便失禁、嚥下困難、病識欠如のためレビースコア:5 ピックスコア:4。 頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮中等度、4.海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、6.その他 左頭頂葉脳梗塞。中核症状は改訂長谷川式: 22/30、近時記憶4/6とやや低下していた。以上からレビー・ピック複合と診断して治療を開始した。ピック症状にリスパダール0.5mg頓を中止して、ウインタミン4mg夕を開始、認知機能改善のためフェルガード100M2包を勧めた。易転倒(振戦/小刻み歩行/歯車様固縮)に対してドパコール50mg朝、 夢の続きに対して抑肝散2.5g/アスパラK0.6g夕を開始した。脳血管性認知症にプロルベインDR2Capを勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:27/30(+5)、近時記憶6/6(+2)は著明改善、上記周辺症状はすべて消失していた。一発改善である。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+2)、近時記憶6/6(+-)と更に軽度改善した。20か月後、中核症状は改訂長谷川式:28/30(-1)、近時記憶6/6(+-)、車椅子歩行からシルバーカー歩行まで改善した。知り合いからの紹介である。物忘れ、難聴、火の不始末、語義失語甘い物好き、収集癖、生真面目を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮軽度、5.境界領域梗塞。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:3、混合型認知症(MIX)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:18/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、NewフェルガードLA粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgとサアミオン10mgを開始、プロルベインDR4Capを勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+4)、近時記憶5/6(+4)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。プロルベインDRは希望されなかった。9か月後、中核症状は改訂長谷川式:27/30(+5)、近時記憶6/6(+1) と更に中等度改善した。ケアマネからの紹介である。物忘れ、幻視、妄想、易興奮、昼間傾眠、易転倒、尿便失禁、介護拒否、せん妄、甘い物好き、収集癖、真面目を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.左>右前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域脳梗塞。以上から、レビースコア:4.5、ピックスコア:4、レビー・ピック複合(LPC)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7/9、改訂長谷川式:10/30、近時記憶1/6 と高度低下していた。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にエパデール1800mg継承、プロルベインDR4Capを勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:22.5/30(+12.5)、近時記憶4/6(+3) と一発改善、上記周辺症状はすべて消失した。プロルベインDRは希望されなかった。脳血管性認知症(VD)にプレタール50mgを開始、プロルベインDR2Capを勧めた。9か月後、中核症状は改訂長谷川式:26/30(+3.5)、近時記憶4/6(+-) と更に中等度改善した。車椅子の生活からシルバーカー歩行が可能なレベルまで回復した。親戚からの紹介である。既往歴: 脳梗塞、呂律不全。内科 1.メインテート 2.ブロプレス 3.イグザレルト。物忘れ、夜間不眠、語義失語を呈していた。頭部CT: 1.頭頂葉萎縮なし、2.左前頭葉萎縮軽度、3.左側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮なし、5.左尾状核ラクナ梗塞1カ所、左角回動脈脳塞栓。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(FTLD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:21.5/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、NewフェルガードLA粒2錠を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:23.5/30(+2)、近時記憶5/6(+3)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。7か月後、中核症状は改訂長谷川式:27/30(+3.5)、近時記憶6/6(+1) と更に中等度改善した。知り合いからからの紹介である。既往歴:中学時代、シンナー吸引。物忘れ、語義失語を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.左前頭葉萎縮軽度、3.左側頭葉萎縮軽度、4.左海馬萎縮軽度、5.脳梗塞なし、6.その他 左ピック切痕。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:5、前頭側頭葉変性症(FTLD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:13/30、近時記憶1/6と中等度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、NewフェルガードLA粒4錠を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:15/30(+2)、近時記憶3/6(+2)と軽度改善した。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:21/30(+6)、近時記憶2/6(-1)と更に中等度改善した。高脂血症治療薬スタチンは65歳以上高齢者に投与するな~スタチンは認知症に有効ではない~コクラン共同計画(Cochrane Collaboration、略称CC)は、治療と予防に関する医療情報を定期的に吟味し人々に伝えるために、世界展開している計画です。1992年にイギリスの国民保健サービス (NHS) による根拠に基づく医療政策と実践、またその定量的な評価の一環として始まりました。臨床試験をくまなく収集し、評価し、分析して、その結果を、医療関係者や医療政策決定者、さらには消費者に届け、合理的な意思決定に供することを目的としています。この一環で、Statins for the treatment of dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Aug 4;(8)およびCochrane Database Syst Rev. 2014 Jul 8;(7) 、Statins for the prevention of dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jan 4;(1)、Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;(9)に発表された総説論文によりスタチンは認知症には有効でないという結論が報告されました。それ以前は、スタチンは認知症に有効であるという報告が主流でしたから、正反対の結果が出いたことになります。元来、筆者はスタチンを65歳以上の高齢者に出す必要は無いという考えです。スタチンが動脈硬化を改善する効果はない以上、一旦、既に動脈硬化が起こった高齢者にどれだけの効果があるというのでしょう。また年齢に関わらず、女性には効果がなかったという報告もあります。また、スタチンは高齢者のホルモンバランスを崩し、鬱状態となる報告もあります。筆者の臨床経験から、スタチンを出されている高齢者は骨粗鬆症の合併率が高く、大腿骨頸部骨折や腰椎圧迫骨折の罹患率が高い印象があります。コレステロールは生体に不可欠な物質であり、生体内で重要な働きをしていることが明らかにされています。人間の体内には、100gから150gのコレステロールがあり、様々な働きをしています。まず、最初に挙げられるのは、細胞膜の構成成分の1つであるということです。細胞膜は、細胞内部を外部から保護する一方で、細胞膜を通して物質やエネルギーを出入りさせています。このような機能を持つ細胞膜は、リン脂質とたんぱく質、そしてコレステロールから出来ています。コレステロールを下げ過ぎると細胞膜が脆くなり血管が破綻する可能性も増えるのです。体内にあるコレステロールの4分の1は脳に存在します。そしてその大部分は、神経細胞の軸索を包み、保護している鞘、ミエリン鞘にあります。ミエリン鞘は、脳から体の各部分に神経情報が伝達されるとき、情報がほかの回路に迷い込むことなく正しく伝えられるように、神経線維(軸索)を保護しているいわば絶縁体なのです。コレステロールのさらなる役割として、ホルモンの原料になることが挙げられます。ステロイドホルモンと呼ばれるホルモンは、副腎皮質、精巣、卵巣、胎盤でコレステロールから作られます。副腎は皮質と髄質に分かれており皮質の部分で50種類にも及ぶホルモンが作られています。これらは副腎皮質ホルモンと呼ばれています。精巣で作られるステロイドホルモンはアンドロゲン(男性ホルモン)、卵巣で作られるのはエストロゲン(女性ホルモン)、卵巣の黄体や胎盤で作られるのはプロゲステロン(黄体ホルモン)です。また、コレステロールは胆汁酸の原料にもなっています。胆汁酸は肝臓で作られる胆汁の成分で、脂肪の消化にかかわっています。脂肪は十二指腸で膵臓から分泌される消化酵素の「リパーゼ」によって消化されますが、胆汁酸は脂肪を水に溶けやすくしたり、リパーゼを活性化したりして、脂肪の消化吸収を促進しています。このようにコレステロールは、私たちが生きていく上でなくてはならない物質なのです。高齢者は、高コレステロール血症があってもスタチンを投与すべきではありません。高齢者の動脈硬化を改善するためには、「プロルベインDR(乾燥ミミズ粉末食品)」、バイオ技術で清潔に飼育されたアメリカ赤乾燥ミミズの粉末を投与すべきです。200種類以上の酵素を含み、血管内皮細胞から内因性t‐PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)を出し、アテローム性プラーク(血管内膜肥厚)を徐々に減らします。2015年、日本東洋医学雑誌(66(4),278-281)に頸動脈エコー19名で投与前と3か月後、3か月後と6か月後の比較共に、有意なプラークの減少を認めたと報告されました。筆者は、頭部CTで境界領域梗塞、深部白質梗塞(Binswanger型梗塞)、脳血管石灰化を認めた場合に「プロルベインDR」を勧め、動脈硬化改善、血圧降下、血糖降下、中核症状および周辺症状改善など著明な効果を得ています。現在、「プロルベインDR」の効果についての詳細を学会発表出来るようにデータ解析を行っています。
Nov 20, 2016
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト桜咲く@愛知学院大学&ぼちぼち長屋ソメイヨシノ@愛知学院大学ソメイヨシノ花弁@愛知学院大学ソメイヨシノ@愛知学院大学ソメイヨシノ@ぼちぼち長屋症例報告知り合いからの紹介である。既往歴:内科 1.リバスタッチパッチ9mg 2.ディオバン80mg 3.アテレック10mgなど。物忘れ、易転倒、語義失語を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.左>右前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮中等度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:3、ピックスコア:4、レビー・ピック複合(LPC)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:11.5/30、近時記憶3/6と中等度低下していた。認知機能低下にリバスタッチパッチ9mgを継承、フェルガード100M粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプロルベインDR2Capを勧め、ディオバン80mg維持/アテレック10mgから5mgへ減量した。易転倒にドパコール50mgを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:16/30(+4.5)、近時記憶4/6(+1)と中等度改善、上記周辺症状はすべて改善した。プロルベインDRを希望されず、フェルガード100M継続も希望されなかった。6か月後、中核症状は改訂長谷川式:14.5/30(-1.5)、近時記憶2/6(- 2)と軽度悪化した。認知機能低下にメマリー5mgを開始した。7か月後、中核症状は改訂長谷川式:19.5/30(+5)、近時記憶3/6(+1)と中等度改善した。ケアマネからの紹介である。物忘れ、易興奮、被害妄想、語義失語、感情失禁、生真面目を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、右脳幹梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:1.5、ピックスコア:5、前頭側頭葉変性症(FTLD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:8.5/30、近時記憶0/6と高度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール50mgを開始、プロルベインDR4Capを勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:10.5/30(+2)、近時記憶1/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。認知機能低下にリバスタッチパッチ2.25-4.5mgを開始した。脳血管性認知症(VD)にプレタール50mgから100mgへ増量、プロルベインDR4Capは希望されなかった。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:7.5/30(-3)、近時記憶0/6(-1)と軽度悪化、再び易興奮を呈するようになった。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgからレミニール4mgへ変更した。3か月後、中核症状は改訂長谷川式:12/30(+4.5)、近時記憶1/6(+1)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。ケアマネからの紹介である。物忘れ、暴言、易興奮、帰宅願望、昼間傾眠、夜間不眠、徘徊、感情失禁、病識欠如、アパシー、甘い物好き、語義失語を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮、5.くも膜下出血後遺症、両側前頭葉および左側頭葉梗塞。以上から、レビースコア:1、ピックスコア:5、くも膜下出血(SAH)後遺症/両側前頭葉および左側頭葉梗塞/前頭側頭葉変性症(FTLD)タイプとして治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:25/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。前頭葉症状にウインタミン朝4mg夕6mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+-)、近時記憶3/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべてやや改善した。前頭葉症状にウインタミン朝4mg夕6mgから朝6mg夕9mgへ増量した。3か月後、中核症状は改訂長谷川式:26/30(+1)、近時記憶3/6(+-)と更に軽度改善、上記周辺症状はすべて更に改善した。ケアマネからの紹介である。物忘れ、易興奮、易転倒、食欲低下、収集癖、語義失語を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮中等度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球および小脳歯状核石灰化。以上から、レビースコア:0、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(FTLD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:9/30、近時記憶0/6と高度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール50mg開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:11.5/30(+1.5)、近時記憶1/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて改善した。脳血管性認知症(VD)にプロルベインDR2Capを勧めた。ケアマネからの紹介である。既往歴:内科 1.オドリック1mg 2.バイアスピリン100mg 3.タケプロン15mg 4.ボナロン35mg 5.アムロジピン5mg 6.ザイロリック100mg。物忘れ、易興奮、昼間傾眠、尿便失禁、語義失語、甘い物好き、生真面目、小刻み歩行、歯車様固縮を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、6.その他 左>右淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:5、レビー・ピック複合(LPC)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:8.5/30、近時記憶0/6と高度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にバイアスピリン100mg継承、プロルベインDR2Capを勧めた。易転倒にドパコール50mgを開始した。BP91/59のため他院からのオドリック1mg中止/アムロジピン5mg→2.5mg減量、減薬のためタケプロン/ザイロリック中止とした。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:16.5/30(+8)、近時記憶5/6(+5)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。BP117/76のためアムロジピン2.5mg中止とした。歩行安定したが、歯車様固縮残存しておりドパコール50mgから100mgへ増量した。高齢者看取りについて考える平成29年4月7日 各地の消防本部や救急隊員、医師等でつくる「日本臨床救急医学会」は終末期で心肺が停止した患者に対し、救急隊が蘇生措置を実施するかどうか判断する際の指針を発表しました。背景には、終末期の高齢者らが蘇生を望まない意思表示をしていても、動転した家族や老人ホームの職員らが119番通報する例が相次いでいるという問題があります。筆者は、認知症高齢者に特化した外来および往診治療を行っています。経口摂取量が減り衰弱状態になった場合、家族に摂食嚥下に対する治療の選択枝について詳しく説明します。食欲がない場合は、亜鉛欠乏症に対するプロマック150mg、食欲増進のためドグマチール50mg(30日限定)を開始すれば、90%で食欲回復できます。嚥下困難の場合は、1.内服薬やサプリメント(Newフェルガードやプロルベイン)を確実に摂取すること、2.経管栄養により食べるための体力や気力を回復させること、3.GCS点滴(グルタチオン・シチコリン・ソルコセリル)でパーキンソニズム改善および覚醒させることが大切です。胃瘻造設を安易に否定せず、家族の了解が得られれば胃瘻造設も考慮に入れるべきです。少なくとも医師にはさまざまな選択肢があることを患者や家族に説明する義務があります。摂食嚥下に対するすべての治療を実施しても回復しない場合に限り、看取りの状態に入ったと判断して、「終末期の延命医療に関する同意書」を記載して頂いています。家族(複数)、看護師、介護士、ケアマネージャーの同席して頂き、以下の治療行為の中止あるいは開始を差し控えることの説明を充分に行い、同意書にサインを頂くようにしています。家族にはいつでも同意内容を変更することが出来ることも併せてお伝えしています。患者様氏名( )ID.NO( )主病名( )治療行為 どちらかに○をつけてください1.心臓マッサージ 行なう 行なわない2.気管内挿管による人工呼吸 行なう 行なわない3.昇圧剤投与 行なう 行なわない4.輸血 行なう 行なわない5.栄養管理としての末梢点滴、中心静脈栄養、経管栄養 行なう 行なわない6.携帯用および在宅酸素 行なう 行なわない7.鎮痛および鎮静 行なう 行なわない8.その他 救急搬送 行なう 行なわない≪以下署名欄≫ 年 月 日・本人(患者)氏名( )・同意者氏名( ) 本人との続柄( ) 同意者氏名( ) 本人との続柄( )*説明医師: 氏名 *同席看護師: 氏名*同席介護士: 氏名 *同席ケアマネージャー: 氏名医師は、このような家族の意思確認をすることも大切ですが、それ以上に大切なこと家族を思い遣り、少しの変化でも家族が納得できるように説明を繰り返すことが大切です。医師には、家族、看護師、介護士、ケアマネージャーと心を一つにして穏やかな臨終を迎えることが出来るように尽力するという大切な役割があります。家族を含む多職種の意思統一が出来ていれば、蘇生を望まない患者を救急搬送するということは減り、穏やかな臨終を迎えることが出来るのです。
Apr 9, 2017
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイトドクターイワタ57歳の誕生日を迎えてコロナ禍真っ盛りの中、2020年5月14日に57歳の誕生日を迎えました。当クリニックはほとんどが予約制ですので認知症外来患者1500名程度も減らず、筆者が行っている認知症専門往診も120名程度を行っています。コロナ禍で自粛の中、筆者はいつも通りの診療が行えることに感謝して日々を過ごしています。このような中で毎日勤務して下さっている長久手南クリニック看護師・受付スタッフ、各訪問看護・居宅介護支援事業所・介護施設スタッフ、いつもながらサポートしてくれている家族に感謝をしつつ、、、。最後に、コロナ禍の中で私の歯科治療をして下さっている吉田医院吉田幸弘先生に感謝を申し上げます。57歳誕生日@自宅シャクヤク@長久手実家コデマリ@長久手実家ウツギ@長久手実家症例報告知り合いからの紹介である。既往歴:H15大腸結腸摘出術、旭労災病院。R1/8脳梗塞、左不全片麻痺、愛知医科大学~図書館通りクリニック①タケルダ(バイアスピリン100mg/タケプロン15mg)②クレストール2.5mg③フルイトラン1mg。老老介護。物忘れ、寝言、夜間大声、ぼーとした感じ、語義失語、生真面目、薬剤過敏を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③左>右側頭葉萎縮中等度、④左>右海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞。以上から、レビースコア:4.5、ピックスコア:1、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:27/30、近時記憶6/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にバイアスピリン100mg継承とサアミオン10mgを開始した。前医からのタケプロン/クレストール/フルイトランは中止した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+2)、近時記憶6/6(+-)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:TG162,Zn78以外異常なし。VitB1=45,VitB12=679,葉酸=5.0。高TG・Zn・葉酸欠乏症に対する栄養指導を施行した。インターネット検索で来院された。既往歴:S46C型肝炎。杉浦病院①ウルソ②ニューロタン③ジクロフェナクナトリウム→自己中止。独居。物忘れ、幻視、夜間大声、生真面目、人物誤認を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③左>右側頭葉萎縮軽度、④左海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:4.5、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:24/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M1錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にバイアスピリン100mgを開始、ルベストPRoDR1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:27/30(+3)、近時記憶3/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:s-Cr0.77,GOT42,GPT31,TG199以外異常なし。VitB1=31,VitB12=519,葉酸=7.5。高TGに対する栄養指導を施行した。インターネット検索で来院された。既往歴:ころろからだクリニック①ドネペジル3mg→頭痛/めまい中止。メドック健康クリニック①メリスロン②デパス。水野内科胃腸科①ネキシウム②ロトリガ③マイスリー④マーロックス。2世帯住宅。昼間独居。物忘れ、幻視、車迷子、日付、スケジュール困難、語義失語、薬物過敏、生真面目、甘い物好きを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②右>左前頭葉萎縮軽度、③右>左側頭葉萎縮中等度、④海馬萎縮なし、⑤脳梗塞なし。以上から、レビースコア:5、ピックスコア:3、レビー小体型認知症(DLB)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶0/6と中等度低下していた。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:20/30(+4)、近時記憶2/6(+2)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Ferritin42.5以外異常なし。VitB1=22,VitB12=351,葉酸=5.5。VitB1・VitB12・葉酸欠乏症に対する栄養指導を施行した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+2)、近時記憶3/6(+1)と更に軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。VitB12にメコバラミン1mgを開始した。インターネット検索で来院された。既往歴:R1/11軽度認知症、豊田厚生病院。物忘れ、幻視、物盗られ妄想、警察通報、暴言、易興奮を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮なし、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞。以上から、レビースコア:5、ピックスコア:3、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶1/6と中等度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒2錠を勧めた脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始、ルベストPRoDR2Capを勧めた。BP175/70。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:20.5/30(+4.5)、近時記憶3/6(+2)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。BP155/68。甲状腺正常。一般採血:HbA1c12.9,Zn67以外異常なし。VitB1=34,VitB12=617,葉酸=9.5。Zn欠乏症に対する栄養指導を施行した。施設からの紹介である。既往歴:H30上林記念病院、2ヶ月入院、鬱状態。R1/11一宮西病院神経内科。多治見クリニック①アロチノロール10mg②メバロチン10mg③アムロジピン5mg④ワンアルファ0.25μg⑤ドネペジル3mg⑥メチコバール1mg⑦ボノテオ50mg。物忘れ、鬱状態、振戦、歯車様固縮を呈していた。頭部CT:以上から、レビースコア:4、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:15.5/30、近時記憶2/6と中等度低下していた。前医からのドネペジル3mg/メバロチン中止、8日目からリバスタッチ4.5mg開始、フェルガード100M粒2錠を勧めた。BP137/72。脳血管性認知症(VD)にアムロジピン5mg→2.5mgへ減量、ルベストPRoDR2Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:27.5/30(+12)、近時記憶5/6(+3)と劇的改善、上記周辺症状はすべて消失した。BP161/83。甲状腺正常。一般採血:Alb3.6,Zn68以外異常なし。VitB1=18,VitB12=1450,葉酸=3.5。低Alb・Zn・VitB1・葉酸欠乏症に対してエネーボ250mgを開始、栄養指導を施行した。メマリーのオーソラズド ジェネリック(AG)6月19日メマリーのオーソラズド ジェネリック(AG)=先発品と同品質、しかも半額以下、メマンチン塩酸塩DSEP (第一三共)が発売開始になり、早速、6月20日から処方開始しました。メマリーの後発品は9社が出してきますが、オーソラズド ジェネリック(AG)はメマンチン塩酸塩DSEP (第一三共)のみです。AGにも3種類ありますが、メマリーは先発品と同じ工程で同じ工場で作られており、名称のみ違うタイプですから大丈夫と判断しました。レミニールはヤンセン製なのでAGがなく、ガランタミンは後発品9社から発売開始されました。レミニールは先発品と後発品の差額が少なく、筆者は多くの患者にレミニールOD錠4mgを投与するため暫くは先発品で行こうと思います。メマリーOD錠5mg 134.7円 V.S. メマンチン塩酸塩OD錠5mg「DSEP」 51.1円メマリーOD錠10mg 240.1円 V.S. メマンチン塩酸塩OD錠10mg「DSEP」91.5円レミニールOD錠4mg 96.9円 V.S. ガランタミンOD錠4mg 各社 51.9円レミニールOD錠8mg 172.8円 V.S. ガランタミンOD錠8mg 各社 77.0円<注意>メマンチン塩酸塩DSEP (第一三共)で処方しても、処方箋上で「変更不可」を選択しないと勝手にAG以外の後発品に変更されてしまうため注意が必要です。糖質制限、グルテンフリーおよびカゼインフリーダイエット、毎週月~土曜日 ランニングマシーン30分間、毎週日曜日 テニス90分間2017年5月体重86kgでした。なんちゃって糖質制限(毎食胚芽米茶碗1杯)を行い、体重86kg→74.5kgまで下降しました。身長175cmですから標準体重で言うと67.5kgということになります。同時期から日曜日テニス90分間を始めました。2年前からなんちゃって糖質制限にグルテンフリーおよびカゼインフリーダイエットを加えて、体重74.5kgを維持出来ています。コロナ禍から、クリニックの相談室に立てかけられていたランニングマシーンを横にして走れるようにしました。アクティビティ@iphone(ムーブ赤/エクササイズ緑/スタンド青)2020年5月から月~土曜日 ランニングマシーン30分間を加え、体重76kg→74.5kgを維持出来ています。筋肉質になりつつ脂肪が燃えて体重が維持出来ているのは上手く体質改善が出来ていると自負しています。1日8000歩を目指していますが、現在は6000-7000歩程度です。持続こそが大切と自分に言い聞かせながら続けていきます。
Jun 29, 2020
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト秋の気配漸く気候は秋に動いた感じです。長久手南クリニックから猪高緑地を経由して愛知たいようの杜まで散歩して来ました。愛知たいようの杜では彼岸花が咲き誇っていました。彼岸花@たいようの杜彼岸花@たいようの杜症例報告知り合いからの紹介である。既往歴:R1/10ドネペジル3-5mg、みうら内科クリニック①アマリール0.5mg②トラゼンタ5mg③人参養栄湯7.5g④ドネペジル5mg。物忘れ、易興奮、物盗られ妄想、感情失禁、病識欠如、甘い物好き、生真面目を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、⑥その他 左淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:3、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(FTLD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:22/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。易興奮、物盗られ妄想、感情失禁のため前医からのドネペジル5mg中止、フェルガード100M粒4錠を勧めた。脳梗塞にプレタール100mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+3)、近時記憶4/6と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。 一般採血:Alb3.9,TCL178,Zn57以外異常なし。VitB1=31,VitB12=550,葉酸=7.4。低Alb血症およびZn欠乏症に栄養食事指導を行った。知り合いからの紹介である。既往歴:脳腫瘍。右角膜異物→失明。にったクリニック①カデュエット3号(アムロジピン5mg/リピトール5mg)②ニューロタン100mg③マイスリー5mg④プルゼニド12mg。物忘れ、幻視、夢の続き、夜間せん妄、妄想、人物誤認、帰宅願望、感情失禁、尿便失禁、歩行不安定を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮中等度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化、脳室拡大、左小脳橋角部腫瘍摘出後。以上から、レビースコア:7、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7/9、改訂長谷川式:12/30、近時記憶4/6と中等度低下していた。認知機能低下にカデュエット3号(アムロジピン5mg/リピトール5mg)/ニューロタン100mg/マイスリー5mg中止、アムロジピン/ロゼレム開始、リバスタッチパッチ4.5mgを開始した。サプリメント希望されなかった。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:20.5/30(+8.5)、近時記憶6/6(+2)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.8,TCL177,TIBC217,Hb11.7,Zn66以外異常なし。VitB1=30,VitB12=471,葉酸=2.7。低Alb血症、Zn欠乏症、葉酸欠乏症に栄養食事指導を行った。親戚(薬剤師)からの紹介である。既往歴:H23左膝人工関節置換術、藤田医科大学整形外科①メトトレキサート②フォリアミン③オルメサルタン④エディロール⑤カロナール⑥ハルシオン⑦ネキシウム⑧タリージェ。藤田医科大学脊椎外科①リリカ②メチコバール。物忘れ、暴言、夜間不眠、薬剤過敏を呈していた。独居。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③右>左側頭葉萎縮軽度、④右>左海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:1.5、ピックスコア:3、前頭側頭葉変性症(FTLD)/多発性脳梗塞として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:28/30、近時記憶6/6と軽度認知機能障害(MCI)していた。認知機能低下にフェルガード100M粒4錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:30/30(+2)、近時記憶6/6(+-)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.8,TCL178,Hb10.4,Zn63以外異常なし。VitB1=28,VitB12=893,葉酸=6.9。低Alb血症、Zn欠乏症に栄養食事指導を行った。インターネット検索で来院された。既往歴:R1脳ドック:多発性脳梗塞。R2/3嘔吐、頭部MRI:多発性脳梗塞、名古屋脳神経外科。R2/4多発性脳梗塞、愛知医大神経内科①アムロジピン2.5mg②リピトール10mg③ミグシス10mg。物忘れ、歩行ゆっくり、語義失語を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮なし、④海馬萎縮なし、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、Binswanger型梗塞。以上から、レビースコア:0、ピックスコア:2、脳血管性認知症(VD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7/9、改訂長谷川式:18/30、近時記憶2/6と中等度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にルベストPRoDR2Capを勧めた。BP129/91と過降圧なためアムロジピン2.5mg→1.25mgへ減量した。総コレステロール124mg/dlと低値であり、リピトール10mg中止した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:21/30(+3)、近時記憶4/6(+2)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.0,TCL119,Zn65,Ferritin9.4以外異常なし。VitB1=30,VitB12=518,葉酸=8.0。Zn欠乏症にプロマック75mg、鉄欠乏性貧血にヘム鉄を勧めた。抗SS-A/B抗体陽性にシェーグレン症候群にグルテンフリー・カゼインフリー(GFCF)ダイエット指導した。インターネット検索で来院された。既往歴:H30パニック障害、わたなべメンタルクリニック①半夏厚朴湯7.5g②レクサプロ10mg③ソラナックス0.4mg不安時屯。高速道路運転中に過呼吸/急停止、朝方運転すると過呼吸、言語理解ゆっくり、薬物過敏を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③左>右側頭葉萎縮軽度、④左海馬萎縮軽度、⑤脳梗塞なし、⑥その他 左>右淡蒼球石灰化。注意スコア2/5、多動スコア0.5/4、ASスコア 1.5/4と正常範囲内だった。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:3、前頭側頭葉変性症(意味性認知症,SD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患 として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:26/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒4錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+3)、近時記憶6/6(+3)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.2,Zn64以外異常なし。VitB1=51,VitB12=510,葉酸=12.2。Zn欠乏症に栄養食事指導を行った。抗認知症薬(Anti-dementia drugs)を使わない治療を優先今までに当ブログ内で色々な認知症治療方法を紹介して参りました。13年間の認知症治療患者は8500名を超え、抗認知症薬を使わない認知症治療を優先する治療方法が正しいという結論に達しています。下記の1-6までが抗認知症薬を使わない認知症治療と言えます。7.抗認知症薬治療を最初から使う場合は希であり、1-6までの手をすべて尽くしてから行うようにしています。8.基底核に石灰化のある認知症は筆者の得意分野であり、治療反応もよく長期治療成績もよいため是非注目して治療に当たって頂きたい。1.高齢者の高血圧治療~降圧剤減量による認知機能改善~65歳以上高齢者には安易に降圧剤を投与するな~高齢者はBP130-160mmHgに目標に定めよ~2018.6.24第2回日本脳神経外科認知症学会ランチョンセミナー~高血圧・高脂血症・糖尿病治療薬の減量および中止~高齢者の高血圧治療2.高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は行うべきではない~高脂質症治療薬中止による認知機能改善~高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は行うべきではない高脂血症治療薬スタチンは65歳以上高齢者に投与するな~スタチンは認知症に有効ではない~3.分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法による認知症治療~ビタミンB群・ミネラル(鉄および亜鉛)・高タンパク質・糖質制限栄養食事指導および補充療法による認知機能改善~ビタミンB欠乏症(ビタミンB1,ビタミンB12, 葉酸,)、ミネラル欠乏症(鉄、TIBC,フェリチン,亜鉛)に対する薬物療法および食事栄養療法を行うことで、認知症だけでなく発達障害、鬱病、パニック障害などの広範な病変の根本治療を行っています。低フェリチン血症は鉄剤フェロミア・フェルム(非ヘム鉄)、鉄剤フェジン点滴、ヘム鉄サプリメント摂取を勧めています。低TIBC=トランスフェリン血症は高タンパク食指導を行います。亜鉛欠乏症には亜鉛を含むプロマック投与または亜鉛サプリメント摂取を指導しています。プロマック長期投与は興奮や過食をもたらすため注意が必要です。第2回日本脳神経外科認知症学会ランチョンセミナー~ビタミンB群・鉄補充(補因子)および高タンパク・低糖質食による神経伝達物質合成~栄養療法による認知症予防および治療認知症外来では必ず亜鉛血中濃度(平均63μg/dL)を測定すべし~認知症外来患者の289名中269名、92%は亜鉛欠乏症~4.グルテンフリー・カゼインフリー(GFCF)ダイエット~小麦粉および乳製品除去食による自己免疫疾患(認知症を含む)改善~食事からグルテンおよびカゼインを取り除き、善玉菌を補充することで腸内環境を整えること出来ます。このようなリーキーガット症候群(LGS)の治療は、アルツハイマー型認知症(ATD)、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(ピック病)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、前頭側頭葉変性症(意味性認知症,SD)などの認知症、注意欠陥多動障害(ADHD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、統合失調症などの神経難病、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのアレルギー疾患、下痢症、便秘症、逆流性食道炎、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎などの消化器疾患、片頭痛、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、シェーグレン症候群、橋本病、血管炎、類天疱瘡などの自己免疫疾患、子宮筋腫、子宮内膜症、月経前症候群などの婦人科疾患の治療に繋がるのです。グルテンフリー・カゼインフリー(GFCF)ダイエット指導により、認知機能改善、歩行や嚥下などのADLの改善、体重減少による歩行や高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病の改善が見られています。グルテンフリー・カゼインフリー(GFCF)ダイエット指導の実際グルテンフリー/カゼインフリー(GF/CF)ダイエットで続々回復5.サプリメント(フェルガード類・ミミズ粉末)による認知症治療Newフェルガードとフェルガード100Mの違いと効果 凍結乾燥ミミズエキス含有サプリメントによる認知症治療凍結乾燥ミミズエキス(ルンブルクスルベルス)含有サプリメントによる動脈硬化の治療~中性脂肪および血圧降下作用~ドクターイワタ 第4回認知症治療研究会 ランチョンセミナーに登壇脳血管性認知症、最新の治療法は?前頭側頭型認知症(ピック病)、最新の治療法は?6.グルタチオン(Glutathione)・シチコリン(Citicholin)・ソルコセリル(Solcoseryl)点滴療法~抗酸化物質・せん妄改善薬・ミトコンドリア機能改善薬による点滴治療~グルタチオン(Glutathione)は脳にとって最も重要な抗酸化物質の一つであり、脳を様々な有害物質から守る役割を担っています。パーキンソン病患者の脳内において、この重要な物質であるグルタチオンが減少していることが分かっています。この事実をもとに、イタリアのSassari大学のチームが実際にパーキンソン病患者に グルタチオンを点滴投与したところ症状の著名な改善が認められました。米国においてDr.Perlmuterがこの治療法を積極的に行い非常に有効な治療であると報告しています。そして、現在では南フロリダ大学において臨床研究が進行中です。日本では既に40年以上も前からグルタチオン200-400mgを自家中毒、つわり、妊娠中毒、薬物中毒、慢性肝炎の治療に保険診療として使用しています。副作用も非常に少ない、安全率の高い医薬品で、薬の副作用の治療に使われることもあるぐらいです。 パーキンソン病の場合には1000-4000mgを点滴で投与します。この投与量は通常投与量を遙かに超えており自費診療となります。頻度は週に2~3回、約3ヶ月間行います。病状の改善が認められれば、その後は維持プログラムとして週に1~2回のペースで治療します。1回の点滴時間は約15分です。有効率は70%で、劇的に効果があるケースからまったく無効である場合もあります。なお、米国では抗がん剤の副作用による指先のしびれ(末梢神経障害)、閉塞性動脈硬化症など様々な疾患の治療に使われています。レビー小体型認知症に伴い、せん妄・意識消失発作など意識がボーとしている患者さんにはシチコリン(Citicholin)も併用します。シチコリン(Citicholin)は脳神経外科が昏睡に使う昔からある安全な薬です。ソルコセリル(Solcoseryl)はミトコンドリアの機能を促進し,ATP産生を高め組織機能を賦活させる効果があります。グルタチオン(Glutathione)はフリーラジカル除去によるパーキンソン症状改善・デトックス(老廃物排出)、シチコリン(Citicholin)はせん妄・意識消失発作、ソルコセリル(Solcoseryl)は認知症状に有効であり、ビタミンB12およびビタミンCはグルタチオン(Glutathione)の有効期間を延ばす作用があります。グルタチオン(Glutathione)の働きはたくさんありますが、抗酸化に大きな役割を果たしています。グルタチオン(Glutathione)・シチコリン(Citicholin)・ソルコセリル(Solcoseryl)点滴療法はそれぞれの用量を変化させることにより、最適化を図る必要があります。グルタチオン点滴はレビー小体病や難病に有効7.抗認知症薬治療レビー小体型認知症、最新の治療法は?アリセプト(ドネペジル)地獄厚労省は2016年6月1日付で抗認知症薬の少量処方を容認プレタールがコリンエステラーゼ阻害薬を凌駕するパーキンソン症状のあるレビー小体型認知症にアリセプトはダメピック病にアリセプトはダメメマリーも少量投与が必須~メマリーは30%で悪化するため第2選択薬~レミニールも少量投与が必須~レミニールはFTLDおよびMIXに合う~リバスタッチパッチも少量投与が必須~リバスタッチパッチはDLBやLPCに合う~ドネペジル(アリセプト)過量投与による医療過誤~ドネペジルは穏やかなATDにのみ合う~成功する認知症治療薬の増量法認知症治療薬の増量方法認知症の治し方8.基底核に石灰化のある認知症基底核に石灰化のある認知症特発性基底核石灰化症(IBGC)、最新の治療法は?認知症専門往診の4割が特発性基底核石灰化症(IBGC) ~特発性基底核石灰化症(IBGC)は前頭側頭葉変性症(FTLD)とレビー小体型認知症(DLB)の各症状のつまみ食い~
Oct 1, 2020
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春の気配筆者は毎週日曜日に1時間半テニスをしている。斎藤コーチの日曜コースで男性6名(60歳台3名、40歳台1名、30歳台2名)で楽しんでいる。先週と今週は調子が良かった。特に今週は3ゲーム先取で3-0、3-0、3-1で3連勝で勝ち進んだ。課題のボレーも斎藤コーチのアドバイスで改善傾向が見られる。実家の階段の手すりがとれたと連絡が入り、テニス後に修理に行った。ウメが満開でミツバチが美味しそうに蜜を吸っていた。春はもうそこまで来ている。ウメ&ミツバチ@実家ドクターイワタの認知症治療 二刀流~認知症専門外来:1500名 & 認知症専門往診:130名~認知症/発達障害専門外来 新患予約サイト認知症新患予約は1ヶ月お待たせしておりましたが、 現在、新患初診は1週間以内に予約可能です。 希望日および希望時間 ①10:30am(-12:30pm) ②11:00am(-1:00pm) を選択して下さい。問診、 神経学的所見、改訂長谷川式 簡易知能スケール(HDS-R)、時計描画テスト(CDT)、発達障害スコア、老人性うつスケール、甲状腺機能(TSH, FT3, FT4)、ビタミンB欠乏症(ビタミンB1,ビタミンB12, 葉酸,)、ミネラル欠乏症(TIBC,フェリチン,亜鉛)に加え、頭部CT (GEマルチ) を施行します。同日から診断に則した治療を開始出来ます。新患予約サイト認知症専門往診 施設リスト定期往診施設:定期往診契約。24時間対応。認知症専門外来 隔週定期往診しております。まずは認知症/発達障害専門外来 新患予約サイトで予約して下さい。コメント欄に入所中または入所予定の往診施設を記載して下さい。初診時は認知症専門外来で正診して、その後は認知症専門往診で診させて頂きます。症例報告知り合いからの紹介である。既往歴:立松整形外科・内科①クレストール2.5mg②シムビコート③エディロール0.75μg。物忘れ、生真面目を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③右>左側頭葉萎縮軽度、④右>左海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 右淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:1.5、ピックスコア:1、混合型認知症(MIX)/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:19/30、近時記憶1/6と中等度低下していた。認知機能低下にクレストール2.5mg中止、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始、シトルリン含有赤ミミズ1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。7日後、中核症状は改訂長谷川式:20/30(+1)、近時記憶2/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:BUN22.1,eGFR58.2,K5.0,Alb3.9,TG208,Zn72以外異状なし。VitB1=26,VitB12=185,葉酸=4.3。ビタミンB12欠乏症にはシアノコバラミン筋注、メコバラミン1mgを開始した。治療のポイント1.スタチン中止高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は認知症の原因になるという論文報告があります(Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;9(9))。総コレステロール、HDL、LDLに関わらず、スタチンは全員中止すべきです。総コレステロール(TCL)200以下の場合、特に150以下の場合に高度認知症の頻度が増します。スタチンを投与してもプラークは増加すると論文報告されています(N Engl J Med 2008 Jul 31;359(5):529)。従ってコレステロールが下がっても動脈硬化は進んでいると言い換えることが出来ます。スタチンはミトコンドリア毒であるという報告もあります(Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99)。2.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。3.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。4.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。5.ビタミンB12低下症ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。ケアマネージャーからの紹介である。既往歴:H23バイパス手術、八事日赤。R4/8左不全片麻痺、右脳梗塞、八事日赤。R5/3右小脳梗塞、右椎骨動脈解離性動脈瘤、八事日赤。おおくまクリニック①タケプロン15mg②リバロ1mg③リクシアナ30mg④デノタスチュアブル1錠⑤メインテート2.5mg⑥エンレスト100mg⑦フランドルテープ40mg。物忘れ、妄想、暴言、帰宅願望、尿便失禁、甘い物好き、語義失語を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、右放線冠ラクナ梗塞、右小脳梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:1、ピックスコア:5、前頭側頭葉変性症(意味性認知症,SD)//特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:20/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にタケプロン15mg/リバロ1mg/エンレスト100mg中止、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。 7日後、中核症状は改訂長谷川式:21/30(+1)、近時記憶5/6(+2)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.6,TCL178,Hb11.6以外異状なし。VitB1=32,VitB12=340,葉酸=10.7。ビタミンB12低下症にはメコバラミン1mgを開始した。治療のポイント1.プロトンポンプ阻害薬(PPI)/H2レセプター阻害薬 (H2RAs)中止プロトンポンプ阻害薬(PPI)が認知症のリスクを1.44倍に高める(JAMA Neurol.2016 Apr;73(4):410-6)、PPIがコリンアセチルトランスフェラーゼを阻害し、結果としてアセチルコリンの生成が低下する(Alzheimers Dement.2020 Jul;16(7):1031-1042)という論文報告があります。状態が許せばPPI中止すべきです。一旦、PPI中止して嘔吐や食物逆流など逆流性食道炎の症状が出なければ中止のままとします。H2レセプター阻害薬(histamine-2 receptor antagonists (H2RAs))も認知症のリスクを高める(Am J Geriatr Psychiatry. 2018 Nov;26(11):1175-1183)という論文報告があります。2.スタチン中止高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は認知症の原因になるという論文報告があります(Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;9(9))。総コレステロール、HDL、LDLに関わらず、スタチンは全員中止すべきです。総コレステロール(TCL)200以下の場合、特に150以下の場合に高度認知症の頻度が増します。スタチンを投与してもプラークは増加すると論文報告されています(N Engl J Med 2008 Jul 31;359(5):529)。従ってコレステロールが下がっても動脈硬化は進んでいると言い換えることが出来ます。スタチンはミトコンドリア毒であるという報告もあります(Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99)。3.エンレスト中止エンレストは慢性心不全(50-200mg)および高血圧症(100-200mg)に適応があり、サクビトリル及びバルサルタンに解離して,各々ネプリライシン及びAT1受容体を阻害します。サクビトリルはエステラーゼによりネプリライシン阻害の活性体であるsacubitrilatに速やかに変換、ネプリライシン阻害は血管拡張作用、利尿作用、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)抑制作用、交感神経抑制作用、心肥大抑制作用、抗線維化作用及びアルドステロン分泌抑制作用を有するNa利尿ペプチドの作用亢進に寄与します。一方でネプリライシンは疎水性アミノ酸残基のアミノ末端側でタンパク質のペプチド結合を切断する細胞膜結合型のタンパク質分解酵素であり、脳内でアミロイドβを分解する主要酵素であり(J Neurosci. 2004 Jan 28;24(4):991-8.)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14749444/。ネプリライシン活性を上げることで脳内アミロイドβを減らしアルツハイマー型認知症治療に結びつける可能性も報告されています(Mol Psychiatry. 2022 Mar;27(3):1816-1828.)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34737456/。従って、エンレストは脳内アミロイドβを増やし、アルツハイマー型認知症を悪化させてしまう認知症誘発薬と言えるのです。4.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。5.ビタミンB12低下症ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。知り合いからの紹介である。既往歴:三浦内科クリニック①ルネスタ②酸化マグネシウム③ガスモチン→すべて自己中止。物忘れ、暴言、妄想を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 右淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:1、混合型認知症(MIX)/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:24/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。7日後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+1)、近時記憶5/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状は続いていた。甲状腺正常。一般採血:s-Cr0.76,eGFR53.6,Alb4.0,Zn78以外異状なし。VitB1=30,VitB12=354,葉酸=4.7。脳血管性認知症(VD)/妄想にシトルリン含有赤ミミズ1Capを勧めた。治療のポイント1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。2.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。3.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。親戚からの紹介である。既往歴:R3両側乳癌摘出術、抗癌剤、愛知医科大学①ベタニス50mg②アリミデックス1mg③ビオフェルミン6錠④パントシン300mg/マグミット1500mg。物忘れ、夜間不眠、易転倒、振戦、小刻み歩行、歯車様固縮、生真面目を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮なし、⑤脳梗塞なし、⑥両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:1、レビー小体病(LBD)/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:27/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。パーキンソニズムにドパコール50mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。7日後、中核症状は改訂長谷川式:26/30(-1)、近時記憶6/6(+3)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Zn62以外異状なし。VitB1=33,VitB12=205,葉酸=9.6。パーキンソニズムにドパコール50mgから75mgへ増量した。ビタミンB12欠乏症にはシアノコバラミン筋注、メコバラミン1.5mgを開始した。治療のポイント1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。2.レビー小体病(パーキンソン病/レビー小体型認知症)/パーキンソン症候群パーキンソニズムには優先順位としてドパコール(ネオドパストン)50-150mg>ペルマックス50-150μg/ニュープロ2.25-4.5mg>マドパー配合錠(イーシー・ドパール)1.5-3錠の順に処方します。レボドパ含有製剤(ドパコール/マドパー)を使用してもパーキンソニズムが残存する場合はトレリーフ25mgを追加します。ピクツキにはビ・シフロール0.125mgを追加します。起立性低血圧にはドプス1.5-3錠を追加します。3.ビタミンB12低下症ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。インターネット検索で来院された。既往歴:H20/2大腸癌、西山団地内科。H26アブレーション、心房細動再発、八事日赤。R4~R5右>左膝痛、はちや整形外科。星のまちクリニック①ミカルディス20mg②アムロジピン5mg③エリキュース10mg。物忘れ、昼間傾眠、夜間不眠、生真面目、甘い物好きを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:1、ピックスコア:1、混合型認知症(MIX)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:21/30、近時記憶1/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にシトルリン含有赤ミミズ2Capを勧めた。後頭神経痛にメコバラミン1mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:改訂長谷川式:27/30(+6)、近時記憶5/6(+4)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:HbA1c6.1,BUN22.7,UA7.8,Alb3.9,TCL268,TG147以外異状なし。VitB1=32,VitB12=532,葉酸=7.7。脳血管性認知症(VD)にシトルリン含有赤ミミズ2Capから1Capへ減量した。治療のポイント1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。2.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。ランチ@にぎり長次郎
Feb 18, 2024
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ハムスター大脱走昨日、自宅内でハムスターが脱走して壁の隙間から壁の中に入り込んでしまいました。壁の中からカリカリと壁をかじる音がしますが、壁への入り口が見つかりませんでした。カッターナイフでクロス18x18cmを切り取り、石膏ボードを露出しました。カッターナイフとマイナスドライバーで石膏ボードに同じ大きさの穴を開けました。ハムスターがゴソゴソと動く音がしていますが、奥の穴に入って中々出てきませんでした。大好きなホウレンソウを穴の中に入れるとハムスターがかじり付いてきました。ホウレンソウを引っ張ると漸くハムスターを救出することが出来ました。今日はその穴を閉じました。石膏ボードを両面テープで固定して、100円ショップで買った修復用壁紙を張り付けて終了。ハムスターは家族だから壁に穴を開けることに抵抗はありませんでした。無事に救出できてほっとしました。こんな事件が起きましたが、今週も無事にブログをアップできて良かったです。ドクターイワタの認知症治療 二刀流~認知症専門外来:1375名&認知症専門往診:130名~認知症/発達障害専門外来 新患予約サイト認知症新患予約は1ヶ月お待たせしておりましたが、 現在、新患初診は1週間以内に予約可能です。 希望日および希望時間 ①10:30am(-12:30pm) ②11:00am(-1:00pm) を選択して下さい。問診、 神経学的所見、改訂長谷川式 簡易知能スケール(HDS-R)、時計描画テスト(CDT)、発達障害スコア、老人性うつスケール、甲状腺機能(TSH, FT3, FT4)、ビタミンB欠乏症(ビタミンB1,ビタミンB12, 葉酸,)、ミネラル欠乏症(TIBC,フェリチン,亜鉛)に加え、頭部CT (GEマルチ) を施行します。同日から診断に則した治療を開始出来ます。新患予約サイト認知症専門往診 施設リスト定期往診施設:定期往診契約。24時間対応。認知症専門外来 隔週定期往診しております。まずは認知症/発達障害専門外来 新患予約サイトで予約して下さい。コメント欄に入所中または入所予定の往診施設を記載して下さい。初診時は認知症専門外来で正診して、その後は認知症専門往診で診させて頂きます。症例報告インターネット検索で来院された。既往歴:前原外科病院内科①アムロジピン10mg②クレストール2.5mg。物忘れ、昼間傾眠、食欲低下、甘い物好き、うつ状態、まじめな性格を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮なし、⑤両側基底核および深部白質脳梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:1.5、ピックスコア:1、混合型認知症(MIX)/として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:22/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。認知機能低下にクレストール2.5mg中止、BP130-150を目標にアムロジピン10mg→5mg→2.5mg、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgとサアミオン10mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。19日後、中核症状は改訂長谷川式:25.5/30(+3.5)、近時記憶5/6(+3)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Fe39,Alb3.7,TCL194,Hb9.9,MCV75,Zn57,Ferritin14.3以外異状なし。VitB1=20,VitB12=874,葉酸=5.6。亜鉛欠乏症に対してプロマック75mg、鉄欠乏性貧血にヘム鉄2Cap、低アルブミン血症に対してイノラス187.5mL/栄養食事指導を開始した。1年後、改訂長谷川式:28/30(+2.5)、近時記憶6/6(+1)と更に軽度改善した。治療のポイント1. スタチン中止高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は認知症の原因になるという論文報告があります(Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;9(9))。総コレステロール、HDL、LDLに関わらず、スタチンは全員中止すべきです。総コレステロール(TCL)200以下の場合、特に150以下の場合に高度認知症の頻度が増します。スタチンを投与してもプラークは増加すると論文報告されています(N Engl J Med 2008 Jul 31;359(5):529)。従ってコレステロールが下がっても動脈硬化は進んでいると言い換えることが出来ます。スタチンはミトコンドリア毒であるという報告もあります(Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99)。2.脳血管性認知症(VD)/妄想に対する治療高血圧治療薬を投与して収縮期血圧130mmHg以下、すなわち過降圧にすると脳血流低下による認知症/妄想の原因になるという論文報告がされています。 降圧剤投与する場合は、収縮期血圧(年齢+50 ) -(年齢+70 )mmHgを目標にするように指導しています。血圧は1年の中でも2月が最高、8月が最低になるため春から秋は降圧剤を減量する必要があります。 春先から初夏にかけての被害妄想の出現は過降圧が原因ですから、降圧剤を減量して脳血流低下を改善する必要があります。降圧剤を投与していない場合は、OS-1などのイオン飲料を飲むことで血管内圧を上げる必要があります。3.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。4.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。5.味覚低下または亜鉛欠乏症亜鉛欠乏症に対してはプロマック75-150mgを開始します。亜鉛欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。プロマックを投与することで興奮状態となる場合があるため注意が必要です。興奮状態になった場合は直ちに中止して、ノベルジン25mgを開始します。ノベルジンは吐気のため食欲低下を招くことがあり、興奮を伴う場合のみ投与します。食事栄養療法(牡蠣、あさり、アーモンド、レバー、ほたて、卵、鶏・牛・豚、しじみ、納豆など)および経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)を投与します。6.鉄欠乏性貧血に対する治療TIBC(トランスフェリン、鉄結合性糖蛋白質=受容体を介して鉄の受け渡しを行う蛋白質)が正常範囲内(250-440μg/dL)で鉄備蓄フェリチン(Ferritin)が低下(50ng/mL未満、特に20ng/mL未満)している場合は、毎月フェジン80mg/生理食塩水100mL点滴静注、フェロミア100mgまたはフェルム100mg(吐気、便秘に注意)、ヘム鉄などを投与します。低アルブミン血症に伴うTIBC(トランスフェリン、鉄結合性糖蛋白質=受容体を介して鉄の受け渡しを行う蛋白質)低下で鉄備蓄フェリチン(Ferritin)が正常範囲内(50-100ng/mL程度)の場合は栄養補充のみでよい。7.低アルブミン血症に対する治療低アルブミン血症に対しては肉、魚介類(魚、貝、いか、タコ、海老、カニ)、卵(ゆで卵、卵焼き、目玉焼き、生卵、温泉卵)、大豆(豆腐、納豆、煮豆など)を増やすように食事栄養指導を行います。特に施設などでは温泉卵を定期購入するように指導しています。施設患者10名以上で温泉卵開始前後でアルブミン血中濃度を測定したところ、毎日温泉卵1個増やした場合、血中アルブミンが0.2mg/dL上昇、毎日温泉卵2個増やした場合、血中アルブミンが0.4mg/dL上昇することが分かりました。当クリニックでは卵1個=血中アルブミン濃度0.2mg/dL上昇を基本にして食事栄養指導を行っています。卵は個数で指導しやすいこと、高齢者でも摂取しやすいこと、安価であること、厚生労働省の栄養指導でも1日の卵の摂取個数の上限がないことなどが理由です。肥満、高度糖尿病でない場合は、経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)なども併用します。開業医からの紹介である。既往歴:尾張旭クリニック①コニール4mg。物忘れ、甘い物好きを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③左側頭葉萎縮軽度、④左海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 両淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:2、軽度認知障害(MCI)/脳血管性認知症(VD)/自閉症スペクトラム障害(ASD)/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:27/30、近時記憶5/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始、ルベストPRoDR1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:28/30(+1)、近時記憶6/6(+1)と軽度改善した。甲状腺正常。一般採血:eGFR54.8,Alb3.9,AMY252,TIBC245,Zn72以外異状なし。VitB1=26,VitB12=533,葉酸=4.8。BP128/80と過降圧のためコニール4mg→2mg→中止を指導した。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+1)、近時記憶6/6(+-)と軽度改善した。治療のポイント1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。2.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。3.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。4.シトルリンによる腎不全に対する治療シトルリン粉末は一酸化窒素(NO)産生を促進することで血管拡張、毛細血管血流促進作用を引き起こします。筆者は2023年11月26日に開催した第3回抗加齢・赤ミミズエキス研究会において、シトルリン含有赤ミミズエキス粉末(投与量1.89Cap/日)は103名(男性25名、女性78名)の投与患者において投与前と6か月後を比較して有意な拡張期血圧降下(P<0.01)、収縮期血圧(P<0.001)、腎血流改善作用(eGFR増加)(P<0.00001)があったと報告しました(認知症治療研究会誌4(2)83-94)。腎血流改善作用は著しく腎機能改善のための第1選択サプリメントと言えます。5.脳血管性認知症(VD)/妄想に対する治療高血圧治療薬を投与して収縮期血圧130mmHg以下、すなわち過降圧にすると脳血流低下による認知症/妄想の原因になるという論文報告がされています。 降圧剤投与する場合は、収縮期血圧(年齢+50 ) -(年齢+70 )mmHgを目標にするように指導しています。血圧は1年の中でも2月が最高、8月が最低になるため春から秋は降圧剤を減量する必要があります。 春先から初夏にかけての被害妄想の出現は過降圧が原因ですから、降圧剤を減量して脳血流低下を改善する必要があります。降圧剤を投与していない場合は、OS-1などのイオン飲料を飲むことで血管内圧を上げる必要があります。インターネット検索で来院された。既往歴:西遠クリニック①ミカルディス40mg②リピトール10mg。物忘れ、易興奮、頭がすっきりしない、パニック、こだわりを呈していた。頭部CT:以上から、レビースコア:3、ピックスコア:4、主観的認知障害(SCI)/多発性脳梗塞/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:28/30、近時記憶6/6と軽度低下していた。認知機能低下にリピトール10mg中止、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:28/30(+-)、近時記憶5/6(-1)と不変、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:s-Cr0.85,eGFR49.6,Alb4.0,TCL166,TG156,Hb11.7,Zn71以外異状なし。VitB1=49,VitB12=476,葉酸=6.9。1年後、改訂長谷川式:29/30(+1)、近時記憶5/6(+-)。治療のポイント1.スタチン中止高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は認知症の原因になるという論文報告があります(Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;9(9))。総コレステロール、HDL、LDLに関わらず、スタチンは全員中止すべきです。総コレステロール(TCL)200以下の場合、特に150以下の場合に高度認知症の頻度が増します。スタチンを投与してもプラークは増加すると論文報告されています(N Engl J Med 2008 Jul 31;359(5):529)。従ってコレステロールが下がっても動脈硬化は進んでいると言い換えることが出来ます。スタチンはミトコンドリア毒であるという報告もあります(Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99)。2.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。知り合いからの紹介である。既往歴:H18一過性脳虚血性発作。H24急性胆嚢炎。H30緑内障。春日井市民病院脳神経内科①バイアスピリン100mg②アジルバ20mg③ガスター20mg④アムロジピン5mg⑤ドネペジル5㎎⑥クレストール5mg⑦抑肝散7.5g⑧リボトリール0.5mg⑨チアプリド75㎎。やないクリニック①ウリトス75mg②ベタニス50mg。物忘れ、幻視、幻聴、妄想、暴言、暴力、易興奮、昼間傾眠、夜間不眠、夜間せん妄、意識欠如、鬱状態、甘い物好きを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮、④海馬萎縮、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、左頭頂葉梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:4.5、ピックスコア:4、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:23/30、近時記憶5/6と軽度低下していた。認知機能低下にアリセプト5mg/グラマリール75mg/ファモチジン20mg/クレストール5mg中止、アジルバ20mg継承、アムロジピン10mg→2.5mgへ減量、幻視に抑肝散7.5g→5gへ減量、脳梗塞にバイアスピリン100mg継承/ルベストPRoDR1Cap開始、夜間せん妄にロゼレム8mg/リボトリール0.5mg継承、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にバイアスピリン100mgを開始、ルベストPRoDR1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+2)、近時記憶4/6(-1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.0,TCL137,Hb12.0,Zn71以外異状なし。VitB1=25,VitB12=227,葉酸=2.4。ビタミンB12欠乏症にシアノコバラミン1Ap筋注、メコバラミン1mgを開始した。妄想に対してセレネース0.2mg/アムロジピン2.5mg→1.25mg→中止した。1年後、意識消失発作および急に怒るに対して側頭葉てんかん(TLE)としてデパケンR100mg→200mgを開始した。1年1か月後、改訂長谷川式:28/30(+4)、近時記憶6/6(+2)と中等度改善した。。治療のポイント1.抗認知症薬による興奮症状(陽性症状)がある場合一旦中止ドネペジル5mg/レミニール16-24mg/リバスタッチパッチ13.5-18mg/アリナミンF(ビタミンB1)25mgは暴言、暴力などの興奮症状(陽性症状)がある場合には即刻中止すべきです。陽性症状が消失して無気力、無言、鬱状態などの(陰性症状)が出た場合には少量から再開するか、興奮性の少ない抗認知症薬であるリバスタッチパッチ4.5mgまたはレミニール4mgから開始するようにします。2.プロトンポンプ阻害薬(PPI)/H2レセプター阻害薬 (H2RAs)中止プロトンポンプ阻害薬(PPI)が認知症のリスクを1.44倍に高める(JAMA Neurol.2016 Apr;73(4):410-6)、PPIがコリンアセチルトランスフェラーゼを阻害し、結果としてアセチルコリンの生成が低下する(Alzheimers Dement.2020 Jul;16(7):1031-1042)という論文報告があります。状態が許せばPPI中止すべきです。一旦、PPI中止して嘔吐や食物逆流など逆流性食道炎の症状が出なければ中止のままとします。H2レセプター阻害薬(histamine-2 receptor antagonists (H2RAs))も認知症のリスクを高める(Am J Geriatr Psychiatry. 2018 Nov;26(11):1175-1183)という論文報告があります。3.スタチン中止高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は認知症の原因になるという論文報告があります(Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;9(9))。総コレステロール、HDL、LDLに関わらず、スタチンは全員中止すべきです。総コレステロール(TCL)200以下の場合、特に150以下の場合に高度認知症の頻度が増します。スタチンを投与してもプラークは増加すると論文報告されています(N Engl J Med 2008 Jul 31;359(5):529)。従ってコレステロールが下がっても動脈硬化は進んでいると言い換えることが出来ます。スタチンはミトコンドリア毒であるという報告もあります(Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99)。4.脳血管性認知症(VD)/妄想に対する治療高血圧治療薬を投与して収縮期血圧130mmHg以下、すなわち過降圧にすると脳血流低下による認知症/妄想の原因になるという論文報告がされています。 降圧剤投与する場合は、収縮期血圧(年齢+50 ) -(年齢+70 )mmHgを目標にするように指導しています。血圧は1年の中でも2月が最高、8月が最低になるため春から秋は降圧剤を減量する必要があります。 春先から初夏にかけての被害妄想の出現は過降圧が原因ですから、降圧剤を減量して脳血流低下を改善する必要があります。降圧剤を投与していない場合は、OS-1などのイオン飲料を飲むことで血管内圧を上げる必要があります。5.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。6.シトルリンによる腎不全に対する治療シトルリン粉末は一酸化窒素(NO)産生を促進することで血管拡張、毛細血管血流促進作用を引き起こします。筆者は2023年11月26日に開催した第3回抗加齢・赤ミミズエキス研究会において、シトルリン含有赤ミミズエキス粉末(投与量1.89Cap/日)は103名(男性25名、女性78名)の投与患者において投与前と6か月後を比較して有意な拡張期血圧降下(P<0.01)、収縮期血圧(P<0.001)、腎血流改善作用(eGFR増加)(P<0.00001)があったと報告しました(認知症治療研究会誌4(2)83-94)。腎血流改善作用は著しく腎機能改善のための第1選択サプリメントと言えます。7.ビタミンB12低下症ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。8.側頭葉てんかん(TLE)に対する治療65歳以上の6%に見られる高齢者てんかんです。高齢者ドライバーの事故原因の一つと考えられています。けいれん発作はなく意識を失っても倒れない発作なので見逃しがちです。数十秒か数分経つと何事もなかったかのように動き始めますが、意識がなかった間のことは何も覚えていません。意識が戻ってからも数分から数時間、ぼうっとして目の焦点が合っていません。急に怒りっぽくなり、意味もなく声を荒げることもあります。そして状態の良いときと悪いときがはっきりしています。てんかん発作中は認知症に似た症状になりますが、認知症との大きな違いは抗てんかん薬(デパケンR100-200mg/イーケプラ250-500mgなど)投与により治癒することです。側頭葉てんかん(TLE)は治すことが出来る認知障害を伴う疾患と言い換えることが出来ます(参考文献:高齢者てんかんのすべて、久保田有一著)。インターネット検索からの紹介である。既往歴:H28肝膿瘍、公立陶生病院。野田内科小児科医院①アマリール3mg/ジャヌビア50mg③クレストール2.5mg④デトルシトール4mg⑤メトホルミン塩酸塩1500mg⑥ネキシウム20mg⑦ベタニス50mg⑧ランタスXR注ソロスター450単位。物忘れ、暴言、浮気妄想、夜間不眠、甘い物好き、まじめな性格を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮軽度、④左海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、⑥その他 右>左淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:3、ピックスコア:2、前頭側頭葉変性症(FTLD)/脳血管性認知症(VD)/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:22/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にクレストール2.5mg/ネキシウム20mgを中止、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始、シトルリン含有赤ミミズエキス1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。10日後、中核症状は改訂長谷川式:26/30(+4)、近時記憶5/6(+2)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.7,TCL155,TG172,Hb12.4,Zn69以外異状なし。VitB1=58,VitB12=438,葉酸=5.2。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:30/30(+4)、近時記憶6/6(+1)と更に中等度改善して、治癒状態となった。治療のポイント1.スタチン中止高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は認知症の原因になるという論文報告があります(Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;9(9))。総コレステロール、HDL、LDLに関わらず、スタチンは全員中止すべきです。総コレステロール(TCL)200以下の場合、特に150以下の場合に高度認知症の頻度が増します。スタチンを投与してもプラークは増加すると論文報告されています(N Engl J Med 2008 Jul 31;359(5):529)。従ってコレステロールが下がっても動脈硬化は進んでいると言い換えることが出来ます。スタチンはミトコンドリア毒であるという報告もあります(Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99)。2.プロトンポンプ阻害薬(PPI)/H2レセプター阻害薬 (H2RAs)中止プロトンポンプ阻害薬(PPI)が認知症のリスクを1.44倍に高める(JAMA Neurol.2016 Apr;73(4):410-6)、PPIがコリンアセチルトランスフェラーゼを阻害し、結果としてアセチルコリンの生成が低下する(Alzheimers Dement.2020 Jul;16(7):1031-1042)という論文報告があります。状態が許せばPPI中止すべきです。一旦、PPI中止して嘔吐や食物逆流など逆流性食道炎の症状が出なければ中止のままとします。H2レセプター阻害薬(histamine-2 receptor antagonists (H2RAs))も認知症のリスクを高める(Am J Geriatr Psychiatry. 2018 Nov;26(11):1175-1183)という論文報告があります。3.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。4.プレタール先発品:認知症改善効果シロスタゾール製剤の先発医薬品(プレタール)と後発医薬品(シロスタゾール)におけるアルツハイマー型認知症に対する臨床効果の比較すると先発品プレタールのみ認知症改善効果が見られたと報告されています(PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516、認知症治療研究会会誌5(1)15-18)。プレタール(変更不可)で処方して頂ければと存じます。プレタールは心不全に伴う両下肢浮腫、頻脈がある場合には25-50mgの少量投与、心不全が悪化したらバイアスピリン100mgなどへの変更が必要です。5.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。
Feb 4, 2024
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